第11回 三楽の坂、そして“坂翁”登場。

小金井 坂下・坂上探検隊「坂の途中で会いましょう」

1号 koganeist(K)市内坂下に住む元5歳男子の母の夫。

2号 folkway(F)市内坂上に住むムジナ。

3号 hayamapapa1966(H)市内坂上に住む3児の母の夫。5回目。

号 csuwama(C)市内坂上に住むイラストレーターのすぅたん。2回目。

20号 kakashan(G)市内坂中に住む腹話術師。初参加。

 

 

 

●東西小金井へ

 

前回の探検で、西小金井の西部――“西西小金井”をめぐった隊員たちは、今回、西小金井の東半分――“東西小金井”に足を踏み入れることになった。

 

C「なんだかわかりにくいね」

K「すみません」

F「“東西小金井”か。プラマイゼロで“小金井”だね」

K「地名はプラマイしませんから」

 

集合は今回も、西小金井の聖地、貫井神社。

飽きもせずにカメを眺める隊員たち。

↑たくさんのカメ(写真中央と手前)
↑たくさんのカメ(写真中央と手前)

Fカメカメカメカメカ!」

K「またカメか…」

通りすがりのおじさん「あそこにいるのはカミツキガメだな」

C「えっ、カミツキガメがいるの?」

 

別名“小金井のいきものがかり”、生き物に造詣の深いすぅたんが、すかさず食いついた。

 

F「食いついたの?」

K「カミツキガメに?」

F「すぅたんが?」

K「カミツキガメvsすぅたん?」

C「食いついてないよ」

↑北多摩南部建設事務所も警告している(これは野川沿いで撮影)
↑北多摩南部建設事務所も警告している(これは野川沿いで撮影)

F「“北多摩南部”か。プラマイゼロで“多摩”…」

K「プラマイしない!」

Hカメもええけど、坂はどないなっとんねん」

G「ソウダヨ!」

F「あんただれ?」

G「ボク、ケンチャン」

K「ケンちゃん?」

G「腹話術ノ人形ダヨ」

↑ケンちゃん。本日は欠席です(写真提供:kakashan)
↑ケンちゃん。本日は欠席です(写真提供:kakashan)

C「でも、今日は人形連れてないじゃない」

 

腹話術師なのに相棒を連れてこなかった20号。

 

G「ソレデモ腹話術ナンダヨ!」

C「相棒がいなかったら、ただの変な声の人なのでは……」

 

新しく変な声の人も加わって、一行は東西小金井を目指して仲良く出発した。

貫井神社から東に向かうと、まもなく「三楽の坂」に出る。

↑けっこう急勾配です
↑けっこう急勾配です

H「勾配は下りの矢印で表現されるんやなー」

F人生みたいなもんだね」

H「……」

↑三楽の坂
↑三楽の坂

K「「学童多し」。別名「学校の坂」と呼ばれるだけはありますね」

F「この人たちが学童?」

K「ちがいます」

G「ドウシテ「学校の坂」ナノ?」

F変な声だな」

G「ウルサイヨ!」

K「手元にある『続小金井風土記』を開いてみましょう。

〈市立第四小学校の南にある急な坂道。この坂の由来は、ちょっと変わっている。学制が発布された明治初期、村むらで盛んに学校建設が行われた。貫井村でもその候補地が取沙汰されたが、同村は段丘を中心に南北に細長い。坂上に建てようとすると坂下の父母から、幼い子に坂を登らせるのはかわいそう、と反対が出、坂下にすると逆に坂上から異論が出るといった風で、なかなか意見の一致をみなかった。そこで双方が納得するようにと、坂の真ン中に建設されることになったのである。完成した貫井分校に、坂上、坂下の子どもたちが通学するためにつくられたのが、この坂道だ。現在は貫井保育園のある場所である。昔も保護者の発言力は強かった。〉

F「長いな。あと、変な声だな」

K「これは地声です」

Hあーっ!

