シンスケの行政道場

第5回 「指定管理者制度」ってなに?

 

 

小金井生まれ・育ちの若手行政学研究者、伊藤シンスケができるだけわかりやすく、地方政治と行政の問題を解説します。

 近年、地方自治体において「競争原理の導入」により、これまで公共サービスの担い手になれなかった組織が次々と参入できるようになりました。そのような制度の1つとして、「指定管理者制度」があります。この制度では、私たちの多くが一度は利用したことのある公共施設の多くが対象となっています。

 そこで、今回の道場は、「指定管理者制度」について解説していきたいと思います。どうぞおつきあい下さい。

 

1 指定管理者制度とは

  指定管理者制度とは、「公の施設の管理に関する権限を指定管理者に委託して代行させる制度のこと」をいいます。2003年(平成15年)に地方自治法が改正され導入された制度です。

 「公の施設」といっても人によってイメージは様々だと思いますが指定管理者制度で言われている「公の施設」にはどのようなものが含まれているのでしょうか?

 例えば、自治体が設ける公共ホール、図書館、公民館、宿泊休養施設、公園、体育館、老人福祉センター、駐車場等が挙げられます。

 

2 狙いと変化

  「指定管理者制度は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設である公の施設について、民間事業者等が有するノウハウを活用することにより、住民サービスの質の向上を図っていくことで、施設の設置の目的を効果的に達成する」(注1)ことを狙いとして設けられた制度です。

 

 指定管理者制度が導入される以前では、公の施設の設置の目的を効果的に行うことが認められた場合、公共団体、公共団体及び地方公共団体が出資している法人(2分の1以上の出資法人)で政令で定められるものに限り、公の施設の管理を受託することができるようになっていました。

 この制度は「管理委託制度」と呼ばれるものですが、公の施設を管理することのできる団体は、公共性を有しているということが必要とされていました。

 

 しかし、指定管理者制度導入により、設置者である自治体が指定する法人その他の団体であれば、組織の公共性を問わず、民間営利・非営利(NPO)などの団体も含まれるようになりました。この点が制度導入による大きな変化といえます。

3 指定管理者の管理基準及び業務の範囲

  つぎに、指定管理者の管理基準や業務の範囲についてみていきたいと思います。指定管理者が行う管理の基準・業務の範囲などは、地方自治法によると、条例で定められるほか、指定管理者の指定については、期間を定めて行われるとともに、あらかじめ議会の議決を経るものとされています(地方自治法244条の2第4項~6項)。


 小金井市の指定管理者の業務は、条例で以下のように規定されています。
 小金井市の指定管理者の業務(小金井市公の施設の指定管理者の指定手続等に関する条例 平成17年12月1日 条例第25号)

 第10条  指定管理者が行う管理の業務は、次に掲げる業務のうち、公の施設の設置の目的、形態等に応じて市長等が定める範囲とする。(1) 公の施設で行う事業の運営に関する業務(2) 公の施設の使用の承認等に関する業務(3) 施設及び附帯設備の維持管理に関する業務(4) 前3号に掲げるもののほか,公の施設の管理に関する業務(注2)。


4 指定管理者の導入状況

  さて指定管理者の導入状況は、どのようになっているのでしょうか?

 総務省の調査によると全国では、都道府県6882施設、指定都市6327施設、市区町村56813施設で、計70022もの施設で指定管理者制度が導入されています(2009年4月時点)。

 

 内訳を施設の種類別にみてみると、①レクリエーション・スポーツ施設13742 ②産業振興施設7138 ③基盤施設22101 ④文教施設13717 ⑤社会福祉施設13324となっています(注3)。


 次に小金井市の状況を見てみましょう。小金井市では、2012年4月時点では、8つの施設(福祉施設3、宿泊休養施設1、体育館・運動場2、駐車場1、市民会館=市民交流センター1)で指定管理者制度が導入されており、そのうちの3件が非公募で、4件が公募により指定されています。

 記憶に新しいところでは、今年小金井市が施設を購入した「小金井市市民交流センター」は、「こがねいしてぃ共同事業体」が指定管理者として施設管理を行っています(注4)。


5 運営上の問題

  以上のように、指定管理者制度は、多くの自治体で活用されていることが分かりましたが、問題はあるのでしょうか?

