シンスケの行政道場

第2回  三鷹市の自治基本条例を見る

 

 

 

小金井生まれ・育ちの若手行政学研究者、伊藤シンスケができるだけわかりやすく、地方政治と行政の問題を解説します。

 シンスケです。

 第1回で自治基本条例について見てきましたが、さて小金井市の近隣自治体はどうなっているのでしょう? 今回はお隣三鷹市の自治基本条例の制定過程を中心に見て行きます。

 

 三鷹市では自治基本条例制定まで条例の制定から施行まで約6年もの期間をかけてじっくりと議論や調査を重ねこの条例を制定しています。その流れは概ね以下のようになっています。

 

 市民の提言をもとに基本計画を策定(平成12年)

 ⇒まちづくり研究所で自治基本条例の検討と報告書の提出(平成13年~14年)

 ⇒市作成の条例要綱案を公表(平成16年)

 ⇒市作成の条例試案を公表(平成17年)

 ⇒市議会への条例案(議案)の提案(平成17年6月)

 ⇒三鷹市自治基本条例の成立(平成17年9月)

 ⇒三鷹市自治基本条例の施行(平成18年4月)

 

 この流れについてもう少し詳しく見て行きたいと思います。少し長いですがどうぞお付き合いください。

 

 ①スタート:三鷹市では、平成13年に策定した第3次基本計画に自治基本条例の制定を掲げたことから本格的に検討が始まりました。ここで1つ注目する点があります。制定のきっかけについて三鷹市の担当者に聞くと「昭和40年代からコミュニティ行政として7つの区域(中学校区)で市民主催の活動が行われており、そこに三鷹市が補助金を出すという仕組みを取っていました。地方分権の議論が高まる中で、より進んだ市民との参画や協働を行うために提案されたのが三鷹市の自治基本条例」という説明をしてくれました。

 

 三鷹市の場合、今から40年以上も前から行われている市民の実践活動が先行し、その活動をより充実させたものにする目的から条例の検討が始まったという経緯があります。

 

 ②まちづくり研究所による検討の期間:①の第3次基本計画を実現させるために「まちづくり研究所」は、平成14年10月から第二分科会としてスタートさせ、平成15年の10月までの約1年間の間に計12回もの自治基本条例に関する検討会を行いました。

 

 この分科会のメンバー構成は、行政学の西尾勝・国際基督教大学教授=当時=現在は東京市政調査会理事長、西尾隆・国際基督教大学教授や政治学 の中山洋平・東京大学助教授=当時=現在は同大学准教授を専門とする学識経験者に加え、市民研究員として、住民協議会の委員やみたか市民プラン21会議で活動した方、自主的に条例の研究を進めてきた「自治基本条例をつくるみたか市民の会」のメンバー、公募により決定した市民の方が研究員として参加しています。

 

 さらに、この分科会では、研究員以外の市民による三鷹市の自治基本条例のイメージを発表する機会が与えられ、三鷹市にふさわしい自治基本条例について検討を行っている点に特徴があります。

 

 分科会の検討結果が報告書としてまとまった段階で、「みたかの自治基本条例を考えるフォーラム」を開催し、報告書の内容の紹介と参加者との質疑応答なども行いました。

 

③三鷹市自治基本条例要綱案の策定:②で行われた第二分科会作成の報告書の内容やフォーラムで寄せられた意見等を参考に、条例要綱案を各項目ごとに整理し作成しています。その条例要綱案の内容は、「まちづくり懇談会」の開催や出前説明会(7回開催)などを実施しています。

 

④三鷹市自治基本条例検討試案の策定:条例要綱案の次のステップとして、条例検討試案の作成に入ります。ここでは、条例要綱案の説明を行った際に出て来た意見を踏まえ条例要綱案を修正し、条例試案について「まちづくり懇談会」(3回)、出前説明会(6回)を行っています。

 

⑤三鷹市自治基本条例の提案:①~④での検討結果を踏まえ、市は、平成17年6月の市議会に「三鷹市基本条例」を提案しています。これを受けて、市議会において「三鷹市自治基本条例特別委員会が設けられ、この特別委員会を中心に審議が行われています。学識経験者等の参考人の意見聴取を行ったのちに、9月22日、全会一致(特別委員会)で原案通り可決しました。

 

