第13回 山王山の坂、大日様の坂、そして北小金井・坂番外地をゆく

小金井 坂下・坂上探検隊「坂の途中で会いましょう」

1号 koganeist(K)市内坂下に住む元5歳男子の母の夫。

2号 folkway(F)市内坂上に住むムジナ。

3号 hayamapapa1966(H)市内坂上に住む3児の母の夫。6回目。

7号 prprbkk(P)市内坂上に住む妄想デカ。3回目。

11号 Lee(L)市内坂上に住む元3歳の早熟な坂児。3回目。

13号 kengo_tank(T)市内坂上に住む元3歳の坂児の母の夫。3回目。

 

 

 「北方の巡り」への旅立ち

 

坂翁に背中を押されて、ついに北小金井の坂に足を踏み入れることになった、わが探検隊。今回は中北小金井に鎮座する「山王稲穂神社」に集合した。

↑午前10時。夏空がまぶしい
↑午前10時。夏空がまぶしい

シャーシャー、シャーシャー

K「お、今日も8ミリカメラですか」

T「いえ、あれはセミです」

 

境内の随所でセミが鳴いている。

↑一本の枝に三つも抜け殻が。土の中に何年いたのかな
↑一本の枝に三つも抜け殻が。土の中に何年いたのかな

K「そもそも稲穂神社って、どういう神社なんでしたっけ」

P毎年5月末にお祭りやってるわね」

F「あ、そこに由来が書いてあるよ」

H「よっしゃ、わしに任せときいや。〈平成十八年甲子園 兵庫国体で日本一になった早稲田実業野球部が身に付けていた。幸運を招く幸福守 初穂料八〇〇円あります〉

K「今日もおつとめ…って、読むのはそっちかよ」

F「ハンケチ王子じゃな」

L「おじいちゃん、ビミョーにちがう…」

 

●これが「北の坂」…なのか?

 

日差しが強すぎて、なかなか境内の木陰から出たがらない隊員たち。

でも、重い腰を上げて、坂へ出発だ。

稲穂神社の鳥居の目の前に伸びるのが「山王山(さんのうさん)の坂」。

↑山王山の坂です。誰が何と言おうと
↑山王山の坂です。誰が何と言おうと

K「えっと…これが坂ですか…?」

F「わりと短か…」

P長さ何メートル? 傾斜は? ちょっと! 鑑識呼んで!

T「ムリに盛り上げてませんか」

 

芳須緑氏の『続小金井風土記』によれば、「「大日様の坂」へ上る斜めの道の手前に、南へいったん曲って、さらに西へ山王稲穂神社へ通ずるカギ型のなだらかな道がそれ。別名「台門の坂」ともいわれる」

 

F「へー、カギ型でなだらかな道か」

K「たしかにカギ型ですね」

F「しかもなだらかだよ」

K「なだらかです」

F「すごいなー」

K「すごいなー」

T(こんなことで、次回からの探検に人が集まるのだろうか…)

 

「山王山の坂」を40メートルほど下りきって、カギの手に左に折れると、突きあたりが「大日様の坂」だ。左に曲がってゆるやかに上っていけば、また山王稲穂神社の方に戻る。要するに一周したわけです。

↑「大日様の坂」を坂下から。たしかに傾斜してはいる
↑「大日様の坂」を坂下から。たしかに傾斜してはいる
↑坂のてっぺんには大日様(手前)
↑坂のてっぺんには大日様(手前)

K「小さい大日様ですね」

F「小日様だね」

K「……」

 

稲穂神社の前の道を北へ向かうと……

 

P〈山王窪の築樋(つきどい)〉……なにかしら、これ」

K「事件のにおいが…」

P「…しないけど」

H〈築樋は、低い土地に土を盛って突き固めて土手を築き、その上を用水路とした土木技法です。この築樋は、元禄9年(1696)頃、玉川上水から小金井村方面に分水を引くため山王窪と呼ばれる仙川の窪地に築いたものです〉。川と用水路の立体交差やな」

↑現在は築樋は暗渠化され、遊歩道になっている(左)。築樋の下を東西に流れるのが仙川。水が涸れて何十年も経つとか(右)
↑現在は築樋は暗渠化され、遊歩道になっている(左)。築樋の下を東西に流れるのが仙川。水が涸れて何十年も経つとか(右)

築樋の遊歩道は、生活道路として歩行者・自転車もよく通っていた。

 

F「橋みたいなものだから便利でしょ?」

K「誰に言ってるんですか」

L「川だね~(ところで、小金井市と、調布市、三鷹市、世田谷区の共通点をご存じですか?)

