変える 試みる 小金井の人たち   file29-2

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          「こがねいで子育て隊」の3人のお母さん(後編) 

 

  ともに働く若いカップルが「定住するまち」を選ぶうえで、子どもを保育園に預けられるかどうかが大きな決め手となっている。保育環境は人の生き方を左右する大きな要素となっている――。

 

 「こがねいで子育て隊」のメンバーが、陳情やアンケートによって明らかにしたのは、こうした現実だ。だが、行政の当局者や市議会の一部の議員たちは、現実を直視しているのだろうか。同じ問題を抱える近隣市の対応と比べると、小金井市の緊急対策は極めて貧弱であり、保護者たちの間で失望感が広がっている。それでも子育て隊のメンバーは言う。

 

「暮らし始めた小金井で何とか良い方向にしたい。ここで子育てをしたいのです」

 

 

*記事ではブログで使用されているお名前を使っています。(ぬいぐるみに隠れるように写っているのは右から、こがねママさん、みどりママさん、ピノコさん) 

――3月議会に保育に関して3つの陳情を出しました。この3つの内容はどのように選んだのですか?

 

《3つの陳情は、①認可保育所の増設・定員拡充②認可外の保育施設利用者に対する補助拡充③待機児童の緊急救済措置--を求めた。とりわけ3番目の陳情は、「平成26年度中、できる限り早い時期に、 市の責任で待機児童の緊急救済措置としての保育室、あるいはそれにかわる施設を設置してください。 その結論を3月末までに出してください」と求めており、この陳情は3月議会で全会一致で採択された。これを受けて市議会も「待機児童解消に向け、早急に効果的な取り組みを求める決議」を採択している。残りの①と②は「継続」審議の扱いになっており、結論が出ていない。》

 

こがねママ 待機児童を抱える保護者が求めるものとしては、シンプルにこの3つだと考えました。いろいろと言えば、切りはないのですが、まずはこの3つをしっかりやってもらいたいと考えたのです。

 

実は、私は認可園の増設と、認可外の保育施設利用者への補助拡充を求めようと思っていたのですが、みどりママさんが「緊急措置の陳情も出そう」と言ってくださったのです。

 

みどりママ 私は本当に切羽つまっていたんですね。その時は、どこの保育施設からも(入園ができるという)連絡が来ていなかった状態でした。非常にあせっていて、「とりあえずどうするんだろう?」という思いでした。

 

インターネットで調べると、待機児童問題を抱える他の自治体では様々な緊急対策をとっていました。例えば武蔵野市では2月の時点で緊急待機児童対策としてグループ保育室などを開設するというお知らせが出ていたので、「えっ、小金井は何もないの?」と。とりあえず、どうにかしてほしいという気持ちが強かったですね。

 

――今年4月には「小金井市の保育・待機児童に関するアンケート」をウェブ上でやりました。目的としては「小金井市民の保育・待機児童の実態や要望を把握し、小金井市に届けて改善につなげる」とあり、81人の保護者から回答があったそうですね。市役所の保育課にもすでに報告されています。なぜアンケートをやってみようと?

 

みどりママ 新しい子ども・子育て支援制度が来年4月から始まりますし、待機児童の緊急措置を陳情で求めたものの、待機児童を持つ保護者のみなさんは実際にどう考えているんだろうと思ったのです。本当に認可園が良い、と思っているのか。例えば保育料の問題についても「いくらでも払うから希望のところに入りたい」という人もいるかもしれないし、「とにかく安くしてほしい」という人もいるかもしれない。どういうニーズがあるのか単純に調べたいと思ったんです。

子育て隊のブログから
子育て隊のブログから

――みどりママさんのお仕事は商品開発でしたね。

 

みどりママ はい。仕事の一環としてリサーチをしていることが多々あり、その関係もあって待機児童・保育に関するニーズを調べようと思いました。市は市として、新しい制度に向けたニーズ調査をやっていて、私も回答者の1人となったのですが、それはそれとして、「こがねいで子育て隊」のブログをご覧になっているみなさんはどういう風に思っているのかな、と。

 

――やってみてどうでした?

 

みどりママ 思っていた以上に、「希望する保育施設」として認可保育園を挙げている人が多かったですね。アンケートをやった後で考えた感想ですが、私は認可保育園というのを知らないんですよね。見学はしたことはありますが、体験したことがないので実際に良いかはよく分かりません。

 

今、子どもが通っている認証保育園は小さなところですが、園庭がないところに通うと、(保育園から公園などに)毎日歩いて行きますし、色んなコースを行きます。結果的によく歩くようになるので、「あっ、こういう効果もあるんだなあ」という感じです。入園前は、デメリットに感じていたところが、そうでもなかったと思うようになりました。保育の内容は認可、無認可問わず園によって違うし、相性もあるし、何が良いかは人によるな、と。

 

自分も含めて、アンケートに答えられた方が認可園を求める理由は――もちろん今、認可園に通っているという人もいますが――「認可」されているという安心感、そして「認可されていない」ところへ子どもを預ける漠然とした不安が大きいのかな、と思います。

 

(子育て隊のブログから)
(子育て隊のブログから)

 

 

――6月11日の市議会厚生文教委員会で、市当局は「今年度の待機児童解消方針」を報告しました。4つの施策が掲げられていて①公立保育園で10人を新規受け入れ②認可保育園で来年1月に定員20人の分園を開設③今年度中にグループ型小規模保育事業を3か所で実施④公務員宿舎の空き部屋を利用して家庭福祉員事業を実施――ですが、どう評価しますか?

