変える 試みる 小金井の人たち   file5

ごみ減量を実践し、記録を続ける末包(すえかね)房子さん

 

 ごみ減量に取り組む小金井市民は少なくない。その代表選手の一人がこの人だろう。昨年(2011年)の1年間に、末包さんが出した「燃やすごみ」はわずか2回で、計2キロ。

 

 昨年11月には市主催のごみリサイクルをテーマにしたシンポジウムでは、日々の取り組みを発表した。普段の努力の根っこには、長く消費者問題に携わり、「行動する消費者にならなければ」との思いがあるという。

――1年間で出した燃やすごみの量がわずか2キロというのは、驚きです。お一人で暮らされているとは言え、どうしたらここまで減量できるのでしょう?

  生ごみのほとんどを市から提供された「堆肥化バケツ」と「ぼかし」で処理しています。バケツに生ごみを入れ、それに「ぼかし」を振りかけ、堆肥になったところで庭のあちこちに埋めるのです。 燃やすごみとして出すのは、玉ねぎの皮、食用油を拭いた布切れ、大きなタネ、それに量はきわめて少ないですが紙くず。そういった「ぼかし」では分解できないもの。だから、そんなには出ないのです。

《小金井市は、米ぬかに微生物を入れて発酵・熟成させた「ぼかし肥」をつかって、家庭の生ごみを良質の堆肥としてリサイクルさせる事業を推進している。ぼかし肥と生ごみ堆肥化容器(バケツ)は市民に無償提供される。問い合わせは市ごみ対策課へ。》

――いつから、こうした生ごみ減量をやっているのですか?

  小金井市にリサイクル会議というものがありました。学識経験者、商工会、廃棄物減量等推進協議会、消費者団体連絡協議会(消団連)の会員がメンバーです。消団連からは3人が出ていて、私はその一人。15年ほど前、そのリサイクル会議で私たちから「こういうのをやってはどうか」と提案し、賛同を得ました。 当時、専門家に来てもらって勉強会をやりました。そのうえで、リサイクル会議のメンバーのほか、市民にも呼び掛け、50人のモニターになってもらいました。いろいろと意見をまとめ、そうした経過を経て、市全体の事業としてスタートしたのです。私はモニターの時から今日までずっと続けています。

 

――「ぼかし」による生ごみ堆肥化の特徴、メリットは何でしょう? 

 生ごみ減量のために様々な機器がありますが、この方式は電気を使いません。非常に環境にやさしいと思います。臭いもしないし、虫もわかない。堆肥を庭に埋めることによって、薔薇の花の色がすごくきれいになりました。それまでは、ぼやけたピンクだったのが鮮やかな大輪になったのです。いいことづくめという気がします。

 

 

ぼかし肥を入れたバケツ。堆肥ができれば庭に埋めていく
ぼかし肥を入れたバケツ。堆肥ができれば庭に埋めていく

――シンポジウムでは、自分が出すごみの量を量る大切さを強調されていました。いつから実践されているのですか?

  可燃ごみとプラスチックごみについて平成17年(2008年)の8月から続けています。出すときに重さを量り、ごみカレンダーに記入するのです。

 いくら口で「ごみ減量を」と言っても、なかなか分からないし、伝わらない。実際に重さを量って、記録を取らないと駄目だと思います。自分の家の排出量を数値で知れば、努力の結果が目に見え、次の行動につながっていくのです。


――人間のダイエットと同じですね。

 そう。いくら「痩せた」と言っても、数字が分からないとだめでしょう。だから、(市が配布する)ごみ・リサイクルカレンダーに、自分の家が出すごみの量を記録できる「記入欄」をつけてほしいと提言しています。記入欄があると、背中を押されるような気がするし、そこに記録していくと、自分の足跡が見えてきます。

 

――昔から記録を取るのが苦にならなかったのですか?

