NEW! 2012年10月24日更新

対震工事、校庭芝生化を先延ばし

実施計画見直しで歳出14億円を削減

        シリーズ「危機」の内実 第2回

 小金井市の来年度予算の骨格となる「実施計画」の見直し内容が明らかになった。昨年10月、2011年度から2013年度の3年間を計画期間として策定されたが、財政状況がさらに深刻となっていることを理由に、来年度の予算編成作業を前に全面的に見直された。見直し前の計画から歳入で約16億円、歳出で約14億円を削減。市の重点プロジェクトとして位置付けてきた福祉会館などの耐震化工事や、小中学校の校庭芝生化事業などを先延ばしすることによって、歳出を切り詰めた。

 

 見直された実施計画は、来年度の予算編成方針が公表された10月15日に、小金井市のホームページに掲載された。見直しの理由について「深刻さを増す財政状況を踏まえて、限られた財源の中で第4次基本構想・前期基本計画を実現するため、さらなる施策の選択と集中を図り、実施計画の見直しを行った」と説明している。


 歳入は388億7200万円から372億6700万円へ、16億500万円減らした。一方、歳出も388億7200万円から374億6700万円とし、14億500万円削減した。歳出削減で際立つのは投資的経費で、59億2700万円から48億9400万円へと、10億3300万円を減らしている。歳入、歳出の大幅な見直しをしたが、なお歳出額に対して歳入が2億円不足している。

 

 先延ばしにした重点事業で目立つのは、公共施設の耐震改修工事だ。小金井市は耐震改修促進計画(2008年3月策定)で、2015年度までに公共施設を100%耐震化する目標を掲げている。

 

 この計画に基づき、昨年策定の実施計画では、福祉会館を2012年度耐震設計(事業費2562万円)、2013年度耐震工事(同3億5638万円)の予定だった。しかし、今回の見直しで、2012年度は「検討」とされ、2013年度の計画は空白となっている。

 

 同じように、貫井北町集会場についても2013年度に耐震診断(200万円)を行い、2014年度以降に耐震設計・対震工事をする予定だったが、2013年度は「検討」とされ、耐震診断は先延ばしになった。

 

 このほか、これまで着実に進められてきた小中学校の校庭・運動場を芝生化する事業も、昨年の実施計画では2013年度に1校で工事をし、別の1校で設計をする予定で事業費として1億400万円が挙げられていたが、2013年度の設計・工事は白紙となり、「「平成26年度(2014年度)以降に延伸」する方針に変わった。

 

 玉川上水の人道橋整備にともないモデル整備区間640メートルの緑道を整備する事業は、2013年度に1979万円をかけて工事を実施する計画だったが、今回の見直しによって「平成26年度(2014年度)に実施予定」と、1年先延ばしになった。

 

 一方、見直しされた実施計画には、付属資料として「平成25年度(2013年度)新規予定事業一覧」という表がつけられ、10の事業が挙げられている。そのうち事業費・一般財源充当額ともに最も大きいのは「小学校給食調理委託事業」で1億2600万円が計画されている。

(こがねいコンパス編集部「財政危機取材班」)

 

NEW! 2012年10月21日更新

シリーズ「危機」の内実   第1回

財政危機はいつから叫ばれ始めたのか

 小金井市は10月15日に公表した2013年度の予算編成方針で、市が「危機的な財政状況」に陥っており、ごみ処理など重要課題の処理についても「危機的な財源不足」であることを強調した。行財政改革によって財政再建は着実に進められてきた――。そう思っていた市民たちは「危機」という言葉に驚愕したのではないか。

 シリーズで「危機」の内実を追う。

  *****

 「危機的な財政状況」と「危機的な財源不足」という二つの語句は、市政運営の状態が深刻であることを市民に知らせ、ショックを与えた。

 

 だが、この二つの語句は、2013年度の予算編成方針で初めて用いられたのではない。

 その8カ月前の2月20日、稲葉孝彦市長の施政方針演説で登場している。

 

