ジャーナリスト 山本俊明の「眼」   第15回

小金井市議選の私流解釈

SMALL CHANGE,BUT

 小金井市議会選挙(投票率43.97%)が終わった。4年前の前回は定数24人に対し、立候補者はわずか28人だったが、今回は35人が立候補する激戦だった。その結果、議会構成は抜本的に変わらなかったが、小さな変化ながらも興味深い点もあったようだ。


◇苦境の民主勢力

 

 目立つのは民主勢力の惨敗だ。民主党は新人1人加え4人が立候補したが、獲得票は3967票。新人の岸田正義氏を除く現職3人はわずか2575票。これは前回選挙時(3人出馬)の5666票の半分にも達しない。2012年12月の衆院選挙での大敗北以後、北九州市議選など地方選挙でも民主党の退潮ぶりが指摘されていたが、小金井市でも同じ結果が出た。


 現職3人のうちただ一人議席を守った鈴木成夫氏は、投票前日に菅直人元首相(衆院東京18区)が選挙カーに同乗しててこ入れしたにもかかわらず最下位でのすべりこみ当選だった。同氏と次点(野見山修吉前議長=市民の党)と差はわずか42票で、当選はあわや新人岸田氏一人だけという厳しい状況だった。

 

 市議会で同じ会派を組んでいた社民党の武井正明氏も現職で得票数最下位(807票)と惨敗した。

 

 現時点では、6月の都議選は、3期目をめざす民主党の西岡真一郎氏と自民党の新人の木村基成氏の一騎打ちの様相となっている。市議選での敗北は、都議選にも影響せざるをえないだろう。

 

 敗北の原因が全国的に広がっている民主党への厳しい批判だけなのか、別の理由があるのか。それを真摯に探ることが民主党再起への第一歩だろう。

 

◇与党勢力は?

 

 他方、国政レベルでは「アベノミクス」でマーケット・投資家・経済界を中心に自公の政権運営に支持が高まっている。しかし2議席増となった自公と保守系無所属の市議会与党勢力も喜んでばかりはいられないのではないか。


 弁護士の肩書を全面に打ち出した自民党新人の湯沢綾子氏の2263票は期待票だろう。自民党(5人)の得票数は7488票。湯沢氏を除くと5225票。現職4人のうち3人が前回から票を減らしている。公明党も今回5346票だったが、前回は5880票。現職の4人全員が票を減らしている。

 

◇新人乱立

 

 立候補した新人は10人、元職が3人だった。当選は新人が5人、元職は2人。新人の「勝率」は5割だった。「市民派」勢力では、「市民の党」のベテラン現職の2人が落選するなどの波乱があった。世代交代を目指した市民自治こがねいの支援を受けた無所属新人の坂井悦子氏はあと1歩及ばなかった。

 

◇「半辺天」

 

 小さな変化もあった。中国の言葉に「半辺天」(パン・ピエン・ティエン)というのがある。「国家・社会の半分は女でもっている」という意味だ。


 小金井市の足元の選挙である市長選、市議選、都議選では女性の投票率が男性を上回っているケースが多い。今回も女性が45.43%、男性が42.47%で、票数で約2000票上回っていた。小金井市の地方自治を「女性が左右する可能性が大きい」と言っても過言ではない。議席の男女数は14対10。選挙前から、女性が1人増え、女性の存在感がさらに増すことになった。

 

 注目したいのは生活者ネットワークが1人から2人に複数化したことだ。支持者はほとんどが主婦層だ。

 

 生活者ネットは、前回、田頭祐子氏(当時新人)が1839票で4位当選した。今回は地盤の割り振りが奏功したものの、田頭氏と林倫子氏の得票合計は1917票で、得票数の増加は100票に満たず、下から2番目、3番目という「薄氷の勝利」だった。

 

 むしろ問題は「構造的」なのではないのか。日本のどの組織でも同じ悩みがあるのだが、初期メンバーの年齢が上がり、ヤングママ層との間にギャップが生じている(言葉は悪いかもしれないが「運動のオバサマ化」と言えるかもしれない)。

 

 また「半辺天」は、男性が残りの半分の天を支えていることを前提としている。当世流行の「イクメン(子育てパパ)」など若い男性層の取り込みが、どの組織にとっても今後の党勢維持拡大に欠かせないだろう。

 

 議員の複数化をかろうじて果たした生活者ネットが本気で勢力を拡大させるには、世代交代と男性層のリクルートが大きな課題となるに違いない。

 

◇議会改革を

 

 新議会は本格的には6月からスタートするが、何より忘れて欲しくないのは、旧議会の「宿題」である議会基本条例の早期制定だ。

 

 選挙の時だけ有権者に甘い言葉を発して、後は4年後まで知らん振りでは困る。また自分の支援者だけにしか市政について説明しないというのも、議員の職責を勘違いしているとしか思えない。

 

 議会基本条例の制定には時間がかかるかもしれない。だが、6月の定例議会が終了した後、速やかに市民向けの報告会を開催して、何が問題となり、どのような議論が行なわれたのか、今後基本条例をどうするのか説明するべきだ。

 

 また議会独自のホームページを即時開設し、定例会の日程、議題、資料などを市民がいつでもどこでも閲覧できるようにし、議会と市民の垣根を取り払うべきだろう。

 

 市議会自らのCHANGEを期待したい。

(終わり)

 

山本俊明(やまもと・としあき)氏のプロフィール  
   小金井市在住のジャーナリスト。記者歴30年、シドニー特派員、ニューヨーク特派員などを歴任。 国際問題から地方自治まで幅広い分野を扱う。月刊誌「世界」2012年12月号にルポ「福島畜産 復活への苦悩と闘い」など。 「一市民」として本コラム陣に参加。

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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