変える 試みる 小金井の人たち   file23-2

変える 試みる 小金井の人たち File23-2

冒険遊び場(プレーパーク)を運営する

NPO法人「こがねい子ども遊パーク」代表理事の邦永洋子さん(写真右)

副代表で「こどものまち ミニこがねい」を担当する松下直子さん(左)

 

1年のうち2日間だけ、小金井市内に「こどものまち」が現れる。

子どもたちが住民となり、子どもたちが「まち」を運営する――。それが「ミニこがねい」。

 

2013年は12月7日と8日、東センターで。「まち」の中でやりたいこと、やらなければならないこと。小学1年生から高校生まで、子どもたちは半年にわたって開催に向けて話し合ったり、お店の人に質問したりして準備を重ねる。

 

ドイツ生まれの、この試みはどのようにして小金井で実現したのだろう。

――「こどものまち ミニこがねい」はどのような経緯で誕生したのですか?

 

松下 「こどものまち」は、東京の世田谷区のプレーパークで働いていた中村桃子さんという女性が、ドイツの「ミニ・ミュンヘン」に2000年夏に参加し、それをモデルとして、2002年3月に千葉県佐倉市で「ミニさくら」を開催したんです。それが日本では最初の「こどものまち」だと思います。今では北海道から九州まで全国のあちらこちらで行われています。

 

邦永 プレーパークを小金井で始めて、しばらくたった時だと思います。東京学芸大学で中村桃子さんが「こどものまち」についてお話をされたんですね。彼女の話を聞いてみて、(小金井でも)「やってみたい」と強く思ったんです。仕組みはあるけれども、子どもがやってみたいということを実現していく。こどもと関わる大人の役割がプレーパークと同じ方向性だと感じたのです。その後、ずっと実現できないかと温めていました。

 

ミニ・ミュンヘンとは:日本の「ミニ・ミュンヘン研究会」のホームページによれば、ドイツのミュンヘンで、7歳から15歳までの子どもだけが運営する小さな「仮設都市」。2年に1回、8月の夏休み期間の3週間をつかって実施されている。会場は、オリンピック公園内アリーナとその外周(屋内は約5000㎡、屋外は最大約5000㎡)で、毎日2000人以上の子どもたちが参加する。参加費は無料。

 

国際児童年の1979年に始まり、主催はNPO「文化と遊び空間」。教育などの各種専門家、職人、アーティスト、市専門部局の職員、大学生ら100人の大人スタッフが支援している。予算は、市の補助金と企業からの寄付金による約2500万円。ミュンヘン市役所では青少年局と社会局の担当が決まっている。1999年にドイツ子ども文化賞を受賞した。

 

中村桃子さんとは:1973年小金井市生まれ。早稲田大学第二文学部で卒論のテーマに「子どもの遊び」を選び、ドイツの「ミニ・ミュンヘン」を知る。東京・世田谷区のプレーパークに2年間勤務した後、2000年夏に「ミニ・ミュンヘン」に参加。2002年3月に地元の千葉県佐倉市で「ミニさくら」を開催。

――「ミニこがねい」はいつから始まったのですか?

 

松下 2011年からです。

 

邦永 2009年に「こども環境学会」が千葉市でありました。そこで出会った「こどものまち」の中高校生たちの意見に感動して、「こどものまち」熱が燃え上がったんですね。ミニ立川、ミニよこはまへ新たなメンバーと子ども連れで参加しました。それが第1回目の開催につながりました。

 

――ミニ・ミュンヘンは、隔年で実施され、期間は3週間です。「ミニこがねい」は?

 

松下 2011年から毎年実施しています。期間は2日間です。「ミニさくら」は4日間ぐらいやっていたと思うのですが、他では大体2日間か3日間ですね。

 

――中心となっている子どもたちの年齢層は?

