変える 試みる 小金井の人たち file13-1

file13-1 NPO法人「東京学芸大こども未来研究所」理事兼研究員

                      小山田佳代さん(前編)

こどもは未来であり、可能性であり、希望そのものだ。未来のため、子どもたちのためのプロジェクトが小金井市にある東京学芸大学で始まり、やがてそれは全国へ。東京学芸大学に生まれた研究所の活動と役割を、プロジェクトの立ち上がりから参画した小山田さんに聞く。

 

 

 

――2009年6月に発足した「東京学芸大こども未来研究所」は、何を目的に、どんな活動をしているのですか?

 
まず大枠で言うと、大学の「知」を社会に還元し、貢献するというのが大きな目的です。(教員を養成する)東京学芸大学ですから、特に子どもの教育、子育てに特化して、あらゆるニーズに応えようとしています。

 

具体的には、「人材育成」のために子どもへの理解と接し方などを学んでもらう講座の開設。おもちゃ・教材などの開発、検証、調査。また、企業が子どもたちへ提供するプログラムの開発支援などもやっています。

     
例えば、おもちゃ・教材開発では、大学の中の保育園に併設して「こどモードハウス」という実験施設があるのですが、そこで登録してもらった地域の親子に実際に使ってもらい、ヒアリングしています。

 

――「こどモードハウス」にはどんなお子さんが?

 

0歳から3歳未満のお子様が対象の「こどもひろば」では、週1回、木曜日の午前中、子育て中の親子の遊びスペース、仲間づくりや情報交換のスペースとして開放しています。読み聞かせ、手遊び、親子体操、親子工作などといった企画も行なっています。10組から、多い時には20組ぐらいの親子に参加して頂いています。また、3歳から7歳のお子様を対象にした「こどクラブ」も不定期ですが活動しています。


――「人材育成」というのは?

 

子どもを取り巻く環境が大きく変わり、親や教師の力だけではこどもをサポートできない状況を迎えています。そこで、地域で教育を支援する人材、ボランティアとして活動してくれる人を育成する講座を開設しています。
一定の講義を受けると、「こどもパートナー」「こどもサポーター」という認証が「教育支援人材認証機関」から得られます。こども未来研究所は、教育支援人材認証機関からプログラムや講座の運営を委託されています。

 

――研究所のホームページを見ますと、講座の中に「三市・学芸大連携事業 学校支援コーディネーター育成講座」というのがありますが、これは?

 
東京学芸大が地元の小金井市、隣の小平市、国分寺市の3市と連携して、平成19年(2008年)から講座を設けています。「放課後子ども教室」や「学校支援地域本部事業」が始まったことを受けて、そうしたところで活躍してくれる人材をメインにしたプログラムづくりをやっています。

 

学校支援地域本部事業については小平市はもう10年ぐらい前から始め、各学校に学校支援コーディネーターさんがいらっしゃいます。一方、小金井市はこの取り組みはやっていません。国分寺市が今年度から2校をモデル事業として始めました。徐々に全校に広げていく方針だそうです。そのコーディネーターさんが必要ということもあって、今年はこういう講座を設けました。

《文部科学省のホームページでは、「学校支援地域本部」や「地域コーディネーター」については以下のように説明されている。


学校支援地域本部は、学校の教育活動を支援するため、地域住民の学校支援ボランティアなどへの参加をコーディネートするもので、いわば“地域につくられた学校の応援団”と言えます。

 

地域住民が学校を支援する、これまでの取り組みをさらに発展させて組織的なものとし、学校の求めと地域の力をマッチングして、より効果的な学校支援を行い、教育の充実を図ろうとするものです。

 

学校支援地域本部は、基本的には、「地域コーディネーター」、「学校支援ボランティア」、「地域教育協議会」から構成されます。

 

「地域コーディネーター」は、学校支援ボランティアに実際に活動を行ってもらうなど、学校とボランティア、あるいはボランティア間の連絡調整などを行い、学校支援地域本部の実質的な運営を担うもので、学校支援地域本部の中核的役割を担い、その成果を左右する重要な存在です。これまで学校が行うことが多かった連絡調整の業務を地域が自ら行うことで、学校の負担軽減にも配慮します。地域の実情により、複数のコーディネーターやボランティアの代表で担うことも考えられます。

 

地域コーディネーターは、その業務を行うに当たり、子どもたちや学校の状況、ニーズをよく把握する必要があります。このため、学校のよき理解者であるとともに、地域に精通していることも求められます。

 

――文部科学省の説明を読むと、コーディネーターというのは大切な役割を担っているようですね。

 
地域と学校、行政を結んでいく役割なので、大変なお仕事です。ですから、コーディネーター育成講座は、コーディネーターになるための「入り口」という位置づけです。これだけでベテランのコーディネーターにすぐになれるわけではありません。コーディネーターになるにはこれだけの知識が必要だということです。

 

やはり実際にコーディネーターをやり、先輩のコーディネーターから学びつつ、一人前になっていくという感じです。

 

――こうした養成講座にはどんな方が参加されているのですか?

 

すでにコーディネーターをやってらっしゃる方もいれば、興味を持っていてこれからやってみようという方。年齢的には、ちょっと子どもさんの手が離れた方から、仕事をリタイアされた方まで。意外と40代の女性が多いですね。

――最も進んでいる小平市ではコーディネータはどのような状況なのですか?

