変える 試みる 小金井の人たち   file13-2

file13-2 NPO法人「東京学芸大こども未来研究所」理事兼研究員

                        小山田佳代さん(後編)


学生時代は演劇に打ち込み、次第に企業のキャンペーンなどのイベントの世界へ。出産と育児で仕事は中断したが、その中での新しい出会いは大きな転機をもたらす――。
「地域で、みんなで、子どもを育てていく」ための環境づくりの大切さを痛感し、そのための人材育成や情報発信に力を注ぐ小山田さん。そこに至るまでの道のりを聞いた。

――小金井では情報誌の発行など子育て支援の活動を続けてこられた印象が強いのですが、学生時代はどんなことを?

 
高校の時に演劇部の部長で、市内のコンクールとかにも出ていました。それで大学でも演劇を専攻し、お芝居をずっとやっていました。

 

大学を卒業しても、就職せず、イベントのアルバイトをやりながら、仲間と年に何回か公演をやったり、オーディションがあれば受けに行くという生活をしばらくやっていたのです。

 

――どんな感じのお芝居ですか?

 

フツーの感じです。アングラとかではありません。そうですねえ、あの当時は・・・。一緒にやっていた人がオリジナルの脚本を書いて、それを上演するという、いわゆる小劇団のような感じですか。原作があっても、それを(脚本に)書き下ろすとか、まあ現代劇かな。


定職につかないまま、アルバイトとしてMC(司会・進行役)とかキャンペーンの仕事をやっていたのですが、結局、そっちの方が忙しくなってきました。お芝居ではおカネが稼げず、生活ができません。実際は、イベントの方の仕事を選んでしまったということです。

 

――役者になろうとは思わなかったのですか?

 

それは思っていたんですよ。思っていましたが、イベントで人前で喋ったり、商品を説明することは(自分に)合ってもいたので、そっちの仕事も面白いなあと思ってやっていました。それと生活費をかせがなければならないという事情もありましたから。


ただ、結構、演劇をやっていたことが(今の仕事の)役には立っていますね。様々なプロジェクトは演劇のように、何もない空間で何もないところから作っていくじゃないですか、そのプロセスとか人とのコミュニケーションがなければできないわけですから。

 

何もないところに形のあるものをつくっていくという、そういうのが役に立っています。

 

――ちなみにどんなキャンペーンをやっていたのですか?

 

いろいろですが、自動車とかビール会社のキャンペーンもやりました。いわゆるバブルの真っ最中で、晴海の見本市会場に出ていたり、年間契約のイベントでは全国をキャラバンで回るみたいなことだったので、北は北海道の稚内から南は鹿児島まで。本州はあらゆるところに行きました。

 

――出産と子育てによってイベントの仕事はいったん休職されたわけですが、お嬢さんが1歳の時に入られた子育てサークルでの出会いが転機だったそうですね。

 
それで今に至っているという感じです。男女雇用機会均等法が改正される直前のころで、そこで出会ったのは、みなさん働き続けたかったけど、子どもが生まれたら辞めざるを得なかったという人たちでした。

 

子育てだけだと物足りなくて、色んなことをやりたいけど、世の中的にはそういう雰囲気はありませんでした。まだ、「子どもが生まれるとお母さんが家で子育てをするのが当たり前でしょう」という空気でしたね。

 

だから、そのサークルは「子どもを遊ばせるサークル」ではなく、「自分が楽しいことをやるサークル」だったのです。「子どもは大事。でも自分も大事」というコンセプトで、子連れでお母さんたちの関心事をやるというグループだったのです。

 

それはすごく面白かったです。(メンバーは)編集をやっていた人とか、元スチュワーデスとか、料理をやっていた人とか、プロの人たちが多くいました。自分が仕事を続けていても出会えなかったような人たちと出会えたわけです。言わば「子連れの異業種交流会」ですね。

 

色んな仕事の、色んなプロの人が集まっていて、それで一緒にコラボして何か楽しいことをやろうよという感じでした。私自身は料理が上手でもないし、特に何ができるというわけではないのですが、こういう人たちを結び付けて、コラボをつくっていくという、仕事で経験したイベント・ディレクター的なところは役に立ちました。

 

そこでは色んなプロジェクトができました。みんなプロなので、出来上がるものはプロの水準なのです。それが非常に面白かった。

 

たぶん10年後にやっていることを先取りしてやっている感じでしたね。まだ、子どもを連れて電車に乗ると、「小さな子どもを連れて電車に乗って」と白い目で見られる時代でした。

 

《小山田さんは、そうした「子ども連れ異業種交流会」で出会った人たちからの刺激を受け、「トゥインクルワン」という会社を立ち上げた。女性の視点と感性を生かした様々なプランニング、コーディネート、ママと子ども向けの生活情報を発信するサービスを提供する会社だ。さらに2006年秋には、そのスタッフとともに子育て応援フリーマガジン「ココハピ」を創刊した。》

 

――「ココハピ」の発刊はどのような経緯で?

