第17回 北東小金井の果て

小金井 坂下・坂上探検隊

(c)illust_Ueki
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1号 koganeist(K)市内坂下に住む元5歳男子の母の夫。

2号 folkway(F)市内坂上に住むムジナ。

3号 hayamapapa1966(H)市内坂上に住む3児の母の夫。9回目。

22号 shotei (S) 市内坂中に住む小低なランナー。初登場。

23号 mekongawa3 (M) 「名もなき坂道に名前をつける会」会長。市内には住まない。初登場。

24号 Tee (T) 市内北坂場を取り仕切る4歳の坂女児。初登場。

25号 U_tkd (U) その母。初登場。

11号  Lee (L)市内坂上に住む元3歳の早熟な坂児。〈友情出演〉

 

 

F「nonowa東小金井がオープンしたね」

K「しましたね」

F「われわれにとってもたいへん喜ばしい」

K「坂と関係あるんですか」

F「もろちん」

K(モロチン?)

F「もとい、もろちんだよ」

K「まだ言ってる」

F「細かいことはいいよ」

K「…。で、どういう関係が?」

F「nonowa東小金井にも坂があるんだよ!!」

K「大きい声出さないでください。どんな坂があるんですか」

F「通路がスロープになってるって、どっかで読んだ」

K「ちゃんと取材してから発言してくださいよ!」

 

U「あのぉ…」

FK「あんた誰?」

U「浴恩館に集合と聞いたので…」

FK「あっ!」

 

浴恩館にて

↑浴恩館の庭園
↑浴恩館の庭園

そうだった。今日は坂探検に来たんじゃないか。かれこれ4回目の北坂場に向けて、浴恩館公園の浴恩館前に集まったのは6人。おや、他にも新入隊員がいるよ。

 

M「初参加の会長で~す」

S「初参加の小低で~す」

F「二人合わせて?」

MS「%●$℃×#|*!」

F「キミたち、同時にしゃべったらコンビ名が聞き取れないだろう」

M「なんですか、その上から目線」

S「というか、そもそもコンビじゃないし」

F「口答えするんじゃない、この短小男

S「短小じゃありませんよ。小低ですよ」

 

T(ねえお母さん、坂はまだなの?)

F「えっ!? もしかしてこの子も電波系?」

K「シーッ! 電波系じゃなくてテレパシー系。坂児のLeeくんに怒られるよ」

L(呼んだ?)

F「うわっ!」

L(早く出発すれば?

 

坂児Leeくんからの怪電波に促されて、ようやく北坂場めぐりに出発する一行であった。

 

L(前振り長いね)

T(長いね)

F「電波で会話するなよ」

 

●〈コーヤ畑の坂〉

 

浴恩館公園を東側に出ると、南北に走っているのが浴恩館通り。その北端に向かっているのが〈コーヤ畑の坂〉だ。

 

M「コーヤってなんでしょうか」

H「〈浴恩館建設にともなって大正四年ごろに新設された道で、以前はやや東に寄った所に仙川を横切る坂道があった。仙川沿いに染物を業とするいわゆる“紺屋(こうや)”が畑の中にポツンと一軒あったので坂名になったものだが、旧道は廃止され、名前だけが新道に移行した〉(『続小金井風土記』)って書いてある。『紺屋の白袴』のコウヤなんやね」

F「ニガウリかと思ったよ。そりゃゴーヤだって。あははは」

K「ひとりでやっててください」

U「でもたしかに、コーヤ畑って言われると、野菜だと思うよね」

K「この人をフォローしてあげる必要ないですよ」

↑浴恩館から北へ伸びる〈コーヤ畑の坂〉
↑浴恩館から北へ伸びる〈コーヤ畑の坂〉

〈コーヤ畑の坂〉を北上すると、東西に伸びる緑桜通りにぶつかる。ちょっと左を向くと小さなお社が。『小金井市の歴史散歩』によると「山の神」というなんとも素朴な名前らしい。

↑(坂探検が無事に済みますように…)
↑(坂探検が無事に済みますように…)

玉川上水と並行している緑桜通りは、五日市街道の抜け道になっているのか、けっこう交通量が多い。

 

U「おっと、ここは危ない」

F「日本……党……キケン……」

K「いやいや、道路のことですよ」

 

 

ちょっと北に進めば、すぐに玉川上水の側道にぶつかる。 

↑東西に流れる玉川上水。この季節は樹木の葉が散って水面も見える
↑東西に流れる玉川上水。この季節は樹木の葉が散って水面も見える

S「こうしてみると、玉川上水って高いところを流れてるんですね」

T「お母さん、公園行こうよ~(短小さん、するどい!)

