変える 試みる 小金井の人たち file7 (後編)

「ホームスタート・小金井 発起人会」代表  高橋雅栄さん

 

 15年前の夏、高橋さんが野川のほとりで出会った「初めてママ」たち。先輩ママとしてアドバイスをしたことをきっかけに、「子育て支援」の世界へと踏み出していく。

 

 

 

 (訪問型の子育て支援「ホームスタート」を仲間たちと小金井で始めた高橋さんのお話の後編です。)

 

 

――高橋さんが子育て支援に関わるようになったそもそものいきさつは?

  1997年に3番目の子どもを出産して2カ月ぐらいのころでした。 5月に出産したので7月。ちょうど今頃でしたね。2か月になったわが子を連れて野川に散歩に行きました。

 

 するとその年に生まれた赤ちゃんを連れたママたち。初めて子どもを産んだ「初めてママ」たちがいっぱい野川の近くにいたんです。

 似たような人たちが集まり、何回か顔を合わせるうちに親しくなり、いろいろお話をしていました。

 

 そのなかで、私は上に子どもが2人いるので子育て経験者なのです。

 だから、いろんな質問や疑問に対して、答えがあるわけではないけれど、経験からちょっとしたお話をすると、それが初めてのママたちにとってはすごく役に立つ情報だったり、安心できたりする内容につながることを経験して、「ここに何かニーズがあるのかな」と感じたんです。

 

 当時、私は仕事を辞めて久しかったので「何か始めたいな」と思っていました。そこで地域のそうした小さなニーズに応えていくということが自分にとっても、周りにとっても役に立つのかなと漠然と思ったのです。確信はありませんでしたが。

 

 当時は「子育て支援」という言葉自体が無かった時代です。国がやっと少子化対策のための計画「エンゼルプラン」を策定して3年目ぐらいでした。専業主婦向けの子育て支援というのは一切ありませんでしたね。

 

――仕事はお子さんの出産まで?

  そうです。最初の出産までやっていて、その後しばらく専業主婦。2番目の子どもを産んだ後、女性誌などを出している出版社がやっていた幼児教育研究所に勤めました。

 

 そこでは家庭訪問をするんですね。シートを持っていてお子さんの発達状況を調べ、お母さんに幼児教育の啓蒙をするという仕事でした。

 

 心も体も頭もバランス良く育ててください、子どもと一緒に歌ったり、本を読んであげたり、興味付けをする語りかけをしたりとかがとても大事なんですよ、と。

 

――その研究所に入られたのはどういういきさつですか? 

 たまたまですね。住んでいた地域にあったので。

 

 私は美大を出てファッション業界、服飾の分野で仕事をしていたのですが、もう一つ自分の中では、乳幼児に関わる福祉関係の仕事をしてみたいという思いがありました。

 

 ファッション業界は子どもがいると大変ですし、どうせ新しい仕事をするのならば、前々から漠然と考えていたそっちの方向に進んでみようかなと思っていたのです。そこに、幼児教育研究所のチラシが目に入り、じゃあ、行ってみようと決めました。

 

――幼児教育研究所の体験はどうでした?

  すごく良かったのは、当時まだ脳科学とかの話が無かった時代に、歌う、遊ぶ、絵本を読む、手先を使う遊びといったものがなぜ大事なのかを、脳科学からちゃんと研究していて、勉強になりました。3年間働いたのですが、さらに良かったのはそういう情報をもって各家庭を訪問する。教えに行くという仕事だったので、いろんな家庭をみることができたことです。

 

 お母さんがもっている課題とか悩みについて、この地域ではこんな課題、悩みの傾向が強いとかが良くわかりました。たぶん、その経験が(様々な子育て支援の)下地になっているのだと思います。

 

――野川のほとりで若いママさんたちとの出会いから、1997年に「野川ママの会」を立ち上げられたのですが、これはどんな活動ですか?

