その9 大きな政治、足元の政治

 

 太平洋の向こう側では4年に一度の米大統領選でバラク・オバマ氏の再選が決まり、太平洋のこちら側では中国共産党が習近平氏を総書記とする新指導部を選出した。さらに日本では12月16日の総選挙によって、政権を担う政治勢力が定まり、その3日後に韓国では5年に一度の大統領選挙で新大統領が選出される。


 つまり、2012年の11月から12月にかけて、米国と東アジアにおいて新しい政治指導者・勢力が選択されようとしている。言うまでもなく、政治と経済での国際的な関係の深まりを考えれば、ここでの選択はそれぞれの国にとってばかりか、他の国々にとっても重い意味を持つことになる――。

 

 というような、ごく当たり前の話をぼんやりと考えながら、自転車で近所を走っていたら、駐車場の壁や民家の塀など、あちらこちらで市議選に向けたとおぼしきポスターが貼ってあることに気がついた。市議選に出るであろう人と、もう一人によって演説会などの開催を告知するという、いわゆる「二連(にれん)ポスター」だ。

 

 市議選は来年3月下旬に行われる。少し気が早いような印象も受けるが、それだけそれぞれの陣営が次の選挙は「激戦」になるとみて、準備を早めているのかもしれない。

 

 小金井市の9万人の有権者にとっては12月半ばの総選挙と都知事選を経ると、その3カ月後には、最も身近な議員選挙が控えているのだ。

 

 今、「最も身近な議員選挙」と書いたものの、身近さに比例した関心の高まりと、さらにそれを反映した投票率が示されるかと言えば、実はそうではない。過去5回の市議選投票率はいずれも47%前後の数字にとどまっており、国政選挙よりもはるかに低いのである。

 

 市議会はなぜ「近くて遠い」存在なのか。

 その理由はいくつか考えられるだろうが、その前に小金井市民たちは小金井市議会をどのように認識しているかについて述べたい。

 

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 小金井市議会は今年、議会基本条例制定にむけて、アンケートによる意識調査を実施した。その結果によって、市民の目に映っている市議会および市議像というものが浮かびあがってくる。

 

 アンケートの実施は4月下旬から5月中旬にかけて。住民基本台帳から無作為に選ばれた2000人を対象に質問用紙が郵送され、506人から回答が得られた。

 

 この506人は、「市議会議員選挙に行きますか?」という問いに対して、「毎回行く」と答えた人が64・6%、「だいたい行く」が19.2%。あわせると83.8%と、驚異的に高い数字だ。市議会によるアンケートにきちんと答え、投票所にもほぼ足を運ぶ。平均的な小金井市民よりも、市政への参加意識が高い人たちであることがうかがわれる。

 

 では、そうした人たちは今の市議会をどのように評価しているのか。

 「高く評価する」と答えた人はわずか1・0%。「ある程度評価する」が19・2%。合わせると約2割である。

 

 一方、「あまり評価しない」は33・6%、「まったく評価しない」は15・8%。あわせると5割弱。ほぼ半数が評価していないことになる。さらに「わからない」という回答も26・9%あった。

 

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「評価をしている」のが約2割という数字は、どう見ればよいのだろう。

 

 他の自治体議会に比べて高い水準なのか、低いのか。それを判断するデータは残念ながら手元にはない。

 

 ただ、2006年12月に日本世論調査会が全国規模で実施した「地方議会に対する住民の評価」という調査結果はある。地方議会の現状を考えるうえで良く引用されているデータである。

 

 それによると、地方議会の現状に「大いに満足している」は1・1%、「ある程度満足している」は31・4%。逆に「あまり満足していない」は46・9%、「まったく満足していない」は13・6%。「どちらともえいない・無回答」は7・0%。

 

 「満足」は、「評価」とは少しニュアンスが異なるかもしれないが、かりに同じものとして読みかえれば、小金井市議会の場合は肯定的な評価も否定的な評価もいずれも、全国平均よりも低く、「わからない」という評価が突出して多いのが特徴と言えそうだ。

 

 なぜそのような評価につながるのか。小金井市議会によるアンケートでは、それぞれの理由をさらに聞く質問は用意されていないため分析はできない。

 

 一方、日本世論調査会のアンケートでは「満足していない理由」を複数回答で聞いている。第一に多いのが「議会の活動が住民に伝わらない」であり、実に53・3%を占めている。次いで「行政のチェック機能を果たしていない」が33・2%、「地方議員のモラルが低い」が32・5%、「議会内での取引を優先して審議が不透明」が29・3%、「議会の政策立案能力が低い」が18・6%と続いている。

 

 つまり、「議会が何をやっているのか分からない」というフラストレーションを多くの有権者が感じ、それが低い評価につながっていることがみてとれる。


 小金井市議会への活動に対して、4人に1人以上が評価をくだしかねると回答しているのも、その判断材料がないからという推測が成り立つかもしれない。

 

 回答した506人のうち、年4回発行されている「市議会だより」を全部、あるいは関心ある記事だけを読むという人は73・5%を占める。 

 

 しかし、「市議会議員がどのような活動をしているか知っていますか」という問いには、「知っている」と答えたのは40・7%にとどまり、「知らない」という人が56・9%に上っている。そうした状態が、小金井市議選挙での低投票率の原因の一つとして考えられてもおかしくない。

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 逆に言えば、最も身近な選挙である市議会選挙への関心と投票率を高めるためには、市議会がより多くの市民にとって「わかりやすい」存在になり、発信力を高めることが必要ということになる。

 

 地方自治体の首長・議会・議員の活動実績を募集・表彰する「マニフェスト大賞」(主催・実行委員会、共催・早稲田大学マニフェスト研究所、毎日新聞)というものがある。

 

 千葉県流山市議会は今年、最優秀コミュニケーション賞を受賞した。「『見られる議会』から『見たくなる議会』への変革を目指す」を掲げていて、そのホームページはなるほど分かりやすい。

 

 こうした取り組みなどを通じて市民の議会への関心や信頼を高めていく。それが選挙での投票率にも反映されていく――。

 そのような好循環を私たちの足元の政治でも期待したい。

(終わり)

 

こがねいコンパス17号(2012年11月17日更新)

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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