S「え?(短小じゃないよ!)

T「公園で遊びたいよ~(玉川上水は、流域の耕作地に向かって自然に水が流れ下っていくように、武蔵野台地の最も高いところ、つまり分水界を辿るように流れてるんです)

H「この坂は、ぜんぶ玉川上水から仙川の方に下ってるんやな」

 

緑桜通りからまっすぐ南へといさぎよく伸びる、名も無き坂が何本もある。

↑全て南に向かってる坂です
↑全て南に向かってる坂です

L「(さらに、上水からの水を仙川の向こうまで届けるための工夫が、この連載の第13回で紹介した「築樋」、つまり川と上水の立体交差というわけだね)」

K「またLeeくんが登場!」

 

●坂探検でロケンロー!

 

U「じつは、ぜひ見てもらいたい坂があるんです」

↑「止まれ自転車止まれ」
↑「止まれ自転車止まれ」

F「うわっ、なんだ、この傾斜!」

H「止まれ自転車止まれ自転車止まれ自転車止まれ自転車止まれ自転車……

K「そんなにたくさん書いてないよ」

H「止まれ自転車止まれ自転車止まグギギギ……」

K「読み上げマシーンが壊れた…」

↑わずか5メートルほどの坂なのに、坂上から坂下が見えない。のぞき坂に匹敵する
↑わずか5メートルほどの坂なのに、坂上から坂下が見えない。のぞき坂に匹敵する
*参考画像「のぞき坂」(豊島区)
*参考画像「のぞき坂」(豊島区)

S「隣の建物のペイントも独特ですね」

M「う~ん、ロックな感じ。〈ロック坂〉と呼ばせてもらうぜ!」

FK「さすが、名もなき坂道に名前をつける会会長!」

 

 

このあたりの地形は、南と東に向かって下っている。 

↑右方向が東です
↑右方向が東です
↑傾斜を下った先は、溜池だったらしい。
↑傾斜を下った先は、溜池だったらしい。

H「〈亀久保は、……グギギ……市杵島神社のある小高い台地の……グガガ……西側の仙川沿いの凹地で、地名の起りは、台地の形が亀に……ガガガガ……似ているからとも言われて〉プスプスプス……」

K「煙が出てきた。しばらく休んだら?」

H「グギギギ…」

K「でも『続小金井風土記』には〈玉川上水、関野橋に通じる坂だが、明治末まで現・法政大学一帯は亀の子の形をした大きな窪地で、玉川上水の水を利用した水田だった〉とありますよ」

T「カメさんだね~(亀のかたちだったのは、台地なの? 窪地なの?)」

F「たしカメてみよう!」

S「…。とりあえず、東大通りのあたりに田圃と溜池があったということはわかりました」

 

●東大とカジノ

 

東大通りの付け根から下っているのが〈田圃の坂〉

 

F「あーっ!」

K「何か?」

F「ここに東大があるのか!」

K「あると思いますか?」

↑立ち漕ぎしてるくらいだから、傾斜してるんでしょうね
↑立ち漕ぎしてるくらいだから、傾斜してるんでしょうね

F「田圃があったので〈田圃の坂〉

K「シンプルですね」

 

東大通りを渡ると公園が現れた。

↑雑木林広場
↑雑木林広場

F「雑木林があるから〈雑木林広場〉

K「シンプルですね」

S「ネーミングが投げやりですね。僕に名前をつけさせてくれれば…」

K「公園に名前をつける会も結成したらどうですか」

 

ネーミングは投げやりだが、斜面をそのまま生かした魅力的な広場である。

ネーミングは投げやりだが。

 

↑しばし童心に帰る人たち
↑しばし童心に帰る人たち

K「いや~、童心に帰りました!」

T(あたしは家に帰りたい)

K「えっ?」

T「お母さ~ん、もう(おっさんの相手には)疲れちゃった~!」

U「そう…じゃあ残念だけどこのへんでリタイヤね」

 

Teeちゃんとその母は、突然去っていった。

 

FKHMS「バイバーイ!」

 

そしておっさんたちだけが残った。

 

東大通りのもう一本東にあるのが梶野通り。玉川上水の梶野橋から南に伸びている。

 