 

ピノコ 今は産科のある病院で働いているのですが、小金井市の方の出産が増えているように感じています。市内には新たなマンションの建設も進んでいるようですし、一時的かもしれませんが、未就学児の数は増えていくのではないかと思います。「今年度の待機児童解消方針」では現時点で待機児童となっている子どもたちですら全てをカバーすることができないので、来年度はどうなっちゃうんだろう?ととても不安です。「今年度」とは言わず、もっと先を見越した方針、計画を立てて欲しいです。

 

――みなさん、今年度は認証保育園などの保育施設にお子さんを預けることができたわけですが、それでも「子育て隊」の活動を続けているのは?

 

こがねママ でも、気持ちは「待機児童(を持つ保護者)」ですね。厚生労働省の新定義では、待機児童ではないとされていても、認証保育園にお子さんを預けている多くのお母さんたちの気持ちは「待機児童」だと思います。本来であれば認可園での保育が叶う高い指数の方が多い印象です。一部の認証保育園をのぞけば、あえて認可外の保育施設を選んでいる方は少ないじゃないかと思います。

 

みどりママ 陳情の際の署名にご協力いただいた方でこんな方がいらっしゃいました。4月ぎりぎりまで決まらなくて、結局決まったのが他市の小平だったとか、勤務先の立川だったりとか。他市に預け先が流れているケースがすごく多いのではないかと思います。小平に預けているお母さんが話していたのですが、保育施設まで自転車で片道30分かかるそうです。「なんとか自分の住んでいる近くに子どもを入れたいのだけど、でもそこ(小平の施設)は受け入れてくれたから、ありがたいんだけど・・・」と。

 

――これから「こがねいで子育て隊」としてやってみたいことは?

 

こがねママ 予防接種マップを作りたいと思っています。

 

――予防接種マップとは?

 

こがねママ 小金井に引っ越してきて驚いたことのひとつは、予防接種のフォローが何もないことでした。以前に住んでいたところは、(区役所の)保育課もそうでしたが、対応がすごく丁寧だったんです。保育課でも地域ごとに担当が1人いて、相談に乗ってくれたのです。保健センターでは、予防接種についてもあそこの病院は同時接種推奨派、あそこは推奨派ではない、とか、あそこはB型肝炎もやっているよとか、いろんなことを教えてくれたのです。

 

ところが、小金井だと「病院に直接問い合わせてください」と言われてしまうので、市内の病院に片っ端から電話をしました。

 

ピノコ 任意の予防接種の場合は、それぞれの病院に問い合わせないとやっているかどうかが分かりません。小児科で働いていた時に、電話で問い合わせてきたお母さんたちから「どこが他の病院でやってませんか?」と聞かれることも多かったのですが、自分が働いているところと自分の子どもが通っている病院のことしか教えてあげられませんでした。開院時間や予防接種をどの曜日にやっているかも病院に直接聞かないと分かりませんし、とても不便ですよね。

 

――みどりママさんは?

 

みどりママ うーーーん、そうですね。私はワークショップとかやってみたい(笑)。私は、結構、子育てに行き詰っていたというか、孤独を感じていました。特に、ママ同士の情報とかも自分で積極的に取り入れなかったため、ぽつん、という感じになってしまったんですね。

 

「まあ、私は仕事に復帰するから」なんて思っていたのですが、子育て隊のみなさんといろいろと知り合いになって、やっと地域のママさんたちとつながっていろんな情報が入ってくるようになりました。保育園とかお医者さんの情報とか、すごくありがたいと思っています。そういう(関係をつくれるような)子どもと親が一緒になった、何かのワークショップをやってみたいですね。

 

――児童館や学童保育所で子どもと親子が交流する「子育てひろば」という事業もありますが。

 

みどりママ 児童館には行きましたが、なかなか距離感が・・・。児童館に来るお母さんたちは、専業主婦のママと、仕事に復帰するママに分かれています。私が子どもと児童館に通ったころは、「復帰するママ」はすでに仕事に復帰していたということで、必要とする情報があまりなく・・・それで孤独を感じていたということもあります。

 

こがねママ 保育園児を持つ親は基本的には平日の児童館にはいないので、知りたい情報を入手しにくいんですね。

 

――ピノコさんは?

 

ピノコ 私は他のお2人よりも、小金井で長く暮らしていますので、病院や遊び場など小金井の子育て情報を多く発信できたらと思っています。それから、今回、陳情の署名を集める中で、「これから子どもは減っていくのだから、子どものためにおカネを使ってもしようがないんだよ」と言われることがありました。高齢の方にそうしたことを言われるのが多く、悲しくなりました。ですから、そうしたお気持ちを変えてもらえるような活動もできたらいいなとも思っています。

 

 

こがねママ 子育て隊のブログに寄せられたメッセージの中に、「異議申し立てに興味はあるけど、いざとなれば引っ越そうと思います」というものもありました。私も一時は、子どもの預け先が見つからず途方に暮れていた時、『もう(小金井の豊かな)緑なんかどうでもいいや。週末、野川にいくらでも連れてきてあげる!」と引っ越しを考えたこともあります。

 

でも、それも悲しい話ですので、暮らし始めた小金井で何とか良い方向に変えられればと思っています。小金井で子育てがしたいのです。

 

(終わり)

こがねいコンパス第55号(2014年7月5日更新)

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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