変える 試みる 小金井の人たち file21

変える 試みる 小金井の人たち file21

小金井ジャズフェスティバルの仕掛け人 大久保正弘さんと水口誠さん

 

jazz(ジャズ)という言葉を辞書で引くと、「ポピュラー音楽の一つのタイプ」などと説明されているが、動詞としての使い方もある。

"to make something more exciting and interesting" 「もっと活気づけたり、面白くさせたりする」。

 

武蔵小金井駅北口の駅前で2011年の秋から始まった「小金井ジャズフェスティバル」のjazzは、もちろん音楽のジャズなのだが、後者の意味こそ似つかわしく思われる。この地域を《もっと活気づけ、もっと面白いまちへ》という思いのこもったイベントだからだ。

 

まったく新しいイベントを提案し、実現させた2人の仕掛け人、大久保正弘さん(写真中央の右)と水口誠さん(同左)に聞く。

 

――2011年から始まった小金井ジャズフェスティバル。今年で3回目となりますが、どのようなきっかけで始めたのですか?

 

大久保さん もともと、わたしたち武蔵小金井駅北口で商売をしている人や地権者がメンバーとなった「武蔵小金井駅北口再生協議会」で、再開発をめざしたまちづくりを論議している中での話が出発点でした。

 

「再開発をするまでに何年も時間がかかるから、このまま商店街が衰退していくのを眺めているのではなく、今できることも同時にやっていこう。商店街の活性化を今から継続的にやっていこう。そして、それは再開発後のまちでも継続していこう」という話になったのです。

 

具体的には、協議会に入っていたコンサルから「空き地を活用したイベントをやってみては」というアイデアが出て、商店街の東側の小金井街道に面した空き地を使って、屋台のイベントをやろうということになりました。

 

私が活性化部会の部会長を任命されたので、屋台をやってくれる人はどこかにいなかと探していたのですね。そのうちに、「(武蔵小金井駅北口のダイニングバーの)rasHika(ラシカ)さんが屋台をどこかでやりたいと言っているよ」という噂を聞きつけ、rasHika(ラシカ)さんのところに行ったんです。

 

――いつごろの話ですか?

 

大久保さん 2010年の12月ごろじゃなかったかと思います。小金井公園で開催される春の「小金井桜まつり」にあわせて、小金井公園に向かう起点となる武蔵小金井駅の北口でも何か賑わいをつくるイベントをしようと計画していたのです。

 

rasHika(ラシカ)さんと屋台の出店をめぐって色々と調整をしていたのですが、初めてのことなので時間がかかっていました。そういう中で3月11日に東日本大震災が起きたのです。

 

震災の発生によって、「これはもう(イベントは)できないね」という話になりました。本体の(小金井公園の)桜まつりが中止になりましたしね。

 

しかし、桜まつりの中止を「残念だね」という雰囲気がまちの中にありましたし、被災した東北の人たちを応援するために何かできないだろうかという思いもありました。そこで何か(心に)火がついたんですね。

 

rasHika(ラシカ)のマスターと私が、まず会場の床を設けるための資材を探し始めたのです。震災の後ですから、資材がなかなか見つかりませんでした。ようやく昭島市内で見つけて、1週間前から作業を始め、福島のいわき市から避難してきた人も手伝ってくれて、床をくみ上げました。さらに、「ガンバレ東北!」ののぼりを作りました。

 

実は当初は、「やるかやらないか」という葛藤が少しありました。それを「やろう」と後押ししてくれたのが水口さんでした。「これくらいのアーティストを集められるよ」という話が入ってきたのです。

水口さん ちょうど1週間前でした。いや、1週間もありませんでしたね。日曜日の夜にrasHika(ラシカ)のマスターに別の居酒屋に呼び出され、「今週の金、土、日に、こういうイベントをやるんだけど出し物がないから、なにか考えてもらえないか」と頼まれたんです。それで月曜日からミュージシャンに声掛けを始めて、結局、18組のミュージシャンを集めました。

 

――ということは、大久保さんと水口さんは、このイベントを通じて知り合ったわけですね。

 

水口さん そうです。大久保さんとは、火曜日とか水曜日に、機材の話を電話でやりとりしながら進めて、実際に顔を合わせたのはイベントの当日でしたね。

 

――その時のイベントの名前は?

