変える 試みる 小金井の人たち file29-1

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「こがねいで子育て隊」の3人のお母さん(前編)

 

 待機児童問題が深刻化する小金井市。2月28日には赤ちゃんを抱いたお母さんたちが市役所に集まり、認可保育園の入園不承諾に対する集団異議申し立てを行った。メディアは大きく取り上げ、市議会では「待機児童解消に向け、早急に効果的な取り組みを求める決議」が採択された。小金井市の待機児童問題に大きな一石を投じた、普通のお母さんたちの思いとは――。

 

*記事ではブログで使用されているお名前を使っています。(ぬいぐるみに隠れるように写っている上の写真は右から、こがねママさん、みどりママさん、ピノコさん)

 

――みなさんは、いつからどのような理由で小金井へ?

 

こがねママ それまでは23区内に住んでいましたが、子どもが生まれたのをきっかけに、通勤に便利な中央線沿線で家を探しました。小金井は緑がたくさんありますし、公立の小中学校がしっかりしていて、教育環境が落ち着いているということも調べて「ここなら定住できるかな」と。

 

そこで、2つの保育施設に通いやすいマンションを選んで、2012年12月に引っ越してきたのです。ただ、残念ながらその二つの保育施設に入ることはできませんでした。

 

みどりママ 私は2010年に結婚して、夫の社宅が小金井にあったのでそれがきっかけで小金井へ。社宅から引っ越すことになり、去年(2013年)の年末に同じ町内のマンションに引っ越しました。

 

――同じ町内に住もうと思ったのは?

 

みどりママ 12月に保育園の申し込みがあったんですね。他市への転居も一瞬考えたのですが、子連れで家と保育園を探すのは大変だと思い、「小金井にしよう」ということになったのです。「今住んでいる場所だと、どこの保育園に行ってもある程度近いな。新しくJRの高架下に認証保育園もできるし」と思っていたんですね。

 

――ピノコさんは?

 

ピノコ 私は、実は生まれも育ちも小金井なんです。就職を機に家を離れ、結婚をした時には武蔵野市に住んでいました。2007年に子どもが生まれ、保育園を探そうとしたときに武蔵野市では待機児童になりそうだったので、近隣市の府中とか小金井の保育園状況を調べ、その年は小金井ならば入れそうという感触があったので、保育園に入りたいという目的でその年の10月に小金井に戻ってきたわけです。翌年4月にはちゃんと認可保育園に入ることができました。

 

――その時は作戦成功、だったわけですね。

 

ピノコ そうですね。当時は常勤で働いていて(入所の必要性を判断する指数が)100点満点だったということもありました。

 

――今、お子さんは何歳ですか?

 

こがねママ 2歳です。

 

みどりママ 1歳です。

 

ピノコ   小学1年生と0歳です。

(ブログから)
(ブログから)

――なるほど。さて、2013年6月に「こがねいで子育て隊」のブログがスタートしています。これをもって「こがねいで子育て隊」の発足になるのかなと思うのですが、ブログを始められたのは、こがねママさん? どんなきっかけからですか?

 

こがねママ はい。昨年4月に会社に復職した後、(小金井市内の)児童館に行けなくなってしまったんですね。すでに待機児童を経験していましたから、地域とのつながりが無くなってしまい、すごく不安になったのです。(昨年4月時点での待機児童数が)188人ということでしたが、188人の子どもを抱えている「私の仲間たちは一体どこにいるのだろう?」と思ったのです。

 

それで、ウェブでブログを始めてみよう・・・というのも、児童館で(お母さんたちと)「保育園に入れた」「入れなかった」という話は実際には結構しづらい話なんですね。例えば同じ0歳クラスなのに「(指数が)100点満点で入れた」「100点満点なのに入れなかった」というのは、年収の差の話になってしまいます。

 

――同じ点数だと、年収の低い方が優先的に保育施設に入ることができるわけですね。

 

こがねママ そうです。ウエブだったら色んなやりとりができるかなと考えて、「こがねいで子育て隊」というブログを始めたわけです。

 

――2013年9月6日には、ブログにこんな記事が書かれています

 

《私も認可園に落ちまくって、お先真っ暗だった時、児童館でお会いした認可に入れたママさんに恥ずかしながら嫉妬しました。それはそれは嫉妬しました。

 

でもその時に私の母が「同じ子育て中の母として、仲間なのに、嫉妬ばっかしててどうする!?指数がどんなに細かく規定されようと、正社員だろうがパートタイムだろうが希望者全員が希望する保育園に入れなかったら不公平感なんてなくなるわけないじゃない。妬んでないで、やる事やりなさい!」と怒られました(@Д@;

(私の母は元保育士なので、色々思うところあるようです)

 

いや恥ずかしい。嫉妬してばかり、恨むべき先は隣のママさんではないのに・・・。いやでもそんな事ゆったって復職出来なかったらどうすんのよー涙!って、本当に鬱々とした日々でした・・・。それでもキャンセル待ち順位の比較的高かった保育園にもう1度見学にいき、園長先生や保育士さんとお話しして、その保育士さんのお子さんも無認可に預けてる・・・というお話を聞いたりして、反省しました。。。

 

希望者が希望するところに入園出来る自治体になるといいですよね・・・。その為に、来年何が出来るかモヤモヤ考え中・・・。う~ん・・・》

 

――この記事を書かれた時には、すでに「やるべきこと」は頭の中にあったのですか?

 

こがねママ ブログを立ち上げようと思った時には、集団異議申し立てをしようと思っていました。ただ、いきなりそういうことを言うよりも、地域の情報や(子どもの)予防接種の情報とか、「なくて不便だな」と自分が感じていた情報を発信していったのです。「ことを荒立てたい」というだけで始めたわけではない、という気持ちがありましたから。

 

――それでお母さんに叱られたエピソードも入れたということですか?

