変える 試みる 小金井の人たち   file17-2

file17-2 「緑の党」運営委員長 漢人明子さん(後編)


 昨年12月の衆院選では自民党が圧勝する一方、「脱原発」を掲げた政治勢力は離合集散によって求心力を失っている。そうした中で、「緑の党」はどのようなメッセージと政策を私たちに向けて示そうとしているのか。これまでの政党とはどこが異なるのか――。

 ロングインタビューの後編です。

 

(写真は、「緑の党」本部で全国協議会を終えた後)

――「緑の党」結成に至るまでの話をうかがってきましたが、いつの段階で2013年参院選に向けて結成しようと判断されたのですか?

 
 2010年の参院選を断念した際、「今回は無理だが、3年後の2013年参院選ではやらなくてはいけない」という考えがあったのです。そんなに先延ばしができるものではない、と。

 

 そもそも、新しく政党をつくるには、有権者の意思を正しく反映する「全国比例」のある参院選でなければ難しい。そして参院選は必ず3年ごとにあるわけです。

 

 「2013年までに絶対に準備を整えなければ、またいつになるかは分からない」という思いがあったから、そこはずっと目指していたんですね。

 

 その間に、2011年の「3・11」がありました。実は私たちは「緑の党」を立ち上げるのは、もっと選挙の間際になってからと考えていたのです。場合によっては、選挙自体は「緑のネットワーク」的にやって、当選して政党要件をとってから、「緑の党」を発足させる方がよいのではないかとも思っていました。

 

 しかし、「3・11」があり、ドイツでは「緑の党」が脱原発を実現したことの影響もあると思いますが、「緑の党」というものへの期待が大きく膨らんでいることをひしひしと感じていました。これは、早く「緑の党」を立ち上げ、アピールした方がよいという判断をもつようになったのです。

 

 「みどりの未来」の総会を2012年1月に開催し、2月に「緑の党」結成準備委員会を発足させました。

 

――「3・11」後の政治状況で、脱原発を主張する政党・政治勢力が増えました。「緑の党」の主張が有権者に鮮明に伝わりにくいと感じることはないですか?

 
 「脱原発」は今の社会を大きく変える象徴としての意味もあると思います。その脱原発が大きくクローズアップされて、世界的にもそれを先頭に立って担ってきたのは「緑の党」だということで、すごく期待を受けて、大きな責任も感じるような状況になりました。

 

 世論調査では今でも7~8割が脱原発というように社会は変わったわけです。それなのに、盛り上がった脱原発が少ししぼんだ感じになっているのは、政党間のかけひきに取り込まれてしまったから、国政の場で語られる脱原発というものへの信頼が失われてしまったからだと思います。

 

 「緑の党」は、脱原発ということだけでなく、「市民発」なのです。

 

 既成政党ではない、議員だけでつくる政党ではない。今、世の中を変えたいと思っている市民の側から立ち上げるなかで、脱原発も含めて実現する政党だということがポイントだと思います。

 

 そこが、「どこの政党だって『脱原発』と言っているじゃない」というのとは違う意味があると思います。


 原発に象徴されるような今の社会のあり方を、市民の側から変えていく。そこに期待が高まるように、しっかりとメッセージを発信していかなければ、と考えています。

 

――その関連で、前編のところでも言及されていた「緑の政治」について分かりやすく説明して頂けませんか?

 
「公正で、持続可能な社会をつくる」ということが大きいと思います。

 

――「公正」と「持続可能な社会」がキーワード?

 

 はい。「持続可能性」と「公正」がセットになっているのがポイントだと思います。今までは、公正な社会を目指していようがいまいが、とにかく(分配する)パイを大きくしていくことを目指す政治でした。

 

 経済がどんどん成長し、分配が増えていくという状況はもうありません。持続可能な地球環境や人々の暮らし方を作っていくというなかで、さらに公正な分配をという考えです。

 

(グリーンアクティブのホームページから)
(グリーンアクティブのホームページから)

――国会議員でつくられている「みどりの風」や、中沢新一さんのグリーンアクティブという団体があります。「緑の党」のイメージが鮮明に伝わりにくいような政治環境ではないでしょうか?


 「ややこしくて困ったなあ」という面と、同時に「緑の党」的なもの、「緑の政治」的なものが求められていることの裏返しでもあると思うので「良いことだ」とも思うのですね。


 どこが違うかと言えば、今行われているのはすでに選ばれた国会議員の中での離合集散で、「みどりの風」もその中の一つです。つまり、議員だけが判断してるわけですね。私たちの参加民主主義、市民から作っていこうという発想とは全然違います。

 

 グリーンアクティブは中沢新一さんが呼びかけ、著名な文化人が集まっていますが、市民が参加して何かを決定するような実態はないと思います。果たしている役割は大きいので、うまく連携したいと考え、連絡を取り合っています。

 

 そうした違いをどう伝えるかです。「新しく市民がつくることが大事」「日本で市民発の政党ができるのは初めてで画期的」ということをどう訴えられるか、表現できるかだと考えています。

 