 「危機的な財政状況」については、2012年度(平成24年度)予算編成に関する部分でこう述べられている。(*太字は編集部によるもの。以下同)

 「市税収入の大幅な落ち込み、社会保障関連経費の自然増、ごみ処理問題を始めとする多額の財源を必要とする課題が山積するという危機的な財政状況に対応するため、限られた行財政資源を効果的かつ効率的に活用しつつ(後略)」

 

 この部分のほか、「計画の推進」に関するところでも使われている。

 「厳しい経済状況及び危機的な財政状況の中で、小金井しあわせプランの将来像を実現していくためには(後略)」  

 また、「危機的な財源不足」は、小金井市の財政状況を説明する部分でこのように使われている。 

 「歳出面では、社会保障関連経費の自然増を始め、ごみ処理問題、新庁舎等施設の計画的整備、武蔵小金井・東小金井駅両駅の周辺整備等、多くの財源を必要とする課題が山積しており、危機的な財源不足の状況に立ち至っております」

  この文章は、10月15日に公表された予算編成方針で「危機的な財源不足」が使われている箇所と重なるところが多い。

 

  *****

 では1年前の2011年(平成23年)2月。市長選を目前に控えた稲葉市長の施政方針演説ではどうだったのか。

 

 財政状況については「経常収支比率は多摩26市平均の91.8%に対し93.4%で、多摩26市中13位となり、人件費比率は20.1まで下がっております」と説明。不透明な経済状況によって市税収入など歳入の大幅が期待できないことを述べたうえで、こう続けている。

 

 「歳出面では、社会保障関連経費の自然増をはじめ、多くの財源を必要とする課題が今なお山積しており、今後も厳しい財政運営が強いられることになります」

 

 また、2011年度の予算編成についても「予算案の編成は、大変厳しい財政状況の中、中期財政計画を指針としつつ(後略)」と述べている。

 「危機的な財政状況」という語句はどこにもない。

 

 2011年2月当時も、ごみ処理問題のほか新庁舎建設、武蔵小金井・東小金井駅の周辺整備などといった重要課題に直面していたのは変わらないはずなのに、「危機的な財源不足」という語句は用いられていない。

 

   *****

 10月15日には予算編成方針とともに予算説明会で配布された資料も公表された。その資料には前年はなかった「危機的な財源不足及び財政状況!」という項目が立てられ、10ページにわたって図やイラスト付きで説明が続いている。


 その最後のページに「よくある質問と回答」が掲載されている。市民からの問い合わせに職員がよどみなく答えられるように、という配慮とみられる。

 

 「いつから危機的財政状況となったのですか」という質問に対して、回答はこうなっている。

 「平成22年度からさらに厳しい財政運営となっています。(中略)平成22年度は景気低迷に起因する給与所得の減少等により市税が大幅に落ち込み、臨時財政対策債15億円の発行、財政調整基金繰入金が10億5000万円という厳しい財政運営を強いられました。したがって、平成22年度には、前年度繰越金による積立金約14億円により基金残高は増となりましたが、一方で、多額な財政調整基金からの繰入が行われており、この頃からさらに厳しい財政状況が始まったと言えます」

 

 たしかに小金井市財政の柱である市税収入は、2010年度(平成22年度)に前年度から4億円も減っている。

 

 一般財源の不足を埋めるために、貯金である財政調整基金を10億円取り崩し、臨時財政対策債という赤字地方債を15億円も発行して乗り切った2010年度――。実は「危機」は忍び寄り、始まりつつあった。

 

 2010年度の決算は、2011年度に入らなければ確定しない。ただ、2011年度の予算編成時には、おおよその輪郭は見えていたはずである。可燃ごみ処理、新庁舎建設などの重要課題のために巨額の財源が必要となることは分かっていたはずである。施政方針の文案を検討する際、「危機」という言葉を使うまでの認識はなかったのだろうか。