  そうですね。私の夫は、コンピュータ開発の研究者でした。昭和30年の朝日新聞に「妻の座」という連載記事があり、私が登場します。夫から言われて、10の35乗という膨大な桁の数字を二進法に直す作業をしているという内容です。夫の影響だと思うのですが、私は理系の頭なんですよ。だから数字を書くのは大好き。

《末包さんの夫、良太さんについては情報処理学会歴史特別委員会が作成したバーチャル博物館の「コンピュータ博物館」で、「日本のコンピュータ パイオニア」の一人として以下のように紹介されている。 「末包良太は1925年2月8日京都市に生まれた。第三高等学校を経て東京帝国大学工学部航空学科に入学、1948年3月同学応用数学科を卒業した。同学助手を経て、1951年3月電気試験所に入り、材料部数学研究室に勤務。駒宮安男とともに1952年、継電器式自動計算機のパイロットモデルETL MarkⅠを完成した。これはわが国最初の逐次式自動計算機であった。末包と駒宮は引き続き本格的な大型継電器式自動計算機ETL MarkⅡの開発に着手し、高木正英、桑原繁らとともに1955年11月にこれを完成した。日本では最初であり、リレー計算機として世界最大、最高速のものであった。(後略)」。 》

――良太さんとはお見合い結婚だったのですか?

  恋愛です。私が実践女子専門学校に通っていた時、友達の家に下宿していて、そこで出会いました。

 

 

――ところで消費生活コンサルタントという資格をお持ちですが、これはどのような動機から取られたのですか?

  子どもが学校に通うようになり、時間ができたので、小金井市の物価調査員に応募しました。月1回だったか、指定された品目について価格を調べ、報告するのです。それをやっている間に、市の職員から「財団法人日本消費者協会で『消費生活コンサルタント』の養成講座をやっているから、行ってみませんか」というお話があり、それで行ったのです。

 

 サリドマイド被害や森永ヒ素ミルク事件などが起きた後で、消費者が被害となる問題に関心もありました。1カ月ほど講座に通い、資格をとりました。昭和46年(1971年)のことです。消費生活コンサルタントとしては第11期生で、小金井市民としては第1号でした。

 

 第1号と言えば、小金井市の消費生活相談員としても第1号です。昭和43年に消費者保護基本法が制定され、消費者保護のために小金井市でも消費生活相談員を置くことになり、昭和48年に最初の相談員となったのです。2人体制で、1人週1回担当しています。これを20年間務めました。

 

――長く消費者問題と向き合ってこられた。それがご自身によるごみ減量努力にもつながっているのでしょうか?

  消費者問題というのは生活のあらゆる分野に関係します。とりわけ、ごみ問題、食べ物の問題は一番消費者に直結した問題で、消費者として運動しなければならないテーマだと私は思っているからです。

  きれいごとばかり言っているのではなく、実践しないと駄目だと。とにかく行動に移そうということですよ。発言するためには自分で経験したり、現場のことを知ったりしなくてはいけないと今も思っています。ただ知識だけで言っているんじゃ説得力がないですよね。これはごみ問題だけではないですが、そういう考えでやっています。そのために、駅頭でチラシを配るなど、みなさんにも減量してもらうために働きかけもしてきました。

 

――様々な勉強会に積極的に参加されるなど、80歳を過ぎてもフットワークが軽いですね。元気さを保つ秘訣は何ですか?

  毎日ヨーグルトを食べるなど、食事には気を使っています。私は栄養士の資格も持っているんですよ。でも、それだけじゃなくて知的好奇心を失わないようにしたいと考えているからだと思います。今も気になるテーマについては新聞記事などを切り抜き、まとめています。知的好奇心を失わないというのが一生の目標ですね。

末包房子(すえかね・ふさこ)さんのプロフィール
・1930年8月、栃木県に生まれる

・小金井市へは1955年の秋に。前原町在住

・1971年に消費生活コンサルタントの資格を取り、73年から20年間にわたって小金井市の消費生活相談員を務める

・小金井市消費者団体連絡協議会の元会長

・著作に「専業主婦が消える」(1994年)

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
写真をクリックすると大きくなります
全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから

小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

メルマガ登録をどうぞ!

「こがねいコンパス」からのメルマガをご希望の方は以下にメールアドレスをご入力ください。新しい「市政フラッシュ」の掲載や、次号の主な内容などについてご連絡します。

コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

 ご連絡は koganeicompass@gmail.com まで。