変える 試みる 小金井の人たち  file8-1

東日本大震災復興応援小金井プロジェクト協議会会長 今井啓一郎さん

――東日本大震災復興応援小金井プロジェクト協議会が発足する前、昨年の3・11後から今井さんが会長を務める小金井市商店会連合会は独自に被災地を応援するプロジェクトを始めていました。これはどのようなきっかけからですか? 

 3・11の後すぐに、商店会連合会の定例会議がありました。そこで「何かわれわれでもできることはないだろうか?」という声がみんなから上がりました。 その時は百年に一度の不況と言われていて、とても商売がきつい状況でしたが、「それでもやっぱりでできることがあるんじゃないか」ということになったのです。


 まず、どういうことが、何が、(被災地の人たちに)喜ばれるのかを聞かないと分からない。商店会連合会の事務局から(被災地の)商店会連合会に連絡を入れてもらった。

 

 その対象としては、これから応援を続けていくうえで、自分たちがその日に行って帰って来られる「日帰り圏内」でないと、なかなか継続できないし、ある意味で本気の応援ができないのではないかという思いがありました。

 

 そうするとまず福島県が対象となったのです。あちこちに電話をして問い合わせたところ、いわき市の平(たいら)商店会連合会と連絡がとれたので、4月に4、5人で現地に行きました。

 

 いわき市の沿岸部は津波の影響で壊滅的な状況でした。現地で支援策に関する意見交換会を設けてもらったところ、平商店会連合会からは「まずは人に来てもらわないとどうにもならない」「遊びに来てもらっておカネを使ってもらえるのが一番うれしい」という声があがったのです。そこで小金井からのバスツアーを計画し、8月8日の「いわき平七夕まつり」にあわせて、45人の市民に現地に行ってもらいました。

 

――被災地支援を市民によびかける「のぼり旗」も作りました。

  そうです。支援の第一弾としては大きな「のぼり旗」を500本つくり、市内の商店会や事業所に掲げてもらいました。「小金井から気持ちを届けよう」ということで、「のぼり旗」の売上から製作費を除いた金額を、「応援金」という形でバスツアーの補助や、七夕祭りへの協賛金にあてました。

 

 大きな「のぼり旗」を作った後、家の中に置けるような小さな旗はないか、という問い合わせもあったのでで、ミニのぼり旗もつくりました。

 

 そうしているうちに、小金井でも被災地の物産品を売れないかということで、(東小金井駅南口の)昭和信用金庫小金井支店さんの駐車場を借りて昨年9月に「かもがわ 海と山のマーケットin小金井」をやりました。

 

 千葉県鴨川市は直接的な被害を受けた場所ではないのですが、観光客の激減によって打撃を受けていたのです。この時は予算も何もありませんでしたが、向こうから話があった時に「じゃあ、商店会連合会でやろうよ」と二つ返事で引き受けました。

 

(東日本大震災復興応援小金井プロジェクト協議会のチラシ)
(東日本大震災復興応援小金井プロジェクト協議会のチラシ)

――そうした取り組みを経て、昨年9月に東京都の「新しい公共事業」支援事業の助成を受けて「東日本大震災復興応援小金井プロジェクト協議会」が発足しました。「新しい公共事業」の枠組みを使ってというのは、どこからの話ですか?

  たしか小金井市の経済課さんから来た話だと思います。「新しい公共事業というものがありますが、今井さんたちがやっているのがあてはまるんじゃないですか?」という感じで。

 

 新しい公共事業は二つのパターンがあって、協議会をつくる方式と、役所が窓口になる方式がありました。ハードルは高かったのですが、協議会をちゃんとつくろうということで進めてきました。

 

――協議会には商店会連合会のほか、商工会、市経済課、それにNPOのカッセKOGANEIや東京経済大学の森反章夫教授の研究室が参加していますね。

  森反先生のところは、NPOの仲間に知人がいて、話を聞いてみると防災やまちづくりなどを研究室でやっていらっしゃるというので、入って頂きました。カッセは、各地の商店会と連絡をとるためにはNPOに入ってもらった方がよいだろうという理由です。日頃から付き合いがあるので、動くうえでもスタッフとして助かる面がありました。

 

――協議会の具体的な取り組みはどのようなものですか?