F「あーっ!」

K「『ここにカジノがあるのか!』だったら言わなくていいですよ」

S「これが〈梶野橋の坂〉みたいですが…」

H「こ、これが坂と言えるんやろか」

↑ず~っと先のほうが下っているよ
↑ず~っと先のほうが下っているよ
↑微妙すぎる傾斜。幼児でさえ立ち漕ぎしない…
↑微妙すぎる傾斜。幼児でさえ立ち漕ぎしない…

 

●北東の果て

 

梶野通りを渡って、さらに東へ。

このあたりは廃水路が多く、遊歩道になっている。

↑ここにも遊歩道の入り口
↑ここにも遊歩道の入り口

F「こんなに廃水路があるなら、坂めぐりより廃水路めぐりした方が楽しいかもね」

K「それは言わない約束ですよ」

 

遊歩道をずんずん東へ進んでいくと、急に目の前が開けた。

↑桜堤に到達
↑桜堤に到達

H「〈ここは桜堤2-15です〉

F「読み上げマシーン直ったね!」

K「直ったね!」

F「よかったね!」

K「よかったね!」

S「それはいいんですが……小金井に桜堤なんて地名ありましたっけ?

FK「えっ?」

↑ここは武蔵野市だった!
↑ここは武蔵野市だった!

F「ついに…」

S「北東の果てですね」

K「西小金井の果てを散策した日(第10回)がなつかしいですね」

↑国境をまたぐ。右足が小金井市、左足が武蔵野市
↑国境をまたぐ。右足が小金井市、左足が武蔵野市

 

国境をまたいであっさりと満足した隊員たちは、再び梶野通りへ。

梶野通りから東に入り、仙川を越えているのが〈氷屋の坂〉

↑〈氷屋の坂〉を坂下から眺める
↑〈氷屋の坂〉を坂下から眺める

M「昔、氷屋があったので〈氷屋の坂〉、ですか…」

K「いつの日か、会長に思う存分ネーミングさせてあげたいです」

H「まあ、坂の名前はだいたいそんなもんやけどな」

F「仙川に向かって下り、また上がる。いかにも北坂場という感じだね」

 

●坂の上の鎮守様

 

仙川とつかず離れずしながら、西へ戻ってくると、坂の向こうに鳥居が見えてきた。

↑参道が坂。参道坂。
↑参道が坂。参道坂。

S「参道そのものが坂になってる」

F「思わぬところに坂があるのが、いかにも北坂場という感じだね」

K(発言がパターン化してきてるね)

 

↑参道の先にあるのは市杵島神社だ
↑参道の先にあるのは市杵島神社だ

H「〈鎮座は享保17年(1732)9月と伝えられており、当時新田開発により梶野の地に住まわれた人々によって創建された梶野新田(現 梶野町)の鎮守であります〉

K「読み上げありがとう!」

F「でも、これが最後のお勤めかもしれないね」

H「えっ?」

 

●最後の坂

 

市杵島神社を経由して、出発地点の浴恩館方面に戻ってきた。

 

K「えー、ついにやってきました。北坂場のエンディングを飾る〈北の坂〉です!」

↑じゃーん!〈北の坂〉!
↑じゃーん!〈北の坂〉!

F「北の坂…」

M「北の坂…ですか…」

S「北の坂…だよね…」

H「グギギ…」

K「北坂場の大トリとして、ふさわしいといえばふさわしいですが…」

S「ずっと先の方の、ぐっと上っているところが〈北の坂〉ですよね?」

F「残念ながらハズレだよ、短小くん」

S「もう短小でいいですよ」

K「手前のゆる~い下りが〈北の坂〉なんです」

一同(溜め息)

 

気がつけば日も暮れて、北坂場巡りは静かに大団円を迎えた。

 

T(南小金井の坂は、ハケの圧倒的な存在感のおかげで、それ以外の地形には目が向かず、ハケがすべて、という感じでした。でも、北坂場をめぐることで、玉川上水と仙川の位置関係が織りなす微妙な起伏への愛着を育むことができましたね)

FK「Teeちゃん、強引な締め括りありがとう!」

 

●おまけ

↑nonowa東小金井を見に行ったら、坂になってる家を見つけた
↑nonowa東小金井を見に行ったら、坂になってる家を見つけた

●次号(3月更新) で、小金井にまだ坂はあるの? に続く。

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(c)illust_Ueki
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今回も5坂+αあってややこしいので採点はありません。


より大きな地図で 北東部の坂 を表示

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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