K「え?」

Hわしが読みたかったんや…(泣)

K「あ、ごめん。前回休みだったから、ついうっかり。次の看板は読んでくださいね」

 

「三楽の坂」を登り切ると、石垣に沿った道に出た。実はこれは「三楽の森公共緑地」の外周をめぐる道である。

↑右へ下っていくのが「三楽の坂」。左は「三楽の森公共緑地」外周の道
↑右へ下っていくのが「三楽の坂」。左は「三楽の森公共緑地」外周の道

道なりに石垣を回り込んで、そのまま北上すると連雀通りにぶつかる。

このあたりは武蔵小金井近辺と比べると、崖線と連雀通りが離れている。

↑歩道が狭いので緑色にペイントされている
↑歩道が狭いので緑色にペイントされている

F「せまいね」

K「こわいね」

G「セマイノコワイネ」

C(腹話術というより、もはやカタコトだな……)

 

●坂翁、現る。

 

連雀通りを東に向かうと、昭和の空気を感じさせる美容院とクリーニング店が仲良く並んでいる。店先に積まれた謎の水槽の中で、水草がゆらめく。

“いきものがかり”すぅたんの目が怪しく光った。

 

C「ペットショップかな。水槽には何がいるんだろう」

K「看板はクリーニング屋さんだけどね」

↑これは水槽というより広口のガラス瓶
↑これは水槽というより広口のガラス瓶

H〈ホタル幼虫のエサの貝カワニナです。キャベツが大好物との事。体に似合わずベジタリアンですネ〉

C「それは読まなくてもいいよ……」

H「ずっと読みたかったんやー(泣)」

K「わかったから泣かないで」

 

泣き声を聞きつけたのか、どこからともなく一人のおじいさんが姿を現した。

 

翁「おやおや、どうしました」

Hえーんえーん(泣)」

G「ソロソロ泣キヤンダラ……」

翁「変わったお声ですな」

G「……」

翁「失敬失敬。ところで、みなさん何かの集まりですかな?」

K坂が趣味なんです。上ったり下りたりしてます」

 

1号の何気ないひとことに、おじいさんの目が怪しく光った。今日はよく目が光る。

↑坂翁の目が光った!(c) csuwama
↑坂翁の目が光った!(c) csuwama

翁「坂が趣味、ですか。ふっふっふっ

F「“ふっふっふっ”…?」

翁「私も、この20年間、東京の坂を廻ってきたんですよ

F「に、20000も!!!」

Kゼロが3つ多いよ。カメじゃないんだから」

C(カメはもういいでしょ…)

 

ゼロを3つ減らしたとしても、立派な坂歴だ。

小金井坂下・坂上探検隊が、思わぬところで出会ってしまった“坂翁”。

いったい坂翁とは何者なのか?

 

K「どんな坂を廻っていらっしゃるんですか」

翁「最近は板橋区がいいね。板橋は坂がたくさんあるのに、それを全然アピールしてないんだな」

K「板橋区の坂……全然知らないなあ。文京区なら親戚が住んでいたので、好きな坂がありますけど。鼠坂とか…」

翁「鼠坂は都内に3本ある。文京区と新宿区と、あと麻布の狸穴だ。でも文京区の鼠坂が一番いいよ(笑)」

K「あ、ありがとうございます」

 

坂翁のお墨付きをもらった。

 

翁「『ぶんきょうの坂道』 は、よくできた冊子だから手に入れるといいよ。うちには坂と名の付く本だけでも、3040冊ある。タモリさんの本とか、荷風の『日和下駄』もあるね。ちょっと寄っていきませんか」

FK「ありがとうございます。次の機会にぜひ!」

 

もちろん社交辞令ではありません。

近日の再訪を誓い、坂翁を振り切…じゃなくて、別れを告げると、隊員は次の目的地に向かった。

 

●「三楽の森」へ

 

K「この一帯には「三楽の森公共緑地」だけでなく、「三楽公園」「三楽健康広場」「三楽緑地」など、その名を冠した施設がたくさんあります」

↑左から、三楽公園、三楽健康広場、三楽緑地
↑左から、三楽公園、三楽健康広場、三楽緑地

C「なんでも「三楽」なんだね」

F「この前、駅前の三楽でチャーハン食べたよ」

K「中華料理屋じゃないから」

F「「笑点」観てたら三楽が……」

K「噺家でもありません」

 

ちなみに「三楽」とは、日本電気(NEC)の設立発起人の一人だった前田武四郎氏が、大正時代にこのあたりに建てた別荘「三楽荘」にちなむ名前。前田氏は、徳富蘇峰や頭山満と親しく、三人で憩える場所として「三楽」と名づけたとか。「三楽の森公共緑地」も、前田家の庭園を、小金井市が委託されて管理しているとのこと。

 

三楽集会所の脇を入っていくと、「三楽の森公共緑地」だ。

↑「三楽の森公共緑地」の門
↑「三楽の森公共緑地」の門

F「これをコンテストに……」

K「前回も言ってましたね」

↑「三楽の森」のこと
↑「三楽の森」のこと

F「あ、案内板があるよ!」

H〈この緑地は、武蔵野台地から沖積層低地へ移る所に位置し、古代多摩川が南に移動していく際にけずり残した国分寺崖線と呼ばれる段丘崖上にあり地形学上も、生態学上も大変貴重な場所です〉!!!