 

大久保さん それが「北口さくら祭り」です。そこからスタートしたわけです。2011年の4月1日から3日までの3日間、rasHika(ラシカ)さんの出店のほか、小金井周辺の大学の学生でつくるサークル「いがねこ」のラーメン、レストラン葦のコーヒーの屋台に出て頂き、被災地支援のための募金活動もしました。

 

――春に始めた「北口さくら祭り」を受けて、その年の秋には「小金井ジャズフェスティバル」を始めたわけですね。

 

大久保さん 「活性化のための取り組みを継続的に」という話で始めたイベントでしたから。「あれ1回で終わってはもったいないよね」という大方の意見がもらえたので、同じように音楽と、出店が出るようなイベントをやりましょう、ということになったのです。最初の年は、武蔵小金井駅北口再生協議会の主催でやりました。1日だけでしたので、ほぼ手弁当状態でやり、8組のミュージシャンを招きました。

2012年の小金井ジャズフェスティバルから
2012年の小金井ジャズフェスティバルから

――昨年の2回目は規模が大きくなりました。会場も北口だけでなく、南口のフェスティバルコートでも開催し、2日間。これはどうして?

 

大久保さん 2回目の主催は駅前商店会と、小金井商工会です。昨年は「小金井なかよし市民まつり」が第40回だったので、商工会はそれにあわせたイベントとしてやったのです。こちらとしてはジャズフェスをもっと市民の多くの方に知ってもらいたいという狙いもありました。

 

――「小金井ジャズフェスティバル」という命名はどちらが?

 

水口さん 私です。「ジャズ」という言葉はオールジャンルの音楽を指していると思っています。幅広く、色んな方に楽しんでいただくという意味で、そういう風に付けました。

 

――ディープなジャズイベント、というのではないわけですね。

 

水口さん もちろん、ディープなジャズもアリなのですが、来られる方はご家族連れが多かったり、年輩の方が多かったりするので、だれでもぱっと聞いて楽しんでいただけるような、分かりやすさを、出演する方にはお願いしています。

 

――秋にやろうというのは?

 

大久保さん それ以前から駅前商店会では「フラワーフェスティバル」というイベントを秋にやっていました。それにあわせたわけです。

 
2012年小金井ジャズフェスティバルから
2012年小金井ジャズフェスティバルから

――これまでで苦労したのは?

 

水口さん 野外のイベントですので例年、天候のことが一番心配ですね。昨年も、後半に素晴らしいミュージシャンの出演を予定していたのですが、2日目の午後、激しい雨にやられてしまい、途中で終了せざるを得なくなりました。

 

最初の年の2011年は、夕方から夜にかけてお客さんがたくさん来場され、屋台の売れ行きも良かったので、とにかく「お天気に恵まれたい」と願っています。

 

大久保さん 小金井市では阿波おどりとか盆踊りとかは歴史があるのですが、ジャズフェスティバル、音楽フェスティバルというのはかなり毛色が違います。当初は、商店会の人たちや市民のみなさんに支持されるかどうか不安でした。「北口さくらまつり」である程度支持を頂いたのが良かったと思います。思えば、あの開催にこぎつけるのが一番大変でした。

 

水口さん そうでしたね。いきなり三日間もやりましたからね。

もんじぇ祭りのHPから
もんじぇ祭りのHPから

――どんなコンセプトのジャズフェスにしたいと思っているのですか?

 

水口さん 今、全国各地でジャズフェスが立ち上がっています。例えば仙台の「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」では10万人を集めています。お隣の国分寺ではジャズではありませんが、野外音楽祭T-SOULをやっていますし、最近では「すみだストリート・ジャズフェスティバル」があります。

 

私自身がモデルとしているのは、自分も出演させてもらった、相模大野でやっている「もんじぇ祭り」です。これは相模大野の駅前の公園で、3万人から5万人を集客する大きいジャズフェスティバルです。お店が30店舗ぐらいでて、地元のスポンサーもついていて、地域の活性化のために、街と連動して盛り上がっている。そんな印象があります。こちらも無料の音楽イベントですが、きっちり演奏できるプロのミュージシャンを呼び、良い音楽を聞かせるというのがコンセプトになっています。

 

小金井ジャズフェスティバルはまだ3年目です。ミュージシャンを公募で選ぶとか、いろんなアイデアは頭の中にはありますが、まずは「あそこに行けば無料で素晴らしい音楽が聴けて、一日楽しめるよ」という評価を浸透させたいと考えています。