 

NPO法人「カッセKOGANEI」(小金井市民起業サポートセンター)が、情報誌を作るということでスタッフを募集していました。そこで「子育て系だったら協力できます」というと、それで良いというのでじゃあつくりますかとなりました。


1年ぐらい作ったところで、カッセでは発行しないことになりました。せっかく続けてきたのでもったいないと思い、それで「こっちでやります」と引き取ったという形です。

 

東京学芸大学のこども未来プロジェクトに関わるようになっても続けていました。平成20年(2008年)ぐらいまでだったと思います。

 

最初、大学の方には週3日ぐらいしか行ってなかったので、残りの週3日で(「ココハピ」の編集は)できていたのですが、戦略的大学連携事業の助成金が取れて、専門研究員になり、大学に毎日行くことになったのです。

 

そうすると、全然時間がなくなって・・・。それでもがんばって編集するスタッフはいたのですが、広告集め、資金集めをできる人がいなかったので、休刊にしました。だれかが引き継いでくれると嬉しいのですが、今はこちらの事業でまったく身動きができなくなっているので。

 

――2011年に発足した「小金井子育て・子育ち支援ネットワーク協議会」には、こども未来研究所はどのような関わり方を? 

 

協議会の子育てポータルサイト「のびのびーの」がうちのNPO(こども未来研究所)に委託されましたので、ここでつくっています。

 

協議会の役員会にはサイト部会、学習部会、パートナーシップ宣言部会などがありますが、私は役員でもあり、サイト部会に入っています。これまで(子育て関連の)情報を扱ってきたので、その延長なのです。(子育て関連で)やっていることは変わらなくて、やっている場所が変わっているということでしょうか。

 

自分でも最近思うのですが、やはり人と人を結びつけたりするのが、好きみたいですね。自分自身は何という特技はないのですが、みなさん色んなことをやられていると、この人とこの人が一緒にやればもっとすごいことができるとか、そういうことを考えて、実現するのが好きなのです。人と会って話すのも、色んな情報を集めるというのも好きなので、本当に、そんなことをずっとやっているような感じです。

 

自分が子育てをして世の中の見方も変わりましたし、子どもを産まなくてずっと仕事を続けていたらまた違う人生だったのかもしれませんが、子どもを産んで、地域で生きて行く。子どもが生まれていないと、住んでいてもただ寝に帰る場所でしかなかった。知らないことばかりでした。

 

子どもが生まれて地域で育っていくという部分もあるし、これまで出会えなかった方たちと出会えるようになった。本当にそういう意味で、子育ては大変ですが、得るものは大きいですよね。

 

そうして活動をしている中で、しんどいお母さんもいっぱいいて、特に若いお母さんにはどんどん増えていますし、子どもも様々な問題に直面し、こんな自分でも何か役に立つことがあればということで、今こんなことをやっているわけです。

 

今、少子化ですが子どもがもっといっぱい増えなければという気持ちもあるし、自分も子どもと一緒に育ってきた中で、お友達で不登校になったお子さんもいらっしゃるし、色んな問題を見ながら育ってきた。


子どもたちに元気になってほしい。そのためにはお母さんも元気にならなくていけないし、地域も元気じゃなくてはいけないと思います。

 

地域で、みんなで、子どもを育てていく。そういう環境作りが大事だし、地域コミュニティが子どもが育つのには大事なので、これまであったコミュニティをそのままは再生できないかもしれませんが、新しい感覚で再生し、そのなかで子どもたちが育つようになればいいのかなと思います。(終わり)

 

こがねいコンパス 2013年1月19日更新

小山田佳代(おやまだ・かよ)さんのプロフィール

 兵庫県姫路市出身。1962年6月生まれ。小金井子育て子育ち支援ネットワーク協議会理事やNPOカッセの理事も務める。結婚を機に1991年、小金井市へ。貫井南町在住。趣味は映画や芝居の鑑賞。最近は忙しくてなかなか見に行けないという。

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

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コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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