 

こがねママ そうです。実際、母の言うことはもっともでしたし。

 

――反応はすぐに?

 

こがねママ いえ、来なかったですね。その年の冬ぐらいまでは1人でこつこつ、という感じでした。そのうちに初めてピノコさんがメールをくださって・・・。

 

――ピノコさんはどのようにしてこのブログを知ったのですか?

 

ピノコ その当時は小児科で働いていました。患者さんからの問い合わせの中に、「他の病院での予防接種の情報を教えて欲しい」というものが結構な数あり、インターネットで検索をしていたらたまたま(こがねいで子育て隊のブログの)予防接種の記事が見つかり、「こういうことをやっているお母さんもいるんだな」と思ったんです。

 

その後、私が父の看病のために非常勤になり(入所の)指数は下がってしまい、認可保育園に入るのは難しいと思っていたわけですが、一時保育を利用しながら仕事と家族の看病をするのは負担が大きいので、「何とか認可に入れないだろうか」と思うようになりました。集団異議申し立てという方法も必要かも、と考えるようになった時に、検索したらまた同じブログにたどりついたというわけです。それでコンタクトをとってみようと。

 

――みどりママさんは?

 

みどりママ 私は引っ越ししようかどうか迷っていた時に、小金井の保育園は他市と比べてどうなんだろうと思って、「小金井」「保育園」というキーワードで検索したんですね。そうすると、「こがねいで子育て隊」のブログが真っ先に出てきたのです。ですからブログは見ていましたが、特にコメントとかはしていませんでした。

 

今年の2月8日に(認可保育園に入園できるかどうかの)結果が来て、「不承諾」でした。それで不安になり、初めて(ブログの記事に)コメントしたのです。

 

――実際に3人が顔を合わせたのはいつ?

 

こがねママ 陳情を出すという記事をブログに書きました。異議申し立てだけだと(却下された場合に)強制力がありませんから。陳情を出すにあたって署名を集めようということになり、私たちや他のメンバーが署名集めの方法などを検討するために集まったのが2月でした。

 

――現在、「隊員」は何人ですか?

 

こがねママ 7人ですね。

 

――行政不服審査法に基づく異議申し立てというのは、あまり一般の市民にはなじみのないものだと思いますが、どうしてご存じだったのですか?

 

こがねママ 杉並区のお母さんたち(「保育園ふやし隊@杉並」)が、私たちの1年前に集団異議申し立てをやりました。ちょうど私は保育園に子どもを入れることができず、心が折れていた時期だったので、大々的に報道されたのを見て、「あっ、こういうやり方があるんだ」と思ったんです。

 

その時に自分でもやってみようと思ったんですが、その後で認証保育園に入れたので、「まあ、いいか」と、振り上げたこぶしを一度降ろすような感じでした。

 

杉並のお母さんたちの集まりにも参加して、どうやったのかなどをうかがうと、異議申し立てだけではなくて、区議会の議員全員にあいさつしたりとか、区議会に陳情を出したりとか、いろんなことをやられているのを知ったわけです。そこで、異議申し立てだけでは(行政に)動いてもらえないんだなと気が付きました。

 

――「保育園ふやし隊@杉並」の取り組みがお手本になったわけですね。

 

こがねママ そうですね。あと足立区の「保育所つくってネットワーク」とかも。そうした首都圏の保護者グループが連携しているメーリングリストがあり、そこで色々と聞いたりしました。

 

――集団異議申し立ては、杉並の取り組みのように、地域や社会にインパクトを与えることを狙ったものですか?

 

こがねママ インパクトを与えたい、というよりも、ただ「(今の現状を)伝えたい」という思いからでした。

 

――2月28日の集団異議申し立てでは、61人もの申し立てになりました。赤ちゃんを抱いた多くのお母さんたちが市役所第2庁舎に集結されたのは、小金井市では初めてのことでした。これほどの数になると思っていました?

 

こがねママ いえ、思っていませんでした。

 

みどりママ 20人くらいかな、と話していたんです。

 

――それは「こがねいで子育て隊」のブログを見たのがきっかけになったのでしょうか?

 

こがねママ 「ママ友から『異議申し立てをやる』と聞いたので、私も行きます」という人が多かったですね。

 

ピノコ チラシをもらって知った、という人もいましたね。

 

――集団異議申し立てをやってみての感想や手応えは?

 

みどりママ こんなにいたんだな、というのにまずびっくりしました。それほど不満を持って、「私も」という思いの人がいるんだなと感じました。こうやっていろんなメディアに取り上げられることで、小金井市に与えるインパクトはこんなに大きかったんだなと思いました。

 

――ピノコさんは?

 

ピノコ 私も同じですね。他市の方から「小金井、がんばったね」と言われました。メディアで大きく取り上げられたことで、市の方も重く受け止めてくれたんではないかなと思います。

 

――認可保育園への入園が「不承諾」となり、預け先が見つからない状態というのは不安で、孤独感を感じるということがブログに書かれたり、陳情での意見陳述で述べられたりしていましたが、そういうこともあって予想外に多くの人が異議申し立てに参加したというのは、うれしかったのでしょうか。

 

こがねママ うーん。逆に私は、こんなに大勢の人が集まり、悲しい事態だな、と思いました。小金井市の就学前児童数は杉並区の4分の1ぐらいですが、異議申し立ては杉並と同じくらいの人が集まったわけです。これは、ひどいなと思ったのです。

 

(後編に続く)

こがねいコンパス第54号(2014年6月21日更新)

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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