(こがねいコンパス編集部「財政危機取材班」)

 

 

 

◆記事のご意見・ご感想など、こがねいコンパス編集部へのご連絡はkoganeicompass@gmail.com へお願いします。

NEW! 2012年10月20日更新

大差で否決された人件費引き下げ条例案

なぜ21人の議員は反対したのか

 

 3487人の署名を集めた直接請求で提出された小金井市職員の各種手当を引き下げる条例案は10月16日の市議会で、賛成1、反対21という大差で否決された。多くの市民の署名を集めながら、なぜこのような結果となったのか。議会と市民の意識がずれているのか、それとも――。

 採決にあたって述べられた「反対討論」からその理由を探ってみた。

 

 採決前には5人の議員が「反対討論」に立ち、その理由を明らかにした。5人のうち3人は所属する会派を代表しての見解だ。

 

 反対の理由はそれぞれの政治主張や立場を反映して様々だが、ほぼ共通していたのは、労使合意がない中で条例案を可決すれば、かえって市民に不利益をもたらしかねないという懸念だった。

 

 また、手当引き下げの内容が多岐にわたったことで、一部の議員はそのすべてに賛成できないために反対に回らざるを得なかった事情も明らかになった。


 市議会の最大会派である「みどり・市民ネット」は漢人明子幹事長が、所属議員の田頭祐子、片山薫、青木ひかるの各議員と自分の4人の考えをまとめて反対討論を述べた。会派に所属する渡辺大三議員はただ一人賛成に回り、野見山修吉議員は議長であるため採決に加わっていない。

 

 漢人議員らの反対理由は①デフレ期に中所得者層、低所得者層の給与を減らすと、デフレをさらに助長し、不況を深刻化させる②本来は利害を共有する市民と市職員に無用な対立を持ち込むと、長い目で見て市民の利益にはつながらない――の2点を挙げた。そのうえで条例の各項目についての賛否を個々に説明。「条例案のうちの個別の手当削減には賛成できる部分もある。しかし、職員給与問題は人件費として市財政全体のなかで考えるべきだ」と主張した。


 共産党の森戸洋子幹事長は会派を代表し①扶養手当や住宅手当は生計費の一部や生活給であり、削減すると今後の民間賃金にも大きな影響を与える②職員の手当が高すぎるという公務員を批判する攻撃は、小金井市政の現状の不満の矛先をそらす③市長と職員組合との合意がないなかで、条例を成立させることは労働争議になりかねず、市民にとっては利益にならない――の3点を挙げた。


 民主党・社民クラブの村山秀貴幹事長も会派を代表し、①市職員の給与は行財政改革によって一定の成果を上げている②可決すれば労使の信頼関係が損なわれ、かえって悪影響を及ぼす――と説明した。


 公明党を代表して討論に立った小林正樹議員も、民主党・社民クラブと同じような理由を挙げる一方で、「直接請求は、給与構造改革の経過と評価が不十分なうえでの内容であり、現実と異なることも多い」と、今回の直接請求のあり方を厳しく批判した。


 自民党の露口哲治議員は「反対討論」として述べたが、具体的な反対理由は示されていない。また、「自民党を代表して」と述べていないことから、会派ではなく個人としての見解とみられる。自民党の残る3議員は採決では反対したが、見解は述べていない。


*5人の反対討論の全文は、以下のファイルをダウンロードしてご覧ください。

 

漢人明子議員の反対討論.pdf
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森戸洋子議員の反対討論.pdf
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村山秀貴議員の反対討論.pdf
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小林正樹議員の反対討論.pdf
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*小林議員の反対討論の最初の部分で、「市税に占める人件費の割合が」とあるのは「歳出総額に占める人件費の割合が」の誤りと思われますが、発言の通りに載録しました。

露口哲治議員の反対討論.pdf
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 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
Adobe Acrobat ドキュメント 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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