NEW! 2013年6月1日更新

     第4回
     第4回

『市長への手紙』をどう市政に生かすのか

    欠けている「市民の評価」

2013年5月15日付け「市報こがねい」から。クリックすると拡大します
2013年5月15日付け「市報こがねい」から。クリックすると拡大します

 小金井市が実施している684の事業を一つずつ市民の目線で診断してみようという企画。市の総合計画である「第4次基本構想・前期基本計画」の柱建てに沿って診断してきたが、今回は、5月15日付けの市報「こがねい」に大きく掲載された『市長への手紙』事業をとりあげてみたい。

 

 『市長への手紙』とは何か。結果をまとめた報告書にある記述をそのまま引用すると、「市民が市政にどのような施策を望み、何を期待するか市民の意識を把握し、市政運営に資する」ためのアンケート調査である。

 

 市政に対する市民の意識を調べるために、毎年実施している調査はこれしかない。住民基本台帳から無作為に選んだ18歳以上の2000人に往復はがきを送り、あらかじめ市が設定した29の項目から「市政に望む重点項目」を3つ選んでもらう。厳密に言えば『市長へのはがき』だ。

 

  今回の結果を、報告書でみると以下の通り。「重点項目」のベスト10は、60歳以上の回答者が全体の43・9%を占めているため、シニア層の意向がより濃く反映した結果になっているようだ。

 

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◆低い回収率
 2012年12月に実施された今回の調査に対し、回答した人は22・9%の457人(男性180人、女性267人、不明10人)しかいない。この手の調査としては、回収率が極めて低いことに驚かざるを得ない。

 
 2011年度の事業を対象に実施した、小金井市の2012年度行政評価の報告書をみると、『市長への手紙』事業には184万8280円が投じられている。このうち職員人件費が170万円なので、直接的な経費は14万円余と、わずかなものだ。


 担当課は、この事業について「市民の多様な意見を聴くため、回収率を高める必要があると考えている」と、課題があることを認めている。

 

 しかし、実は『市長への手紙』による回収率(回答率)は、2001年度に21・2%を記録してからこの11年間、20%前後がずっと続いている。

 

 低回収率のまま放置されてきた、というと厳しすぎる言い方かもしれないが、しかし、そう言わざるをえない。真剣に見直すことなく、同じやり方を続ける限り、回収率の改善は見込めないだろう。

 

◆粗雑な分析


 この低い回収率によって、サンプル数は500を切ることになり、精緻な分析ができないという支障をもたらしている。


 市長への手紙』では、市政に望む重点項目のほか、「住み続けたいか」「住みやすいか」という質問も聞いているのだが、例えば「町別」の分析では、関野町の回答者は3人しかいない。

 

 関野町では「永住したい」と「当分の間住み続けたい」を合わせると100%になっている。一方、「住みやすいか」への回答では、「大変住みやすい」が33.3%(つまり1人)、「やや住みにくい」が66・7%(つまり2人)という結果で、ほとんど調査の意味をもたない。

 

◆他の同じような市では

 

 小金井市と同じ人口規模(10万人以上15万人未満)と産業構造を持つ多摩地区の類似団体を見ると、4市で市民ニーズなどを探る調査を実施している。 国分寺市についてはインターネットでは発見できなかった。

 

 市内の全世帯を対象とする武蔵野市は別にして、他の多摩市、昭島市、東久留米市の回収率は50%を超えている。とりわけ昭島市は調査対象数は1000人と少ないが、回収率が高く、回答数は小金井市を超えている。

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◆調査をどう市政に反映させるのか


  『市長への手紙』事業の目的は、冒頭に述べたように「市民が市政にどのような施策を望み、何を期待するか市民の意識を把握し、市政運営に資する」のが目的だという。

 

 しかし、こうした質問の調査結果で、市政運営にどのように反映させるというのだろうか。上位にある要望項目は優先的分野として財政資源を大きく割くというのだろうか。

 

 高齢者福祉が3位(8・0%)の一方、子ども家庭福祉は9位(4・0%)という結果から、高齢者福祉の方が子ども家庭福祉よりも優先的課題になるということなのだろうか。

 

 まったく「市政運営に資する」のに役立たないというわけではないだろうが、この結果によって市政の優先課題を決めるというのであれば乱暴にすぎる。そのあたりが小金井市の報告書の「薄さ」にもつながってきている。

 

◆武蔵野市の調査

 回収率は低いとはいえ、市内のほぼ全世帯にあたる7万世帯から1割弱の回答を得ているので、回答者は6532人に上っている。小金井市の回答者の実に14倍である。

 

 武蔵野市は、「重点を置くべき施策」を聞くと同時に、現在の取り組みを「評価する施策」も聞いている。そして下の図のようにプロット分析を行っている。

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 例えば「災害・危機に強いまちづくり」は47・3%の人が「今後、重点的に進めてほしい」と考えている一方、「現在の市の取り組みを高く評価できる」と考える人は5・7%で大きくかい離している。このデータによって、この分野の取り組みを今後強化するという方向性が定まっていくのである。

 ◆行政評価のための調査
 東久留米市の「施策成果アンケート」調査も、目的が鮮明である。市の「行政評価制度」の一環として実施しているのである。


 「行政評価制度では、市が行っている行政サービスなどの現状を知ることが必要です。現状を知るためには、各種の統計データによるものと、市民のみなさまの声をお聞きしないとわからないものがあります」と説明し、市民による評価を政策に反映しようとしている。


 例えば「市政情報が十分提供された、開かれた市政が行われている」や「緑を基本として景観が保全されていると感じている」などに始まり、交通、福祉、人権、生涯学習、まちづくり、防犯・防災といった広い分野で、評価を求めている。

 

 小金井市のように、市民の要望の順位を聞く質問はないが、「施策成果アンケート」によって行政評価の重要なデータを入手することができる。

 

 小金井市が実施している行政評価は、行政内部の評価にとどまっており、サービスの受け手である市民の評価は入っていない。

 

 東久留米市のやり方をヒントにして、市民の評価を行政評価の重要な要素としなければ、政策評価を実施することにはならない。政策評価ができなければ、市民が納得するような予算の配分は不可能である。

(終わり)

「市民で行政診断してみよう!」へのご意見は、koganeicompass@gmail.com へメールでお願いします。

 紙面でご紹介する際には「40代男性、会社員」などという表記にとどめますが、メールには新聞への投書の要領のように「ご住所、お名前、ご年齢、ご職業」をお書きください。なるべく偏りなくご意見を紹介したいと思いますが、個人への攻撃、誹謗中傷にあたるなどと編集部で判断したものは紹介を控えさせていただきます。

 また、この企画は市役所の仕事を「一刀両断」にして、乱暴に切り捨てようというものではありません。市職員のみなさんのご意見、ご反論などがあればそれも紙面でご紹介したいと思います。ぜひご意見をお寄せください。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

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イラクから問い続けてきたもの

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