⑥三鷹市自治基本条例の可決・成立・施行:特別委員会での審議・採決を経たのち、9月29日の市議会本会議で原案通り、可決・成立しました。条例成立後、6ヶ月間の準備・周知期間を経て、平成18年4月から施行され今日に至っています。

 

 こうした制定過程を振り返ってみると、市公式発表のものだけでも、検討会12回、フォーラム1回、シンポジウム1回、懇談会4回、出前説明会13回と様々な形で市民の声を聞き検討を重ねこの条例が制定されてきたのが分かると思います。

 

 最後に少し三鷹市の自治基本条例の理念(考え)に触れて終わりたいと思います。

 

 前回、自治基本条例は自治体版憲法の性格を持っていると説明しましたが、三鷹市ではどのようになっているのでしょうか。

 

 三鷹市自治基本条例第3条では、以下のような規定があります。

 

 第3条 この条例は、市政運営における最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定並びに法令、条例、規則等の解釈及び運用に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例との整合性を図らなければならない。
2 市民及び市は、地方自治の推進に向けた取組を通してこの条例の不断の見直し及び検証を行い、将来にわたりこの条例を発展させるものとする。

 

 三鷹市では、この第3条の条文の説明の中で、自治基本条例が「三鷹市の憲法」に位置付けられることを明らかにしています。ただし、日本国憲法のようにほとんど改正が行われないのではなく、施行後も市民によって見直し・検証を行い、各種の制度の創設や変更に伴い、今後も必要な改正を行って行くという説明がなされています。この点が、三鷹市の自治基本条例の特徴の一つと言えるでしょう。

 

 条例の中身が重要なのはもちろんですが、その中身が出来あがるプロセスが民主主義にとって重要なのは言うまでもありません。三鷹市の自治基本条例のオリジナリティは、まさに熟議を重ねた上で出来上がったといっても過言ではないでしょう。

 

 次回は、小金井市で2012(平成24)年度中に制定される予定の議会基本条例をテーマにします。ではまた道場で!

 

◆補足
・三鷹市の担当者によれば、昭和40年代から本格的に始まった市民主催のコミュニティ活動は、昭和60年ごろに7つの行政区すべてにおいて活動が行わるようになったという。
・三鷹市では自治基本条例の特集号としてこの条例が施行した平成18年4月に号外を発行している。その中で、各条文についての説明や制定までの経緯が詳しく紹介されている。

 

 

 

 11月8日(日)

  第73号の主な内容

(随時更新されます)

《市政の焦点》

■12月小金井市長選特集

☆白井とおる市議が立候補表明(2015年11月8日更新)

 

☆白井市議の立候補記者会見に40人以上の市民が参加(2015年11月8日更新)

 

☆4陣営の対決構図に 財政健全化への具体策が焦点(2015年11月8日更新)

 

≪酒好きのたわごと≫

その15 越後の酒と謙信(2015年10月17日更新)

  うれしいニュース!

 公益社団法人「全国学校図書館協議会」が発行している「としょかん通信」(中・高校生版)2015年6月号の《今月のブックトーク》に『まちの力 ひとの力 ――変える 試みる 小金井の人たち』がとりあげられました。

 1人でも多くの中学生、高校生にこの本を読んでもらえたら、と思います。感想文も送ってもらえると、とってもうれしいですね。

 以下にその部分を貼り付けました。筆者は、ほそえさちよさんという子どもの本の編集者だそうです。タイトルは、「生きるために つながる」。

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全体はこちらから
としょかん通信「今月のブックトーク」.pdf
PDFファイル 5.3 MB

こがねいコンパスのインタビューシリーズ《変える 試みる 小金井の人たち》をまとめた本『まちの力 ひとの力』が図書出版クレインから刊行されています。ウェブ版では読めない、取材秘話などを明かす4本の「エピローグ」と、やまさき薫さんの素敵なイラスト付き。定価1500円+税です。市内の各書店でお買い求めください。クレインでも注文できます。

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脱原発社会への道筋を探る

民間の英知を結集して「脱原子力政策大綱」をまとめる「原子力市民委員会」の舩橋晴俊座長。

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*船橋晴俊さんは2014年8月15日、くも膜下出血で急逝されました。ご冥福をお祈りするとともに、船橋さんの思いを少しでも多くの方に知って頂きたいと願っています。(編集長・佐藤和雄)

 

「敗北」を語る

民主党小金井支部幹事長

村山秀貴さん

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イラクから問い続けてきたもの

映画監督・鎌仲ひとみさん

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