 

松下 その時によって違います。初回は小学2年生にエネルギッシュな子がいて、その年代から中学2年生ぐらいまででしたね。2年目は中学生が高校受験の年になってしまったので来られなくなり、急に中学生層が薄くなりました。小学生1年から6年まで、ほぼ小学生だけのメンバーとなりました。ちなみに今年は、高校生も参加します。中学生だった子が受験を終えて、再び参加してくれているのです。

 

――ホームページを見ると、長い時間をかけて準備されているようですね。

 

邦永 半年ぐらいかかっていますね。最初は月に1回か2回、定期的に集まり、次第に回数を増やしていきます。

 

松下 「ミニこがねい」を運営する実行委員となる子どもたちでつくる「子ども会議」は、開催までに20回ぐらい開いています。

 

邦永 今年は12月の「ミニこがねい」に向けて6月から始めました。7月にはファミリーマートや、小金井市役所の職員の方が来てくださって、仕事について話してくれました。

 

松下 先日は多摩信用金庫の方にも来て頂き、銀行の仕事のお話をしてもらいました。

 

邦永 (子どもたちが)やりたいお店が決まると、初年度は商工会の協力を得て、市内のケーキ屋さんや本屋さんへ見学に行きました。実際にやっているお店をみたり、お店の大人の話を聞いたりすることもプログラムの中に入れています。

 

松下 今年は夏休みに武蔵小金井駅北口の商店会「シルクロード五番街」がやっていらっしゃる「北口子ども商店」や、小金井青年会議所の「こがねいお仕事道場」、千葉市の「こどものまちCBT」にも参加してきました。

 

邦永 会議だけだと、子どもたちはなかなか楽しさを感じることができないので、実際にお店に行ったり、お話を聞いたりして、様々な人に出会ったりすることが大事なのです。

 

――そうすると、子どもたちのモチベーションが変わってきますか?

 

邦永 もともと「(お店を)やりたい」と強く思っていますから、真剣にメモをとったり、いろんな質問をしています。

 

松下 質問は大人顔負けのものがでますよ。「利率はどうやって決めるんですか?」とか(笑い)。

 

邦永 そうした知識を自分のお店に反映させようとします。書店に行った子どもたちは、そこで本にしおりを入れるのを知って、自分たちのロゴ付きのしおりをつくったり、「ブックカバーをつくってみよう」という話をしたりしています。

 

――2日間、どんな「まち」が生まれるのでしょう?

 

邦永 その時々によって仕事の内容は変わっていきますが・・・

 

松下 食べ物やさんだと、毎回やっているのがカフェですね。飲み物のほか、クッキーも――「ココアちゃん」というキャラクターを描く子がいるのですが――ココアちゃんキャラのクッキーを前もって作って売ります。また、前回は「カリカリちゃん」という、パンの耳にお砂糖のキャラメルをまぶしたものや、みたらし団子とかも。自分で作りたい、売りたいと思ったものをそのお店でやるんですね。

 

カフェなどのお店だけではなく、市役所がやっているような公共サービスの担い手も「まち」には必要です。当日、やってきた子どもたちの受付をする「お仕事紹介所」、警察、銀行、清掃係りなど。新聞社もあります。

 

――ミニ・ミュンヘンでは、「市民権を得た後は、自由に自分の好きな仕事を見つけて働くと、『ミミュ』というお金がもらえます。時給はすべて5ミミュですが、1ミミュは税金として市役所に納めなければなりません」という仕組みになっているそうです。「ミニこがねい」では?

 

松下 「ミニコ」という地域通貨を使っています。おカネの種類は、1ミニコ、5ミニコ、10ミニコ。「ミニこがねい」にやってきた子どもたちは、参加費を払って「ミニこがねい」の市民であることを示す「市民証」と10ミニコをもらいます。昨年度は11ミニコでうち1ミニコが税金でした。

 

 

だから、すぐに働かなくてもいいのですが、子どもたちにとっては「働くこと」が「遊び」ですから、仕事紹介所に行って自分のやりたい仕事を見つけ、そこに行って30分間働きます。他の「こどものまち」ではもっと長く働けるところもありますが、「ミニこがねい」ではシンプルに1回30分と決めています。なるべくみんなが仕事ができるように回しているのです。

 

働き終わると、銀行に行って10ミニコをもらいます。そこから買い物に行ったり、(ゲームなどで)遊んだりしてもいいですし、また働くこともできます。

 

――今年の会場は?

