小金井 坂下・坂上探検隊 「坂の途中で会いましょう」

第2回 稲荷坂

●隊員(随時募集中/悪いようにはしません)

1号 Koganeist 市内坂下に住む5歳男子の母の夫

2号 Folkway 市内坂上に住む15歳女子の母の夫

 

K「え?!」
F「なにが?」
K「今回は稲荷坂なんですか? 前回の予告では『坂中の富永さん』と」
F「そうなんだけど、市内に17坂もあればノルマこなしておかないとね」(『こがねいコンパス』だっていつまで……)
K(……そんなこと)
F(も続いてほしいと思っています)

というわけで「稲荷坂」にやってまいりました。

ここは、武蔵野公園の「くじら山」に一番近い坂。はけの道沿いに立派なトイレがあり、その脇からツツーと坂上に伸びている幅広の坂だ。
 

↑ツツーと伸びる
↑ツツーと伸びる

“坂の途中に花咲稲荷があったことから「稲荷坂」と呼ばれる


F「と、市教委が作った『小金井の坂道』にはあります」

F「あっ!
K「えっ?」
F「坂中左手に武蔵野公園が現れました」

↑稲荷坂を上がると、そこにも武蔵野公園が!
↑稲荷坂を上がると、そこにも武蔵野公園が!

↑飛び地公園の中には、よく手入れがされた竹林がある
↑飛び地公園の中には、よく手入れがされた竹林がある

 

K「でも、武蔵野公園は坂の下では…」
F「電話するよ!
K「え? え?」
F「もしもし。あ、うんうん、そうそう。うへーっ、そうなんすかぁ」
K「こどもの電話ごっこですか」
F「武蔵野公園の管理事務所に電話できいたら、飛び地公園だそうです」
K「公園が飛んできたんですね」
F「かっこいいね!」
K「かっこいいね!」

 

 


K「この坂は比較的緩やかなので、頑張れば自転車で上りきれますね」(ぜいぜい)
F「そうだね」(ぜいぜい)


↑ぜいぜいと疲れたら坂中のベンチで休もうね
↑ぜいぜいと疲れたら坂中のベンチで休もうね
↑坂を上ると連雀通り。正面に「すき家」がある
↑坂を上ると連雀通り。正面に「すき家」がある

↑信号がないので反対側に渡るのもひと苦労だよ
↑信号がないので反対側に渡るのもひと苦労だよ

 


F「いやー、上ったね。連雀通りは相変わらずクルマがいっぱいだわ」
K「ここは、カーブになっているので見通しが悪いです」



F「あぶないね
K「あぶないね

F「じゃ富永さん家いこうか」
K「えっ、もう? やけにあっさりしてますね」
F「稲荷坂は、つまり飛び地とあぶないだよ。はいはい、1本完了!」
K「そんなんでいいんですか!」
F「いいんだよ!」

↑前回流用
↑前回流用

 

 

 

 

(気まずい空気)


 

K、 F「こんちわー」

富永さん(T)「やあやあ、よくいらっしゃいました」

F「これ、つまんないものですが、そのへんで買ってきた饅頭です」
K(そのへんって……)
T「これはこれは。小金井はおいしい和菓子屋さんが多いですよね」
F「私は『三陽』の麩まんじゅうが大好きです」
K(じゃそれ買ってこいよ)


↑富永一矢さん(76歳)
↑富永一矢さん(76歳)


というわけで、前回探検したムジナ坂に戻ってきた。その坂中にたつ富永邸は、戦前からずっと小金井のハケの移り変わりを見守ってきた。戦後は、富永邸に作家の大岡昇平が身を寄せて、ハケを舞台に『武蔵野夫人』が書かれたのはあまりにも有名なハナシ。詳しいことはここらへんに書かれているのでご参照あれ。


