変える 試みる 小金井の人たち   file26

変える 試みる 小金井の人たち file26

ママレボ・カフェ実行委員 井寺喜香さん

 

東京・小金井で暮らしながらも、「3・11」は自分の中で何かを変えた。何かが変わった――。そう感じている若いお母さんたちは、少なくない。

 

今まで政治のことも原発のこともまったく気にとめていなかったのに・・・。でも今は違う。子どもたちのためにも「今の社会を良くしたい」と思う。

 

ママレボ・カフェはそうした思いから始まった。ママ世代の女性たちが、社会で起きている問題を「学び」、「話し」、そして具体的によくするための「アクション」について、みんなでわいわい楽しみながら考えていく。

 

 

 

 

――ママレボ・カフェは、雑誌「ママレボ」編集チームの人たちと一緒に実行委員会を立ち上げ、2013年から始まりましたね。どういう経緯でスタートしたのですか?

 

その前年の2012年は民主党政権の下で、どのように脱原発を進めるかという議論が国民的レベルで活発に行われた時期でした。7月には中国電力・上関原発の建設問題に深く影響する山口県知事選があり、脱原発派である環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也さんが立候補されました。私たちは参議院会館に飯田さんの出馬記者会見に出かけました。原発事故で重苦しい時期でしたが、飯田さんのお話に希望がありました。そしてインターネットなどの場で飯田さんを応援、脱原発の必要性を訴えました。脱原発を進め、自然エネルギーを広げるために、そういう人物を政治の場に送り出そうという動きが広がっていたと感じます。

 

その年の12月の都知事選では、ママ世代の女性によって各地で立ち上がっていた団体が連携して、駅前でお母さんたちがマイクを握り、脱原発を主張した宇都宮けんじさんを勝手連的に強く応援したのです。

 

結果的には猪瀬さんに大差をつけられて敗北したわけですが、「このまま手をこまねいていてはいけない。(2013年夏の)参議院選挙もすぐに来るよね」という話になりました。一方で、私たちに「政策を語れ」と言われても、なかなかできないのも事実です。だから、「今度は勉強してみよう」ということになったわけです。

 

――では当初から2013年夏の参議院選挙に向けて、ということだったのですね。

 

そうですね。とりあえず参議院選挙までやって、その結果を踏まえ、次をどうするかを考えよう、ということでした。

 

       上原公子さん
       上原公子さん

――ママレボ・カフェは第1回が2月に「子育て中のママたちが社会を変える!」というテーマで、講師が元国立市長の上原公子さん、当時市議だった漢人あきこさんのお話、第2回が4月に「食の安全、本当に大丈夫? TPPから見えてくる、知っておきたい食のこと」で、講師がコミュニティスクール・まちデザイン理事長の近藤惠津子さん。第3回が5月に「もっと知ろう憲法のこと」で、講師が弁護士で「憲法伝道師」の伊藤真さん、第4回が6月に「聞かせて、福島の声。学ぼう、子ども被災者支援法」で、講師が『民の声新聞』発行人の鈴木博喜さんでした。11月には「番外編」共催として、「子どもと未来を守る小金井会議」と一緒に、福島県いわき市の佐藤和良市議らを招き、福島の現状や原発事故子ども・被災者支援法などを学ぶ会を開きました。場所は小金井やこの近くが多かったですね。

 

そうですね。実行委員は私を含め3人ですが、住んでいるところが小金井、東村山、八王子でしたので、「続けるためにも、なるべく近くで、そして興味のある人が連続して参加しやすい場でやろう」ということになったわけです。

 

――毎回、何人ぐらいの方が参加されました?

 

第1回目は40人ぐらいですかね・・・。第3回の憲法がテーマだった時には、講師が著名な伊藤真さんだったこともあって平日の午後でしたが40人近い人が集まりました。かなり多くの人が集まりました。しかも私たちの主旨に賛同いただき好意的な対応をしてくださいました。

 

――カフェに参加された方たちの反応は?

 

第1回の上原公子さんのお話は、すごく感動的でした。参加されたお母さんたちに励ましを与え、一歩踏み出すきっかけをつくってくれたと思います。第2回の食のお話は子育てに直結する問題だけに皆さん真剣そのものでした。台所と政治のつながりが見えて興味深かったです。

 

伊藤真さんの憲法のお話もすごく分かりやすく、憲法は法律の親分ではなく「国家権力を抑えるもの=国民を守るもの」であるということに目からうろこでした。自分が持っていた憲法のイメージとはまったく違う位置づけや役割が見えてきました。

――今年はどのような活動を企画しているのですか?