 

松下 これまで公民館本館でやっていたのですが、今回は「(福祉会館・公民館本館の)耐震化工事があるかもしれない」ということで、東センターでやることになりました。

 

――子どもたちにどのようなプラス効果があると感じていますか。

 

松下 遊びは遊びですが、「こどものまち」は自分がやりたい店をやるために何をしなければいけないかを――多少は大人のアドバイスもありますが――自分で、自主的に考えます。自分の(やりたいという)気持ちから、どんどん(そうした考えが)出るんですね。

 

「仕事」というと、大人は「大変なこと、つらいこと」というイメージがあるかもしれませんが、子どもたちにとって――全員ではないかもしれませんが――大人は憧れの存在のようです。「ミニこがねい」を紹介するチラシのキャッチフレーズは、子どもたちがつくったものですが、その1つに「大人に近づける」という言葉があります。実は、そんな思いが子どもたちにはあるんですね。仕事をするんだけど、わくわくする感じで関わっていると思います。

 

一方、子どもなので「全然できていないじゃん」というところもあります。こっちがフォローしなければいけないところも多々あります。ただ、「ミニこがねい」の2日間になったら、大人スタッフはあまり手をだしません。その準備まではいろいろと手伝いますすが、2日間は子どもたちでやるしかないのです。

 

前回は1日目、色んなことがうまくいかず、ずいぶんと滞ったんですね。受付や仕事紹介所などで行列ができたり、仕事が足りなくなったり、来た子どもたちが文句を言って帰ってしまったりとか。

 

1日目が終わった後、子どもたちと反省会をしました。それを踏まえて2日目は、子どもたちが問題をどんどん解決していったんですね。それが素晴らしいなと感じました。

 

子どもたちから「明日もやれればいいのに」「やればやるほど、うまくできる」という言葉が出てきます。だから、1日限りではなく、2日間というのが大きな意味を持っています。

 

――昨年は2日間で何人ぐらいの子どもたちが参加したのですか?

 

松下 リピーターの子どももいるので、延べで約500人です。

 

――実行委員となる子どもたちは?

 

松下 前回は50人ぐらいいたのですが、今年は30人ぐらいです。

 

――今年で3年目ですが、運営面でどんなところが難しいですか?

 

邦永 大人のスタッフを集めることでしょうか。

 

松下 子どもたちについても、毎回来てくれる子もいますが、子どもたちも結構忙しいので集まりが悪く、準備が進まないとか・・・。

 

――最後に、お二人はどんな子どもだったかをお聞かせください。

 

邦永 おとなしくて外で遊ばない、家の中で本を読んだり、お人形さんの服をつくったりして遊ぶのが好きな子どもでした。自分から何かをするということはなく、「見ている」のが好きでした。千葉県の銚子市生まれなのですが、体が小児ぜんそくで少し弱かったんですね。運動会も参加してはだめと言われていました。4年生ぐらいまで、「綱引きしかやってはダメ」と言われました。なんで「綱引き」は良かったんだろう(笑い)。その後、水泳をするようになり体は丈夫になっていきました。

 

松下 神奈川県の大磯町で育ちました。木登りとか、空き地がいっぱいあったので空き地で遊んでいましたね。高いところが好きで、飛び降り遊びとか、家の屋根に上っていたりとか。家の中より外で遊ぶ方が好きでした。今とおんなじで口数は少なかったですから、その意味ではおとなしい子でしたけど(笑い)。

 

――ありがとうございました。

(終わり)

 

 

 

邦永洋子(くになが・ようこ)さんのプロフィール

千葉県銚子市出身。趣味は?「うーん、今は趣味をする暇はないですね。寝ることと食べることかな」。得意技は「どこでも寝れます」。

好きな言葉は「すべては自分で選んでいる」(by邦永洋子)。5人家族と猫1匹で緑町在住。仕事はNPO法人「こがねい子ども遊パーク」の代表のほか、東児童館で非常勤職員も。

松下直子(まつした・なおこ)さんのプロフィール

神奈川県大磯町出身。趣味はコーラスと木登り。(「木登りは得意技とまでは言えない」という)。得意技は「人にモノを頼む」。好きな言葉は「継続は力なり」「一期一会」。

5人家族で前原町在住。NPO法人「こがねい子ども遊パーク」の副代表・理事を務めている。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

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イラクから問い続けてきたもの

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