F「すばらしい!」

K完全復活だね!」

H「ありがとう! ありがとう!」

C(そんなに読みたければ、本を持ち歩けばいいのでは…)

 

庭園内は、枝ぶりよく育った木々に囲まれて、ぽっかりと緑地が広がっている。

↑週末なのに人がいなくて、もったいないくらい
↑週末なのに人がいなくて、もったいないくらい
↑突然やぶに分け入っていく1号
↑突然やぶに分け入っていく1号

C「お腹をおさえて、どうしたんだろう」

F「やぶに隠れてすることと言ったら、一つしかないでしょ」

C外でしたほうが水道代が節約になるからね」

K「してませんから」

C「なるべく外ですればトイレ掃除も楽だし、流せるトイレブラシも節約になるんだよ」

K「だから、してないってば」

 

●東西小金井の中心は「三楽」だ

 

三楽の森を離れて、再び東西小金井の坂をめぐる。

名前は付いていないが、趣のある坂が多い。

↑南北方向にはかなり急な坂が伸びる
↑南北方向にはかなり急な坂が伸びる
↑坂中のマンホールから水流の音が響いてくる
↑坂中のマンホールから水流の音が響いてくる

K「きれいなおとがするよ~」

C(坂児と同レベルの感想だな…)

F「じゃ、ここは「水琴窟の坂」ね」

G「安易ダネ」

 

この坂は、もしかすると『続小金井風土記』で紹介されている「念仏坂」の跡かもしれない。〈貫井トンネルより西、三百メートルくらい寄った所に、幅三十センチほどの細い滝があった。これは坂上から三段になって落ち、坂下の道の下をくぐってさらに滝になっているもので、これに沿った細い道が念仏坂だ。〉

ただ、貫井トンネルから三百メートルというと、ちょうど三楽の坂のあたりまで来てしまうので、もう少しトンネル寄りにあったのではないかと思うのだが……。

↑ヘアピンカーブに挟まれているのが「三楽緑地」
↑ヘアピンカーブに挟まれているのが「三楽緑地」

K「東西小金井は、斜め方向の坂とか、中腹を東西に横切る道が多いですね」

C「東西方向の道に立ってると、そこが坂だとは感じられないね」

F「だから坂中に住んでる自覚が育たないんだよ!(怒)」

K「べつに怒らなくても…」

 

本日の探検も終盤にさしかかり、やや疲れてきた隊員たちの目に飛び込んできたのは……

K「サボテンだー!」

F「飛び出てるねー」
サボテン坂をも凌駕するこの存在感。ここを第二サボテン坂と名づけたい。名前無さそうだし。

 

   *   *   *

 

東西小金井一帯の坂は、南北だけでなくさまざまな方向に伸びている。 武蔵小金井のハケの坂たちは、一本一本の独立性が高かったのと比べると、東西小金井では、どの坂も「三楽の森」という巨大な磁場の影響を受けながら形成されてきたのかもしれない。

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富永さん「西小金井の坂は楽しいですか」

FK「すみません…必ずうかがいますから…」

 

●次号(8月上旬更新)坂翁に聞け!に続く。 

↑坂翁の晴れがましい笑顔
↑坂翁の晴れがましい笑顔
(c)illust_Ueki
(c)illust_Ueki

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※このシリーズでは、★★★★★を満点に毎回坂を適当に採点していきます。項目は適当に変わることがあります。

 

■三楽の坂

学童度 ★★★★★

自転車度 ★

木陰度 ★★★★

見晴らし度 ★★

三楽度 ★★★★★


より大きな地図で 三楽の坂とその周辺 を表示

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

写真をクリックすると大きくなります
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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

詳しくはイベントカレンダーのページをご覧ください。こちらから。

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小金井市のイベント情報は、小金井市地域情報サイトのさきナビでも見ることができます。バナーをクリックしてください。

 この人に聞く

脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

前編はこちらから。

後編はこちらから。

*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

前編はこちら

後編はこちら

 

イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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 『こがねいコンパス』は、小金井市政や小金井の人たちが関心をもつテーマを分かりやすくお伝えするインターネット新聞です。市民団体「こがねいコンパス編集部」が発刊しています。

 

 『コンパス』は、羅針盤を意味します。辞書によれば原義は「ともに歩くこと」です。市民が市政をより深く理解するための一助となり、よりよい小金井市政のあり方を考えるときの羅針盤でありたい。市民のみなさんと一緒に歩んでいきたい。そんな思いを込めています。

 

 

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