リレー・コラム

第1回 給食の民間委託で思うこと  林倫子

 

 

 3人の子どもを育てている親として、子どもたちの発育や健康と深く関係する小中学校の給食について、ずっと注意深く見守ってきました。最近、中学校に続いて、小学校も給食調理を民間委託にするという市教委の方針があると知りました。子育て世代の一人として、この問題についてどう考えているかを述べさせて頂きたいと思います。


 小金井市の中学校で給食調理が民間委託されてすでに5年が経ちました。毎日、給食を食べている子どもたちは民間委託後の「変化」をどのように受け止めているのでしょう?

 すべての中学生に聞くことはできませんので、私の知り合いの保護者にお願いして、できるだけ子どもたちに聞いてもらいました。偏りもあるのかもしれませんが、ご紹介したいと思います。

「前とあまり変わらないよ」

「委託したばかりの時はひどかった。今は慣れたし、よくなってきてもいるみたいだけど」

「給食に髪の毛や袋の切れ端が入っていたことは小学校の時はなかったけど、中学校では(給食の時間が短いから)そんなことを先生に報告している時間が惜しい」

「どれも冷めている。小学校のころは、温かいものもあったのに」

「小学校では食べたことのないメニューが出てくる」

 

 さて、中学校での給食調理の民間委託が導入された際、市側は「委託によって生み出された財源は、給食の充実のために充てる」と、私たち保護者に説明していました。

 調べてみると「給食の充実」として行われているのは、

 ▽強化磁器食器への切り替え(2011年度までに小学校・中学校の計10校で切り替え)

 ▽強化磁器食器導入に伴う食器保管庫の入れ替えなどと、大型調理器具の導入

 ということだそうです。

 

 また、市は委託方式と直営方式の比較検証をやっているようですが、学校から保護者へ報告があるわけではありません。結果を知りたいと思うなら、保護者が市役所に出向いたりしなければなりません。

 

 給食の問題についていろいろ見聞きしている中で、直営方式となっている小学校の調理現場では退職者不補充のため、欠員が続いている状態ということも知りました。市役所で入手した職員組合の機関誌によれば、こうした状態によって「慢性的な人員不足による負担過重」「負担過重による調理員の疲弊」「安全性への危惧」「給食提供そのものへの不安」といった問題があるそうです。

 

 新たな小学校5校の給食調理の民間委託は、こうした状態を改善するためと、「明日の小金井教育プラン」実施にあてる費用を捻出する必要からだそうです。


 では保護者は、市が進めようとしている民間委託に関してどのように思っているのでしょうか。これもまた知り合いの保護者のみなさんに聞くと、「内容はよくわからないけど、別にいいんじゃない?」「自分が中学生だった時のセンター給食はひどかったけど、自校式だったらおいしいんじゃないの?」という肯定派もいれば、「委託反対とは言わないけれど、小金井市がやるなら(小金井市だからこそ?)慎重にしてほしい」という慎重派(否定派?)も。

 私自身はどちらかと言えば、後者の意見です。その理由を次に述べたいと思います。

 

 小金井市でも、この15年の間に様々な分野が「官から民へ」移ってきています。行政的な成果はここでは紹介しませんが、私は「うまくいっている場合も、いっていない場合もある」と感じています。

 

  市が現在進めている「第3次行財政改革大綱」(計画期間は2010年度から2015年度までの6年間)によって、行政の仕事が民間に次々に委託される中で、対象事業のうち残っているのが子どもたちに関係する給食調理や学童保育などです。

 

 他の分野とは異なり、給食調理の民間委託問題を考える場合、行財政改革によるコスト削減という観点だけなく、「小金井の子どもたちをどう育むか」という視点が絶対に欠かせないと思います。


 というのも、小金井市の給食では「食育」が広く言われる前から、「米飯給食の回数を増やす」「可能なところで地場産野菜を取り入れる」「ランチルームの利用などを通じて、食事の時間として給食を大切にする」「自分でバランスの良い食事、適量を知るためのバイキング給食」の実施などに力が注がれてきました。

 

 さまざまな努力によって、子どもたちが「給食がおいしい」「給食が楽しみ」と話し、それを聞いてきた保護者は、小金井市の学校給食とそれを作る栄養士、調理員のみなさんに信頼を置いてきたのです。

 

 一方、私が中学校の給食調理の民間委託説明会に参加した時のことです。保護者が信頼を置いている給食調理の実態を、市長や教育委員会の人が「知らない」ことに驚き、不安を抱きました。委託後聞こえてくる評判もすべてが良いものばかりではありません。

 

 一昨年に市が実施しようとした学童保育の民間委託では、それまでの保護者と行政の協議してきた内容が反映されずにすすめられようとした経緯があり、それによって保護者の理解を得ることができなかったのではないでしょうか。

 保護者たちは「直営が良質なものを提供してくれていた。それをとって替えようとしているのに、計画や実施後の検証が不十分だ。これでは、安心して子どもを任せられない」と感じたのではないでしょうか。

 

 おけいこごとや塾なら、保護者の意思で業者を替え、担当を替えることが可能でも、学校や学童保育ではそれはできません。できても時間がかかります。

 自分の関与が制限されるからこそ、保護者は行政に高い信頼感を求めるのではないだろうかと思われます。言い換えれば、高い信頼感を得られれば委託計画はスムーズに運ぶことになります。

 

 小金井で子どもを育てながら、直接、間接を問わずたくさんの市職員が「私の子育て」の助けになっていることを知りました。

 給食調理員や学校の用務主事などに従事している市職員は、普段あまりかかわることはなくても、保育園・幼稚園の先生、学校の先生、学童保育の指導員と同じように私の子どもを見守り育ててくれる「パートナー」の一人です。

 そのような人たちに、どんな身分・処遇で関わってもらいたいのか、そこにかかるコストが妥当なのか、改めて考え、広く議論してもらいたいと思います。

 

 さらに言えば、職員数、人件費の抑制に主眼を置く行革にも限界があり、市民のニーズに的確に対応する必要が、今後の課題であることは第3次行財政改革大綱にも書かれています。

 市民の側が必要なことをより一層明確にしていくことが、よりよい市政運営の第一歩になるのかもしれません。(終わり)

 

 林倫子(はやし・ともこ)さんのプロフィール

  主婦。高校生から小学生までの3人を子育て中。一小の元PTA会長。45歳。中町在住

 

リレー・コラム「子育て世代のキモチ」は、子育て真っ最中の保護者のみなさんに、さまざまな思いを綴っていただきます。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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