2013年6月22日更新

     第5回
     第5回

地域でのエネルギー確保策がない

「3・11」後の新たな課題に未対応

 「3・11」は、地方自治体に対して多くの課題を与えた。

 その一つがエネルギー・環境分野での取り組みだ。それまでは地球温暖化防止対策が主な軸となっていたが、それに加えて新しい観点からの政策の練り直しと立案が必要となっている。例えば災害時に対応できるような地域分散型のエネルギー供給体制の構築。それには自然エネルギーの利用拡大がカギとなってくる。今回の行政診断は、この切り口で見てみたい。

 

 小金井市の現在の政策にそうした観点からの自然エネルギー利用拡大事業があるかと言えば、残念ながらイエスとは言い難い。

 

 理由は簡単である。
 小金井市の行政運営を定める長期計画の第4次基本構想は「3・11」の直前、2011年2月15日に市議会で議決され、小金井市は2011年度を初年度とする第4次基本構想・前期基本計画を策定した。そこには地球温暖化防止対策はあっても、地域でのエネルギー確保という観点はない。
 
 2011年度に小金井市役所が実施した全684事業の評価をまとめた「行政評価結果」をみると、自然エネルギーの利用拡大にもっとも貢献している事業は「住宅用エネルギー機器等普及促進補助金」だろう。

 

 太陽光発電設備、燃料電池、高効率給湯設備の3つのいずれかを設置した市民に対して、その購入費を補助するものだ。

 

 太陽光発電設備では、1キロワットあたり3万円で、最大10万円までの補助金が受けられる。燃料電池は5万円、高効率給湯設備は3万円。

 

 2011年度は太陽光発電設備が116件、燃料電池が4件、高効率給湯設備が215件の実績があった。目標値が115件だったので、3倍近い。事業費も、国・都支出金を差し引いた純支出額ベースで1652万円かかっている。

 

 ただ、この事業の目的はあくまでも「二酸化炭素の排出の削減に向けた行動を促進するため」である。小金井市内で太陽光発電という自然エネルギー利用がどこまで広がったかという観点ではとらえられていない。

 

 おそらく単純に集計すれば分かるのだろうが、2011年度に新規に取り付けられた太陽光発電設備によって、何キロワットの出力が可能となったかを示す数字は、行政評価報告書にも事務報告書にも記載されていない。

 すべては「地球温暖化対策防止」という従来の枠にとどまっているためだ。

 

 そのためだけではないだろうが、公共施設に太陽光パネルを設置するという自然エネルギー利用もすでに始めているのに、事業としてはきちんと位置付けられていないように見える。
 
 多摩地域の他の自治体ではどうだろうか。
 小金井市と人口規模、産業構造が似ている「類似団体」の一つ、多摩市の例を見てみよう。

(多摩市役所のホームページから)
(多摩市役所のホームページから)

 

「原発稼働停止により安定した電力の供給が見込まれないなか、太陽光をはじめとした自然エネルギーの活用が重要となっています」


 ホームページの一文に「3・11」後の新しい課題を正面から受け止めている姿勢が読みとめる。

 

 多摩市の「太陽光発電システム補助制度」は戸建て住宅向けは最大5万円。集合住宅向けは1キロワットあたり6万円で最大60万円まで。

 

 集合住宅向けがあるというのが、小金井市と比べてより積極的だが、戸建て住宅の補助金は小金井市の半分にすぎない。全体の予算額も小金井市よりもかなり少ない。

 

 それでも多摩市の政策には市域内で自然エネルギーを広げていこうという積極さを感じる。それは普及状況をまとめてマップにして分かりやすく市民に伝えているからだろう=下の図。

(多摩市のホームページから)
(多摩市のホームページから)

 また、公共施設への自然エネルギー利用も意欲的だ。小金井市では1キロワットを超える小中学校での自然エネルギー機器の設置は、東小学校(12.6キロワット)だけだが、多摩市では10キロワット以上のものがすでに8校で設置されている。

 

 「太陽光発電を設置することで、再生可能エネルギーの普及、環境教育への活用などを図ります」というのが目的だという。

 

 小金井市の14の小中学校はすべて災害時の避難所に指定されている。避難所でのエネルギー確保という観点からも、太陽光発電と蓄電池の整備は意味がある事業だろう。

 

 何よりも必要なのは、新しい地域のエネルギービジョンだ。2010年3月に策定された小金井市地球温暖化対策地域推進計画に加えて、最新の技術・制度を踏まえたエネルギービジョンを策定し、それに基づく政策体系を確立しなければ、「3・11」が与えた課題に応えているとは言えないだろう。

 

(小平市でも町名別に太陽光発電の出力量がまとめられている。小平市役所のホームページから)
(小平市でも町名別に太陽光発電の出力量がまとめられている。小平市役所のホームページから)

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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民主党小金井支部幹事長

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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