 一番の大きな問題に「指定管理者の取り消し」があります。さきほどの総務省の調査によると、①運用上の理由、②団体自身の理由、③施設の見直し、④手続き上の理由などのいずれかの理由から計672の団体が指定の取り消しをされています。

 

 なかでも運用上の理由(経営困難により253)がもっとも多く、次いで、施設の見直し(施設の民間譲渡等83、施設の休止・廃止等67、施設の再編統合22)団体自身の理由(指定管理者の合併・解散等149)や施設の休止・廃止の順に指定が取り消しされています。


 このような状況を受けて、総務省は2010年12月28日、都道府県知事・政令指定都市市長、各都道府県議会議長、各指定都市議会議長あてに「指定管理者の運用について」という自治行政局長名の通知を出しました。

 そのなかに「指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものであること」と書かれています(注5)。

 

 価格競争が激化し、質の確保に目が行き届いていない事例がみられるのが現状のようですが、今後は、公共サービスの水準の確保を果たすために最低限必要な価格の設定や運営基準について、指定管理者を選定する自治体と議会が一体となって考えて行く必要があると思います。

 

 今まで見て来たように、この制度の認知度や活用度においては各自治体において定着したとみることができる半面、課題もまだちらほら見られます。

 

 指定管理者適用以外の分野での民間委託などにも共通の課題がありますが、その辺についての解説は別の機会ということで、本日は終わりにしたいと思います。

 

 それでは、おつきあいありがとうございました。

(注1)総務省HPより

(注2)小金井市HPより

(注3)総務省報道資料平成21年10月23日:「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」による施設の内容の詳細は以下のようになっている。①レクリエーション・スポーツ施設:競技場、野球場、体育館、テニスコート、プール、スキー場、ゴルフ場、海水浴場、国民宿舎、宿泊休養施設等、②産業振興施設:情報提供施設、展示場施設、見本市施設、開放型研究施設等、③基盤施設:駐車場、大規模公園、水道施設、下水道処理場等、④文教施設:県・市民会館、文化施設、博物館、美術館、自然の家、海・山の家等、⑤社会福祉施設:病院、老人福祉センター等。

 

(注4)小金井市の指定管理者の一覧は以下のとおり。(小金井市HPを元に作成)

1【施設名:小金井市障害者福祉センター 】【指定期間:平成18年4月~平成23年4月;5年】【非公募】【指定された団体:社会福祉法人まりも会】

 

 2【施設名:小金井市立本町高齢者在宅サービスセンター】【指定期間:平成18年4月~平成23年4月;5年】【 非公募】【指定された団体 社会福祉法人聖ヨハネ会】

 

 3【施設名:小金井市福祉会館】【指定期間:平成18年4月~平成23年4月;5年】【非公募】【指定された団体:社会福祉法人小金井市社会福祉協議会】

 

 4【施設名:武蔵小金井南第1自転車駐車場ほか20施設】【指定期間:平成18年4月~平成23年4月;5年】【非公募】【指定された団体:社団法人小金井市シルバー人材センター 】

 

5【施設名:小金井市立清里山荘】【指定期間:平成18年9月~平成21年4月 2年7月; 5年】【公 募】【指定された団体:株式会社フードサービスシンワ】

 

 6【施設名:小金井市総合体育館・小金井市栗山公園運動センター】【指定期間:平成21年4月;5年】【公 募】【指定された団体:TAC・FC東京・TGTS共同事業体】

 

 7 【施設名:小金井市市民交流センター】【指定期間:平成24年3月;3年1月】【公 募】【指定された団体:こがねいしてぃ共同体】

 

 

(注5)留意点について:総務省の自治行政局長は都道府県・政令指定都市あてに、制度の趣旨についての再確認と問題点、課題から以下の8つの留意点をあげている。

①地方自治体の自主性、②価格について、③指定期間の設定、④申請について、⑤リスク管理、⑥労働条件の配慮、⑦情報管理体制について、⑧債務負担行為の設定。

 

【参考資料】

・総務省HP①公の施設の指定管理者制度の導入状況等関する調査結果http://www.soumu.go.jp/main_content/000156595.pdf

②指定管理者の運営について

http://www.soumu.go.jp/menu_news/snews/01gyosei04_01000004.html

・小金井市HP

・『地方自治職員研修 指定管理者再選定のポイント』2008年11月、公職研

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
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こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

毎月第1・第3土曜日が定期発刊日です。こがねいコンパスは市民のための羅針盤を目指し、市民とともにつくる地域メディアです。ご意見・ご感想・情報提供などを、koganeicompass@gmail.comへおねがいします。

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脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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