 

――1年目はジャズ中心でしたが、2年目は三味線(都々逸)やホーメイも登場するなど、音楽の幅が広くなりました。

 

水口さん 先ほど話したように「ジャズ」はオールジャンルの音楽だと考えているので、そこはあまりこだわりがないんです。お客様が楽しんでいただければ。

 

世界でも最大級の音楽イベント、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルに1週間ぐらい行ったことがあります。フェアグラウンド競馬場を貸切にして2週間やるんですが、1000人から2000人が入れるような大きなテントが10個ぐらい張り出されていて、それぞれでジャンルごとにやっているんですね。ゴスペルテントとかブルーステントとか。モダンジャズもあれば、トラッドなジャズもあります。メインステージは集客が見込めるミュージシャンが主体ですが、2週間の大トリがボン・ジョヴィでした。もう、会場は大合唱で(笑)。

 

そういう感じで、「ジャンルに限定する必要は全然ない。とにかく楽しんでいただけたら」と思っています。

 

大久保さん ホーメイは良かったですよね。お客さんも興味を持っていただき、多く集まっていただきました。

 
クリックすると拡大します
クリックすると拡大します

――「楽しい空間」をつくる、というのがキーワードですね。今年はどのように?

 

大久保さん 今年は北口の駅前商店会主催で、10月5日の土曜日、6日の日曜日の2日間やります

 

水口さん 今年、初登場のブルースハープのKOTEZ(コテツ)は、日比谷の野外でやっている音楽イベント、ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルにも出演歴があり、日本のブルースハープ奏者の中でも、一二を争う名手だと思っています。

 

――夕方の時間帯にはボサノバが流れるプログラムです。

 

水口さん そうです。5日の山本のりこさんは、1年目の時にも出ていただきました。女性の柔らかなボーカルがお客様に人気がありました。6日のmatsumonica(マツモニカ)さんたちは、「北口さくら祭り」

にも出て頂き、お客さんが一番集まったグループです。音を聴いただけで引き寄せられる、という魅力をもっています。今回は2日間で13組が出演します。

 

――出店の方はどうですか?

 

大久保さん 今年はなんと10店舗を集めました。rasHika(ラシカ)さんのほかに、「第1回黄金井うまいもん選手権」で第1位となった黒べこ屋さんの「小金井産ほうれん草とチーズの焼きソーセージ」、第2位の「田舎うどん かもKyu」さんの「 牛スジ煮込みうどん」、第3位の小金井北口青年部さんの「牛スジ塩やきそば」が登場します。うまいもん選手権の1位から3位までが勢ぞろい、というのが今年のウリです。

 

水口さん これも楽しみですね。昨年の「うまいもん選手権」などで地域のオリジナルな食べ物、メニューへの関心が高まっていると感じています。ぜひ、ご家族連れで美味しいものを食べながら、素晴らしい音楽を聴いて楽しんで頂けたら、と思います。音楽を楽しむだけなら、入場無料です。皆様のご来場をお待ちしております。

(終わり)

 

こがねいコンパス第36号(2013年9月21日更新)

大久保正弘(おおくぼ・まさひろ)さんのプロフィール

1973年5月、小金井に生まれ、小金井で育つ。本業は不動産・駐車場管理の「アリュールマネジメント株式会社」の代表取締役。武蔵小金井駅北口の再開発をめざす「武蔵小金井駅北口周辺地区まちづくり協議会」の副会長。本町在住。

水口誠(みなくち・まこと)さんのプロフィール

1968年10月、富山市生まれ。高校卒業後上京し、4年前に小金井市本町へ。ジャズのスタンダードを空耳的な歌詞で歌う「替え歌ジャズシンガー」。CDに『JAPANESE PARODY JAZZ SONG』。http://www.amazon.co.jp/dp/B002QA7AM8

 

小金井ジャズフェスティバルの公式ホームページへは、下のバナーをクリックすると移ります。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
写真をクリックすると大きくなります
全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
Adobe Acrobat ドキュメント 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから

小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

メルマガ登録をどうぞ!

「こがねいコンパス」からのメルマガをご希望の方は以下にメールアドレスをご入力ください。新しい「市政フラッシュ」の掲載や、次号の主な内容などについてご連絡します。

コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

 ご連絡は koganeicompass@gmail.com まで。