P「何かしら?」

L「でも、お水がないね~(いずれも野川と仙川が両方流れている自治体なんです。仙川は、世田谷区の鎌田というところで野川に合流しているそうですよ)

T「坂児、ちょっとネタ切れじゃないか?」

 

↑とにかく暑い。日陰に避難すると、出て行けなくなる
↑とにかく暑い。日陰に避難すると、出て行けなくなる

 

 ●坂と団地のある幸せ

 

築樋を渡りきったところに、小さな下り坂がある。

坂を下った先は、団地だ。

↑そびえ立つ団地
↑そびえ立つ団地

K「団地ですね」

T「団地です。本町住宅です」

Fダン地だけにドーン!と立ってるね」

K「ええと、駄洒落にもなってませんが…」

F「ダーン! ドーン!」

K「ごり押しはやめてください」

↑11号「この坂はオレのシマだぜ」
↑11号「この坂はオレのシマだぜ」

P「急にキャラ変わったわね。立ちポーズ決めたりして」

T「ここ、よく遊びに来るんですよ」

F「ダーン! ドーン!」

K「あなたこそキャラ変えたほうがいいよ」

↑実は崩落したことのある危険な斜面だと告知
↑実は崩落したことのある危険な斜面だと告知

K「坂の途中に告知板がありますね」

F「よし、ここを「告知板の坂」と呼ぼう」

T「わりと安易ですね…」

↑「告知板の坂」(右)。命名は安易でも、築樋と坂と団地のコントラストは美しい
↑「告知板の坂」(右)。命名は安易でも、築樋と坂と団地のコントラストは美しい

P「この右の斜面は全部、築樋の工事で造ったの? 昔の人はすごいな」

F「南無南無…」

K「お経読んでどうするんですか」

Hシャーシャー

K「セミの声の読み上げですか」

↑いえ、ほんとにセミです
↑いえ、ほんとにセミです

T「うわっ、ホンモノだ!」

L「わ~~!」

P「ふふふ。坂児といっても、まだ子どもね

L「こわいよ~(子どもだから坂児なんでしょ! っていうかこわいんですけど!)

H「子どものころはセミをたくさん捕まえたもんや」

Fセミプロだな」

K「意味が違いませんか」

H「バッタも捕れるで~」

Fバッタ屋か」

P(言うと思ったわ…)

↑中心部にそびえる給水塔が本町住宅のシンボル
↑中心部にそびえる給水塔が本町住宅のシンボル

L「高いね~(築樋も給水塔も、低きに流れる水というものに、何とかして高さを与えようとした先人の工夫の結晶ですね。それがこの山王窪周辺に集中しているのが興味深い)

P「セミの恐怖を乗り越えたみたいね」

↑敷地を南北に縦断する坂を見通せば、本町住宅の起伏が一目瞭然
↑敷地を南北に縦断する坂を見通せば、本町住宅の起伏が一目瞭然

P「本町住宅は1961~62年に新築された800戸強の公社住宅。68年に起きた「三億円事件」では、事件の4か月後に、ここの駐車場に空のジュラルミンケースを積んだ盗難車が残されていたことでも知られているわ」

F「すげー、こう見えてもデカなんだね!」

P「どう見えてるの。タイホするわよ」

↑本町住宅の北側には、築樋に通じる分水の水路が残る
↑本町住宅の北側には、築樋に通じる分水の水路が残る

本町住宅から西へ西へ。

通りを一本渡ると、同じく集合住宅の公務員宿舎が立ち並ぶ。

さらにその西側には、南北に伸びる坂沿いに、有刺鉄線で囲まれた謎の一角が。

↑「出してくれ~」
↑「出してくれ~」

K「有刺鉄線ので何やってるんですか」

H〈貫井北町第2自転車保管所〉やね」

F「自転車撤去されて、ここまで取りに来たことが何度もあるよ」

K「放置自転車の墓場か…」

F「この坂は「自転車墓地の坂」だな」

K「また安易な」

T「しかも「大久保墓地の坂」のパクリでは…」

P「あら、小金井の自転車保管所って、2つともすぐ近くなのね。ここのそばに住んでいれば、撤去されても楽じゃない?」

F「オレも自転車墓地のそばに引っ越せるようにがんばるぞ!」

K「がんばるところ違いますよ」

↑「自転車墓地の坂」をゆけ!
↑「自転車墓地の坂」をゆけ!

「自転車墓地の坂」を南下していくと、金田スイミングクラブ(ロンドンオリンピックの競泳に出場した金田和也さんも所属)の脇を通って、公務員宿舎の南部の敷地に吸いこまれていく。

 

* * *

 

ふたたび稲穂神社に戻って、炎天下の探検は解散となった。

 

●おまけ

 

稲穂神社で見つけた「坂」
稲穂神社で見つけた「坂」

F「あ、それ、ポン!」

K「雀牌じゃありませんから」

 

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あとから地図で確かめてみると、今回迷い込んだのは、中北小金井西部の、無名坂地帯だった。次回からは、もっと東を目指さないと…

 

F「目指さないとどうなるの?」

K「無名坂に安易なネーミングを乱発していては、坂翁に顔向けできません」

F(うっ…正論だ…)

 

●次号(10月上旬更新)仙川を下っていくと?に続く。 

↑公務員宿舎の敷地を横切る仙川
↑公務員宿舎の敷地を横切る仙川
(c)illust_Ueki
(c)illust_Ueki

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※このシリーズでは、★★★★★を満点に毎回坂を適当に採点していきます。項目は適当に変わることがあります。

 

山王山の坂

見通し度 ★★★★★

自転車度 ★★★★

カギ型度 ★★★★

ゆるやか度 ★★★★

回文度 ★★★★

 

大日様の坂

見通し度 ★★★★★

自転車度 ★★★★

抜け道度 ★★★★

ゆるやか度 ★★★

名前倒れ度 ★★


より大きな地図で 山王山の坂、大日様の坂 を表示

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

こちらから

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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