 
小平市では1校に複数のコーディネーターがいらっしゃいます。成り立ての若葉マークの方もいれば、もう何年もやっている方もいて、そうした組み合わせによって、うまく運営されているようです。

 

 

――「こどもパートナー」「こどもサポーター」はどういう役割を?

 
実際に子どもさんと触れあってボランティアをされる方たちを対象にしています。「パートナー」は基本的なことを学び、サポーターはさらに専門領域を8時間学んでもらいます。例えば特別支援、外国語活動、読み聞かせとか。自分のやりたいと思う専門ジャンルをプラス8時間学んで頂き、子どもさんと関わる力を身につけてもらうのです。

 

――これまでの実績、そして課題をどうとらえていますか?

 

今は全国でパートナー、サポーターあわせて2000人ぐらいいます。学んだ方たちが地域で放課後子ども教室で活躍していたり、コーディネーターを実際にやっている方もいるので、そういうところに活かされているのかなと思います。

 

一方、毎年のべで700人から800人に受講して頂いていますが、その方たちの全員が活躍されているかというと、受講はしたけれども活動には結びついていない方もいる。講座だけで終わらせるのではなく、実際の活動の現場とどう結び付けていくかが課題だと感じています。

 

受講者とコーディネーターさんたちとの「出会いの場」をつくろうと、2012年10月から交流カフェみたいなものを毎月1回やっています。コーディネーターさんだけでなく、いろいろ活動されている方にも声をかけています。

 

でも、これに出てくる人たちはすでに活動をしている人が多く、なかなか広がりません。交流カフェでは色んな話が出て面白いのですが、「最初の一歩を踏み出そう」という人たちを引きこむには、もっと敷居が低い何かをやらなければだめなのかもしれません。

 

――研究所は、大学の「こども未来プロジェクト」から発足したわけですが、プロジェクトの時からの研究員だったのですか?

 
そうです。研究員になったのは、ちょっとした縁というか、きっかけからでした。

 

私は地域で子育て支援の活動をやっていました。情報誌をつくったり、親子向けのイベントを企画したりとか。そんな折、たまたま知人が東京学芸大学の大学院に社会人入学したのです。

 

そこで児童学プロジェクトをやるので、実際に子育てと関連する活動をやっている人たちにヒアリングしたいということで、私や高橋雅栄さん(「小金井の人たちfile7」参照)たち何人かが呼ばれ、そこで自分たちのやっていることを紹介しました。

 

その時、大学側としては「子育てしながらこんなことをやっている人たちがいるんだ」と興味深く思われたみたいで、「面白いから定期的に集まって意見を聞かせてくれ」となったのです。


それで20人から30人が集まって自分たちの活動を紹介したりすることを1年間やっていました。そのうち、そのグループを担当していた先生が「大学内で『こども未来プロジェクト』というのが立ち上がるが、何をやろうというのが当事者なしに話をしているので、実際に子育てしている人たちとか活動をしている人が参加した方がいいんじゃないか」と言ってくださった。


プロジェクトの準備会議に「参加しませんか」と呼ばれた時、他の方は忙しくて、出席できたのが私だけだったのです。まったくの「たまたま」です。

 

その会議で何を言ったのか覚えていないのですが、私は子育てをしてきた生活レベルの体験があるとともに、情報誌をやっていましたから様々な情報に接する機会がありました。そうした体験と情報に基づき、「こういうことが望まれています」という話をすると、「なるほど。ぜひまた会議に出てください」と。それでプロジェクトの設立準備会合に毎回行くことになったのです。

 

私の意見ばかりではなく、子育て関連の活動している人たちに私が意見を聞き、パイプ的な役割もしました。何をやるかということでは、子育てと遊びのプロジェクトを考えようということになり、学内にあったプレハブを改装して、そこを実験施設「こどモードハウス」にしたのです。「小山田さんが声をかければ親子は集まりますよね」と言われて。

 

そんなことをしているうちに、「放課後子ども教室」の制度が始まり、教室を運営したり、支援したりする人材が必要だという話になりました。団塊の世代がリタイアし、地域に還ってくるという状況も踏まえ、地域の人材を活かすボランティアの養成講座をやってみないかというのが3市の連携講座の始まりだったのです。

 

講座をやっている中で、地域でそういうことが望まれているということもあって、文部科学省の戦略的大学連携支援事業に応募したら、助成金が得られた。それが教育支援人材のプログラムづくり、資格認証の構築につながりました。

 

小金井市、小平市、国分寺市の3市と東京学芸大学の連携が基盤となり、教育支援人材認証を全国に展開していくきっかけになったのです。

 

 

こがねいコンパス20号(2013年1月5日更新)

 

小山田佳代(おやまだ・かよ)さんのプロフィール

 兵庫県姫路市出身。1962年6月生まれ。小金井子育て・子育ち支援ネットワーク協議会やNPOカッセの理事も務める。結婚を機に1991年、小金井市へ。貫井南町在住。趣味は映画や芝居の鑑賞。最近は忙しくてなかなか見に行けないという。

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

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コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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