で、富永さんといえば、実は鉄道模型の世界ではとても有名な方で、毎月第2日曜日に、自宅のお庭に自作のレールを敷いて模型ファンとの集いを開いている。

↑鉄道模型のレール。普段は庭の倉庫に収納されている
↑鉄道模型のレール。普段は庭の倉庫に収納されている

 

T「リタイアしたら模型を走らせて楽しもうと思っていたのですが、自分で作ったレールが重くて持てなくなっちゃった(笑)。だから今は、月に一回若い人に来てもらってレール敷いてもらってるんですよ」

 

 

お家のなかに上がらせてもらうと、自作のジオラマが何点もある。そこに、かつて武蔵小金井の南口にあった蕎麦屋の模型があった。ご自身の記憶をもとに作ったというその模型の精巧なこと。見つめるうちに、昭和30年代のころにタイムスリップをしてしまう。

T「ここの跡継ぎは私の同級生でね。いまはビル建ててね、そこのオーナーやってます」

 

↑右側の店正面が、今の「小金井街道」に面していた。左側は「ジャノメ通り」
↑右側の店正面が、今の「小金井街道」に面していた。左側は「ジャノメ通り」


K「駅前にこんな建物があったなんて、今では考えられないです」
T「武蔵小金井で途中下車して食べにくる人がいたくらいの、おいしい店だったんですよ」
F「ホントですか! いまの小金井に欠けているのは、そんな蕎麦屋なんです!
K(なに興奮してんの)

K「ところで、昔のハケの道はどんな感じだったのですか?」
T「そうですね、戦後すぐのころは、小金井街道近くの金蔵院さんからうちまで家が6軒ぐらいしかなかった。全部農家ですよ」

↑昭和30年のころのハケの道。正面に見えるのが富永邸(写真提供・富永さん)
↑昭和30年のころのハケの道。正面に見えるのが富永邸(写真提供・富永さん)

 

T「林の向こうに三角屋根が写っていますが、そこが鴨下製糸工場です」
K「ここいら一帯は、みんな田んぼだったのですね」

↑以前の富永邸は、現在の建物の西隣にたっていた。今は家の門だけが残る
↑以前の富永邸は、現在の建物の西隣にたっていた。今は家の門だけが残る

 

 

T「ヘビがね」
F「なんですか?」
T「ヘビがうじゃらうじゃらいましてね」
K F (………)



富永さん、やおら立ち上がりタンスの引き出しをごそごそと。

T「あった、あった」
K F「うわっ

↑あった、あった
↑あった、あった

T「へびの皮。10年くらい前までよく見かけましたよ」
F「で、なんでへびなんですか?」
T「今ね。小金井街道の前原坂の途中に『スカイコーポラス』というマンションが建っているでしょ。あそこはもともと湿地帯でね、崖から下を覗くと無数のへびがうじゃらうじゃらと」

K F「ぎょぇーーー!」


と、小金井の坂とハケの移り変わりの中で暮らしてきた富永さんの話は、われわれ新参の住民にとってはとても興味深く、聞けば聞くほどトリビアの連続。当初は1回でなんとかなるかと思ったが、甘かった。富永さんの体験は、わが町の坂や暮らしの変貌を語る上での貴重な証言だ。「坂中の富永さん」は連載内連載として、あと数回続けてみることにする。

●次号「二枚橋の坂&坂中の富永さん パート2」に続く。


次号予告:

軍需工場だったICU。そして「あばれ川 野川」

(写真提供・富永さん)
(写真提供・富永さん)

※このシリーズでは、★★★★★を満点に毎回坂を適当に採点していきます。項目は適当に変わることがあります。

■稲荷坂
自転車度 ★★★
ベビーカー度 ★★★
なごみ度 ★★★
景観度 ★
汗かき度 ★★
クルマ度 ★★★★★

 

「こがねいコンパス」2012年10月6日号

ご意見・ご感想などは koganeicompass@gmail.com まで。

 


より大きな地図で 稲荷坂 を表示

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

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コンパスは「羅針盤」です!

 

 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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