 

今年は特に「ママレボ・カフェ」というスタイルはとっていません。ただ、選挙のたびに感じるのは、被ばくや原発事故のことももちろん、政治や社会の問題について日ごろから 普通に井戸端で話せる土壌が大事だということです。

 

被曝のことも事故のことも社会の関心も風化してきて、危機感ある人の中だけで情報が閉じています。同時に事故から3年たって、状況も変化してきました。

 

そこで、もう一度きちんと知りたい、周りの人に伝えていきたい、普通に話せるきっかけをつくりたいとの思いから、鎌仲ひとみ監督のDVD「カノンだより」を見て、気軽にできる上映付きカフェを企画しました。それが、カマレポ♡カフェです。数人で自宅で、近所のレンタルスペース、カフェなどで気軽にできるスタイルで全国での展開を目指しています。

(鎌仲ひとみさんのHPから)
(鎌仲ひとみさんのHPから)

 

キックオフの集まりを2月16日に自由が丘でやり、会場は満席でした。3月6日には小金井の「シャトー2f」のカフェで開催、小金井や周辺の区市から30人ほど集まりました。こちらも定員超えで大盛況でした。

 

小金井では福島からの避難者の方にも話してもらい、「よい機会だった」とアンケートにもありました。上映のあと、グループに分かれて話し合う時間を設けました。キッズルームは若いお母さんの茶話会のようでしたし、会場のみなさんも話し出すと止まらなくなり、何回も時間延長をしました。

 

――やはり、話すことが大事ですか?

 

そうですね。ただ、一方で「参加したいのだけど、何かしゃべらなくてはいけないのが苦痛」という人もいますね。実際に参加された後は「お話できてとてもよかった」という反応が返ってくるのですが。

 

「学び」と「話す」がセットですね。でも話すことを無理強いはしたくないと思っています。

 

――ママレボという雑誌が始まったのは?

 

2011年7月に「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」(子ども全国ネット)が発足し、そこから編集チームが生まれ、独立しました。私は子ども全国ネットの立ち上げの時から参加しました。小金井では5月に「子どもと未来を守る小金井会議」が発足したのですが、全国各地で一斉にそうした団体やグループが生まれ、そこから全国ネットができたのです。

 

私の子どもがまだ5歳でした。でも不安と怒りで動かずにはいられませんでした。子どもと周囲の人の理解と協力に感謝しています。

 

 

――3・11前には、原発の問題とかに関心を持っていましたか?

 

全然知りませんでした。子どもの幼稚園で知り合った友人から地球温暖化の話を聞いて、「こんな大変なことになっているんだ」と思っていたぐらいですね。

 

その友人に薦められ、鎌仲監督のドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転』を渋谷に見に行ったのがちょうど3・11でした。だから、東日本大震災が起きた時、私は映画館の中にいたんです。

 

帰宅難民となり街を歩きながら、こんな社会問題をどうして知らずにいたのか??? そのことが頭の中でぐるぐるまわっていました。

 

私は実は、大学を出た後、中央省庁の外郭団体で2年半ほど働いていました。そこで色々と汚いものを見てしまったのですが、「世の中はこんなもんだろう。臭いものにふたをして、私はそことは関係のないところで生きていこう」と決めていたのです。ところが・・・

 

――ところが、そうはいかない。

 

そうはいきませんね。子どもがいなかったら違ったかもしれません。そこは分かりません。

 

(ママレボのHPから)
(ママレボのHPから)


――選挙に積極的に関わったり、ママレボ・カフェを始めたりしたご自身を振り返ってみてどうですか?

 

こんなふうに動きだした私を評価してくれたり、感謝されたりもするのですが、なんか違うんですよね。

 

どんな忙しい人でも、どんなに関心がない人でも、大人一人ひとりが、その人の行動範囲の中で小さな行動、小さな声をあげていかないと、子どもも守れないし、社会もかわらないと思っています。だから自己満足だけはしないようにしています。

 

 

――なるほど、本当にそうですね。ところで小金井へはいつからですか?

 

2001年からです。夫が独身時代、小金井にあった会社の寮に住んでいたんですね。結婚した後も、夫が「小金井が好きだ」というので小金井に来ました。

 

(終わり)

こがねいコンパス第48号(2014年3月15日)

 

井寺喜香(いでら・よしか)さんのプロフィール

徳島市に隣接する、人口3000人に満たない小さな村で生まれ育つ。3人家族で本町在住。

徳島の有機農法などでつくる野菜や特産品を、東京で販売する「とくしまマルシェ」のお手伝いもしている。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

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後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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