  まずは協議会が発足する前からやってきた「バスツアー」です。

 この6月もいわき市へ行きましたが、市内のある地域では小学校のグラウンドに仮設の商店街が設けてあるんですね。次回の9月2日のバスツアーはそこに行く予定です。

 

次は被災地の産品を仕入れて販売する店舗の「夜明け市場 in KOGANEI」。本町1丁目の空き店舗を借りて、3月21日にオープンしました。


 いわき市からの米がメインで、あとは加工品です。冷蔵庫を置くほどの余裕がないので、日持ちがするものがどうしても中心になります。いわき市のほか、岩手県久慈市や宮城県気仙沼市の加工品も置いています。

 

 久慈市は、小金井市の「桜まつり」に出店していたこともあり、小金井市とは付き合いがありました。気仙沼市に関しては私の仕事の関係の人が気仙沼出身で「かなりひどい」というのを聞いたので、やはり現地に見に行きました。

 

――「夜明け市場inKOGANEI」は水、木、土曜日の週3日の営業ですが、スタッフ確保が大変だからですか?

  決して利益が出るお店ではないんですね。もともと仕入れている産品が安いものではないし、送料もかかります、まともに利益を確保しようとすると一般の人には手の届きにくい値段となってしまいます。ですから、利益はかなり低くしているのですが、そうなるとお店をやればやるほど人件費で赤字になってしまう。これくらいがちょうどいいペースかなということですね。

 

 ただ、この店舗は都からの補助金で家賃を支払っているのですが、補助金が今年度いっぱいで終わりですから、このお店も今年度限りになります。

 

 その代わりに毎月11日に「夜明け市場のいちいち市」を今年6月から始めています。JR武蔵小金井駅前のアクウェルモールに会場を設け、いわき市の漬物、米、本数限定の日本酒、久慈市の野菜、気仙沼のふかひれスープなどを並べています。

 

 私たちは「補助金が切れたら、支援は終わり」という考えでスタートしてはいないのです。なんとか復興の応援を続けなければならない。店舗を維持するのは難しいと思いますが、「いちいち市」であればなんとか続けられると考えています。

 

 今はアクウェルモールでやっていますが、これを発展させて、市内のいろんな商店街でできないかと考えています。一か所にとどまらず、まちの中を回っていきたい。

 

 ある程度の量が売れる態勢を取らなければならないので、まったくの住宅街でとはいかないので、なるべく人の集まる場所、もしくは人が集まるイベントに便乗させてもらおうと考えています。できるだけ多くの人に知ってもらいたいからです。また、米に関しては配達をする態勢をとっています。5キロであれば市内に配達します。

 

――ここまでどんなことに苦労しましたか?

  苦労した点? うーん、たぶん私以外の人が、苦労されていると思います。私はなんでもすぐに「やろう」と言うので。

 

  「会議に時間をかけるぐらいならやってしまってから判断しよう。まずやってから、直せるところは直そう。駄目なら方向を変えよう」。そういう風にしていることが多いです。

 

――協議会の事業方針としては「被災地の産品の販売、PRによる復興支援」「復興支援を小金井の地域づくりにつなげる」などを掲げています。発足から1年近くになるわけですが、どのような成果と課題が見えていますか?

 1年やって、やっと(被災地の人たちと)つながってきたかなという感じです。正直に言って、向こうも最初のうちは半信半疑だったのではないでしょうか。いつまで続けられるのかな、と。

 

  こっちで品物を仕入れたり、向こうに遊びに行ったり、イベントを企画したりということを続けてきたので、だいぶから向こうからの問い合わせや連絡が来るようになりました。例えば、「JAで親子農業体験」の募集のチラシを送ってくるとか。

 

 「やっぱり、続けているとつながるね」。これがみんなの感じ方です。最初は、こちらが押しつけがましくなっているんじゃないかという心配もあったのですが、やっててよかったねという受け止めです。

 

 最終的にどうしたいかというと、向こうの品物を売りながら、人と人の結びつきを強めながら、自治体同士に防災協定を結んでもらいたいと考えています。

 

 何かの時に「大人はいいけど、こどもだけは面倒をみてください」と言える関係になればいいかな、と考えています。

 

 今は応援している立場ですが、被災地が復興すれば向こうの方がこっちよりも元気になるでしょう。その時は、こっちが応援してもらう立場になるのかなとも思います。(2012年8月4日号)

 

(後編は9月1日号に掲載する予定です)

◇今井啓一郎(いまい・けいいちろう)さんのプロフィール◇
1966年(昭和41年)2月生まれ。3人男兄弟の一番上。

小金井市商店会連合会会長、小金井市商工会理事(個店活性化委員長)、NPOカッセKOGANEI副代表という要職を務める。

工務店「スタート」と不動産会社「I・K・Oプランニング」の代表取締役。

趣味は?と聞くと、迷いなく「地域活動」と一言。

貫井南町在住。

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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