(「緑の党」ホームページから)
(「緑の党」ホームページから)

――今(4月18日時点)、参院選の立候補予定者は7人です。参院選比例区では広く知られた方を擁立し、票を集めるというのが常套手段ですが、そこからみれば立候補予定者の知名度という点では地味な印象を持ちます。

 
 ネームバリューのある方に賛同して候補者になってもらえればそれは力になると思います。でもなかなか・・・想像されるような方々に働きかけはしたのですが、候補者になるというところまでの決意をしてもらうのは難しいです。応援団としては名前を挙げていただいていますが。

 

 選挙前の活動と、選挙公報や政見放送、解禁されるネットなどを通して、いかに新鮮さをアピールできるかですね。比例選挙では政党名での投票が多いのです。2004年参院選の「みどりの会議」の時も、中村敦夫さんが出ていても、中村さんへの投票は約20万で、全体90万票のうち政党名が約60万票を占めていました。

 

 だから、著名な人がいなくても、政党として新しさをきちんと表現できる候補者がそろい、主張ができれば、政党要件に必要な2%の得票と議席に届くだけの支持は得られると思います。ここで一気に政権をとろうと考えているわけではありませんから。

 

 私たちのこうした新しい政治をつくろうという思いが、特に「3・11」後に改めてそれが必要だと思っている人たちに届けば、著名人がいるいないにかかわらず、投票はしてもらえると思います。政党要件をとるという目標は達成できると思います。

 

――7月の参院選ではどのくらい候補者を擁立されるのですか?

 

 全体として10人の候補者を擁立します。もともとは比例区で9人、選挙区で1人を目安としてきました。昨日(4月17日)、兵庫選挙区で1人立てることを決めて発表しました。あと3人ですが、東京選挙区に擁立するかどうかを含め、今、非常に悩ましく、微妙な状況にあります。


――候補者10人というのは、公職選挙法での制約からですか?

 

 公職選挙法で、新しく政党をめざす場合は、10人以上の候補者を立てることが条件だからです。


――漢人さんが候補者になることは?

 

 私の希望としては可能性は「ゼロパーセント」です。ただ、候補者は10人そろえなくてはいけないので、最終的に1人でも足りなくてやれないということにはできませんから、その場合には候補者になることも含めて、とにかく実現したいと思っています。


――運営委員長としての現在の悩みと課題は何でしょう?

 

 選挙には資金、候補者、政策が必要です。政策についてはもともと持っているものをまとめていますのでこれは大丈夫です。


 候補者もかなり最終段階に来ていますが、できる限り早く10人を決定したいと調整中です。

 

 資金は、3月中に5000万円を超えるという目標は達成できたのですが、まだ1億円の目標には半分ですから、これをいかに会員や周辺の方たちからしっかり集められるか。

 

 さらに「緑の党」に期待し、応援してくれる広範なみなさんからカンパを寄せていただけるか。そのための有効なメッセージを発信していくこと、ですね。

 

――「緑の党」の会員はどのくらい?

 

 会員とサポーター(協力会員)をあわせて今、1300人から1400人ぐらいです。どんどん増えています。

 

(「緑の党」本部で)
(「緑の党」本部で)

――最後に、小さいころはどんな子どもだったかをお聞かせください。幼稚園から府中市内で育ったのですね?

 
 いわゆるおてんばでした。よくケンカをしていました。学級委員長でもあるし、ケンカもするという子どもです。口げんかも取っ組み合いも、いつまでやっていたかは忘れましたが、小学校のころはよくやっていました。


――部活とかは?

 

 中学校はハンドボールです。ハンドボールはやっている学校が少なかったので、ちょっと勝って都大会で3位。ゴールキーパーでした。高校では硬式テニス部でマネージャーでした。お世話係りです。


――東京学芸大に進まれたのは教員志望だったからですか?

 

 小学校の頃から「私は小学校の先生になるんだ」と決めていたんです。

 


――小学校の先生を志していたのになぜ政治の世界へ、という話は興味深いのですが、長いストーリーになりそうなので、また別の機会にうかがいたいと思います。ありがとうございました。

 (終わり)

 

こがねいコンパス第28号(2013年5月4日更新)

漢人明子(かんど・あきこ)さんのプロフィール

 1960年5月、静岡県の山奥、天竜川のほとりで生まれる。65年に府中市に引っ越し、幼稚園から中学校時代を過ごす。80年に東京学芸大学に入学、障がいを持つ子どもたちの普通学級への就学問題などに取り組む。83年から95年まで、「どろんこ保育所」で保育者として働きつつ、「小金井市放射能測定器運営連絡協議会」(放射能測定室)の立ち上げなどに関わる。

97年から4期16年間、小金井市議。

著作に「『内部被ばく』こうすれば防げる」(2012年、文芸春秋)。

緑町5丁目在住。好きなことは「ふらっとひとり旅」。

 

*緑の党運営委員長として7月の参院選に取り組む漢人明子さんのお話を、直接聞きたい方は下記のような催しが5月11日に小金井市内で予定されています。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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