  野川ママの会というのは一言で言うと、子育てサロンです。お母さんたちが就学前のお子さんを連れて集まり、情報交換したり、おしゃべりをしたりという場です。今でいう自治体がやっている「つどいの広場」事業です。それを自主的に始めていたのです。

 

 そもそも、「つどいの広場」事業は国が始めた施策ですが、その当時、全国各地で私たちのような活動がすごい勢いで広がっているというのを厚生労働省が察知して、大学に調査を依頼し、有効性が確認されたので、施策としてスタートしたのです。

 

――2004年には「子育てサロン@SACHI」が誕生しました。

  常設の子育てサロンが必要だということではじまったのが「子育てサロン@SACHI」です。

 

 2004年からの2年間は、柳さんという東町の一軒家の一階をまるごとお借りしていました。

 

 その家の元の持ち主は柳さんの叔母の古川幸子(ふるかわ・さちこ)さんという女性でした。古川さんはすでに亡くなっていて、私は面識がないのですが、彼女は亡くなる時に「私は女性問題に一生をかけてきたので、女性の活動に寄与するような機会があれば、力をかしてあげてほしい」と柳さんに遺言を残されました。

 

 子育てサロンの場所を確保するのはなかなか大変でしたが、私たちは幸子さんのおかげで、そこの場所を無償で借りることができたのです。

 

――では、子育てサロン@SACHIの「サチ」は、古川幸子さんの名前から?

  そうです。このSACHIを利用するときに、みなさんがそうした経緯は知らなくてもサチの名前を口にされる。それが、幸子さんに感謝の思いを伝えることになると考えたのです。

 

 2006年からは、ほぼ同じ規模の家が見つかったので、そこに住みながら1階をサロンにするという形にしました。

 

―それが高橋さんの家?

  そう。2008年まで2年間ここで(高橋家で)やりました。ここでやらなくなった理由は、例えば火曜日に料理教室をやると、料理に関心がある人は火曜日に来るが他の曜日には来ない。交流が広がらないことに気がつきました。

 

 「これはまずい現象だな。タコつぼになってしまうな」と感じました。だからどうせだったら月一回でいいから一か所で、一同に会するフェスタ形式にしよう。そう考えたのです。

 

 

――だから現在は、福祉会館で「子育て支援の屋台村 Hey!Sey! おさんぽカフェ」というスタイルになっているのですね 

 子どもの遊び場とママのしゃべり場である「子育てサロン」を真ん中にして、いろんな講座、相談コーナー、癒しコーナーのブースがあるという形にしています。いろんな趣味の方が入り混じっているというのが大事だからです。

 

――これは月1回の開催?

  はい。月1回というところにも意味があります。各ブースの人が自主的に活動を始めています。

 小金井全体でみると、子育てサロン@SACHIに関係する人が毎日どこかで何かイベントをやっているという環境が作れているのです。起業した団体も6つあります。 現在は登録しているのは20団体ぐらい、そのうち8つぐらいがブースを設けています。

 

 拠点型はこの「おさんぽカフェ」で、それに出て来れない人たちへは「ホームスタート」でアウトリーチしよう。この二本立てで行こうと、考えています。それでこの二つの事業をを何とか今年から来年ぐらいでNPO法人をつくり、統括していこうと考えています。一つの団体で二つの事業部を設ける。そんな構想です。

 

――忙しいですね。

  本当に(笑い)。

 

――ところで高橋さんのニックネームは「まるちゃん」。なぜ「まるちゃん」かが、ちょっと気になっているのですが。

  高校時代に同窓生にカクさんという女の子がいました。私も旧姓が「カクヤ」であだなが「カクちゃん」だったのですね。カクさんの方は付属中学校から上がってきた子だったので、すでに「カクちゃん」が定着していました。高校から入ってきた私に、「カクの反対でマルでは?」と言った子がいたのです。

 

  私としては、実は(水戸黄門の)格さん、助さんで男の子たちから小学校のころ良くからかわれていたので、「カクちゃん」というあだ名があまり好きではありませんでした。だから、「マルちゃん」というあだ名は角ばっているよりも良いかと思ったんですね。最近は中年になって文字通り「マルちゃん」になってきていますが(笑い)。
(終わり)

 

■高橋雅栄(たかはし・まさえ)さんのプロフィール

1961年生まれ。大学生から中学生まで3人の子どもを子育て中。

前原町在住。

「子育てサロン@SACHI」代表。NPO法人「カッセKOGANEI」副代表理事などを務める。

NPO法人日本アドバイザー協会の認定アドバイザー。 

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

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